医療現場での不足が深刻なN95マスク。枚数の制限から規定通りの頻繁な交換ができず、医療従事者が危険にさらされている。
N95の寿命を延ばす方法についてはCDCなどもガイダンスを作成しているが、このほどスタンフォード大学の研究チームが、同ガイダンス含むさまざまな資料を検証。3つの除染方法(熱と湿度、紫外線、過酸化水素)についての評価をまとめたWebサイトを公開した。
同サイトでは、各除染方法の長所、短所、未解明点などが確認できる。
・適切な温度と湿度、時間を満たす必要がある
科学者や臨床医含む60人の研究チームは、熱と湿度、紫外線、過酸化水素のそれぞれの方法について有効性を検証した。結論からいうと、いずれも完璧な方法ではなかったものの、それぞれ適切な手順を守ることで効果が変わってくる。
まず熱と湿度を用いた方法では、N95マスクのコロナウイルス除染に関するデータはなく、ある種のインフルエンザで温度75℃/湿度85%/30分間が不活性化につながったようだ。
コロナウイルスに関しては、環境の温度が60℃~75℃/30分間で不活性化が認められている(N95マスクにおいては不明)。
N95マスクは、温度60℃/湿度80%での除染を5回行ってもフィルターの効果が維持されていたが、これもマスクの型によって異なる可能性があるとのこと。
・過酸化水素を用いた方法でウイルスとバクテリアが不活性化
紫外線(UV-C)を用いた方法では、1J(ジュール)/cm2以上で新型コロナウイルスに近いウイルスを不活性化できた。ただ、あくまで表面を計測したもので、フィルター内部のウイルスが除染できるかどうかは不明だという。
ちなみに、1~1.2J/cm2の紫外線で10~20回除染してもN95マスクのフィルターやフィット状態は保たれ、120J/cm2だとさすがにダメージがあったようだ。
最後に過酸化水素を用いた方法だが、ウイルスやバクテリアの不活性化が認められているものの、過酸化水素蒸気(HPV)システムを扱うのには危険が伴い、トレーニングが必要だという。
HPVシステムでは、最大20回の除染までフィルターの効果が落ちなかった。
N95マスクは再利用するものではないことを前提に、それでも除染して使うしか手がないときには、同サイトが判断材料になる。同様に、CDCがフェイスマスクの除染についての指針を示しており、こちらも参考にしたい。
- Original:https://techable.jp/archives/120702
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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