プリペイドSIMが手軽に買えるロンドン
5Gが使えると思ったら使えない
ヨーロッパは国ごとにプリペイドSIMの買い方や料金体系が異なっている。中でもイギリスは自販機でプリペイドSIMが売っているほどであり、本人登録も不要でSIMを買えばすぐに使うことができる。そのイギリスではVodafoneが5Gサービスを展開しており、WEBページを見ると「プリペイドSIMでも使える」と明記されている。
筆者は普段香港に住んでいることもあり、ヨーロッパへ行くときは飛行機のフライト数が多いロンドンにはいり、そこから乗り換えて目的地へ飛ぶのがいつのものことだ。2020年2月は新型コロナウィルスの影響で香港ではなく日本に長期滞在してたが、取材のためバルセロナに向かう際は過去の例に習ってロンドンへまずは飛ぶことにした。
ヒースロー空港にはプリペイドSIMの自販機があるが、プリペイドで5Gサービスを提供しているVodafoneのSIMは売っていなかった。以前は全キャリアのSIMを売っていたのだが、自販機を設置する代理店もよりいい条件をキャリアから引き出そうと一部のキャリアだけに取り扱いを絞ったのだろう。まあどうせプリペイドSIMを買うなら実店舗でスタッフに実際の使い勝手を聞いてみたいこともあるし、そのまま市内に出てVodafoneの店へ行くことにした。
ロンドンで買い物と言えば誰もが目指すのが「オックスフォードストリート」。ここには通信キャリアの店もあるし、サムスンのフラッグシップストアもある。筆者は以前、9月にここで5G対応スマホ「Galaxy Note10+ 5G」を購入した。今回はその5Gスマホをいわば里帰りさせて、ついにイギリスで5Gの電波をつかもうというのである。
オックスフォードストリートのサムスンの店の向かいにはちょうどVodafoneがある。店に入るとスタッフがフレンドリーに迎えてくれるので「プリペイドSIMが欲しい。5Gスマホを持っているので5Gが使えるのをお願いしたい」と伝えると、「今売っているSIMは使えないんだ。明日来てくれ」という。いくらなんでも話が悪い方向にできすぎているような気がしてしまうが、無いものは無いのだから仕方ない。
そこで10分ほど歩き、Vodafoneの大型店舗へ行くとここでも「まだ発売前」というではないか。どうやらWEBページに合った情報は「プリペイドでも使える」ということだが、「でもまだ対応のSIMは売っていない」ということのようだ。
せっかくロンドンにいるのに5Gが使えないなんて悲しいので、別のお店で10ポンドの一番安いプリペイドSIMを買ってみた。そして5Gが使えるエリアに行ってみたところ、スマホのアンテナ表示は一瞬5Gになるものの、すぐに切れてしまう。やはり正式に対応したSIMでなくては使えないのだろう。失意のままの筆者はロンドンを後にした。
バルセロナで快適5G体験
バスの車内も利用可能
ロンドンのあとはリスボンに立ち寄りバルセロナへ。空港にスペインのVodafoneの店があるのでここでも5Gのことを聞いてみる。VodafoneスペインのWEBではやはりプリペイドSIMで5Gが使えると明記されているのだ。ところが「5Gはプリペイドでは使えないよ」と一蹴されてしまう。WEBの情報は一体何なんだろう。
とはいえあきらめれ切れず、中心部のカタルーニャ広場にあるVodafoneの店を再訪した。ここでもプリペイドSIMでは5Gは使えないという。だからといって何も買わずに退散するのももったいないと考えプリペイドSIMを買うことにした。料金は20ユーロで25GBのデータが利用可能。定額ではないが十分なデータ量が利用できる。ちなみに以前はせいぜい数GBだったが、5G時代を迎えて無料利用分が大幅に増えているのだろう。
さてその場でプリペイドSIMを自分の5Gスマホに入れると、あれれ、アンテナマークのところに「5G」の表記がでている。なんだ問題なく使えるではないか!スタッフの言った「使えない」とはなんだったんだろうか?
おそらく5Gスマホはまだ価格が高く、5Gスマホを買う客はプリペイドSIMを使わず毎月より料金の高いプランで契約する人が多いのだろう。ましてや旅行客で5Gスマホを持っているような客は多くないはず。なので店のスタッフは最新の情報ではなく「プリペイドSIMは5Gが使えない」という古い情報しか知らなかったのではないかと思われる。
なにはともあれ5Gが使えるのはうれしいこと。さっそくカタルーニャ広場周辺を歩いてみても、5Gの電波はたまに切れるが大体安定してつながってくれた。通信速度は200Mbpsから500Mbps、4Gにモードを切り替えてみるとその1/10程度だったこともありかなり快適だ。
その後は市内の5GエリアをVodafoneが提供するマップを元に移動してみると、バスの車内からも5Gにつながるなど使用感は悪くなかった。驚いたのは地下鉄の駅でも5Gが入るところがあり、走行中は4Gになってしまったもののかなり使えると感じられた。おそらくMWC20が開催される予定だったこともあり、世界中から通信関連企業の来客がやってくることに合わせて5Gのカバレッジを広げていたに違いない。
最速値はそのMWC20が開催予定だった展示会場前の762Mbps。ギガの世界は体験できなかったものの、4Gでは得られない高速サービスを実際に使うことができて大満足だった。
ロンドンを再訪して5GプリペイドSIMをゲット
しかし速度は規制がかかっていた
バルセロナの5G体験で満足した筆者だったが、ふとVodafoneイギリスのプリペイドSIMの販売ページを見ると「5G使い放題40ポンド」という、今までになかったプランが追加されていた。店のスタッフが言った「明日だよ」というのは本当だったようだ。せっかくヨーロッパにいて5GのプリペイドSIMが売っているのに買わないだなんて自分が許せなくなり、バルセロナから再度ロンドンに飛んで5GのプリペイドSIMを買うことにした。
ロンドンでは念のため、最初に訪問したお店でプリペイドSIMを購入。スタッフは「場所がよければ200から300Mbpsは出るよ」と教えてくれた。しかしバルセロナでは700Mpbs以上を記録しただけに、ロンドンでも同程度、あるいはギガビットを体験できるかもしれない。
さっそく外に出ると、すぐに5Gの電波をつかんだ!1週間ぶりのロンドンでようやく5G体験ができたのである。スピードを図ってどれくらい高速なのかも実感したいところだ。速度計測アプリを試してみると、速度は100Mpbs前後。これだと日本なら4Gでも十分体感できる測度だ。場所が悪いのかなと思って移動してみたものの、どうも思ったほどの速度が出ない。
VodafoneイギリスのWEBページをいろいろと見てみると、「5Gは当初、200Mbpsでサービスを始め、順次ギガビットに速度を上げていきます」と書かれている。5Gの売りはそのギガビット通信=1000Mbpsの速度であり、環境が悪くともバルセロナのように500Mbpsは楽にでるものだ。しかしイギリスではエリアがまだ整備されていないこともあってか、ギガの1/5の200Mbpsに速度が落とされているようだ。
スマホの画面に「5G」の表示がされただけでも、マニア的にはうれしいものだが、5Gの電波をつかんだのだったら、せめて500Mbpsの速度は体験したいもの。今後もヨーロッパは何度も再訪するだろうから、そのたびにロンドン入りしていつかはギガの世界を体験したいものである。
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000122653/
- Source:デジモノステーション
- Author:山根康宏
Amazonベストセラー
Now loading...