AI学習プラットフォーム「Aidemy」や法人向けサービス「Aidemy Business」を展開するアイデミーは4月6日、AIシステムの運用コストを下げる新プロダクト「modeloy」をプレローンチした。
modeloyが解決するのは、企業が機械学習モデル(AIシステム)を開発した後に直面する“実運用”の課題だ。
アイデミー代表取締役CEOの石川聡彦氏によると「機械学習モデルを作った先の工程で、開発しないといけないシステムが膨大すぎることが大きな課題になっている」そう。具体的にはモデルの監視システムや管理画面、ハードウェアの設定(IoT関連の場合)などが必要で、その工数や知見がボトルネックとなり、実運用までに時間がかかったり、途中で頓挫してしまったりするという。
「Aidemy Businessを通じてさまざまな企業のAIプロジェクトの内製化を支援する中で、機械学習モデルは作れても、なかなか運用までたどり着かないという悩みを聞くようになった。原因を深くヒアリングしてみてわかったのが『実運用のハードルが高すぎる』ということ。機械学習モデルを作り始める段階では気づかなかった課題がどんどん出てくるので、運用を諦めてしまったという企業もある」(石川氏)
今回アイデミーが開発したmodeloyはAIシステムの運用・メンテナンスに必要な仕組みをパッケージ化してまるっと提供することで、AIの実運用のハードルを下げるサービスだ。
機械学習モデルのコードをアップロードするだけで機械学習モデルをデプロイできる仕組みを通じて、運用にかかる業務負担を減らせることが特徴。具体的には以下のような機能を搭載していく予定で、方向性としては「機械学習に特化したHeroku」にも近いという。
- 機械学習モデルのパイプライン整備(データ蓄積、再訓練…etc)
- エッジ端末の登録とエッジへのデプロイ
- 機械学習モデルの圧縮
- モデルのABテスト / Canary Release
- 機械学習モデルの性能推移自体への機械学習の適応(性能推移予測)
石川氏の話では、従来これらのシステムは内製するか個別で外注することが多かったそう。ただし外注の場合は高額な費用が発生する一方、内製する場合でも工数に加えて知見の問題があった。要は機械学習のスキルセットとソフトウェアエンジニアリングのスキルセットでは異なる部分も多いため、両方の知見を持っている人材がそもそも少ないのだという。
「AIのモデル作りだけでもヘビータスクなのに、運用に関する開発までやるとなるとかなり重たい。運用に必要なシステムは各社で共通化できる部分も多いので、自分たちがそれをプラットフォームにして提供すれば初期費用も抑えられ、運用のハードルを下げられると考えたのが開発のきっかけ。企業の担当者が本業であるAIモデルの精度を高める業務に集中できる環境を整えることで、より良いAIシステムを実現するサポートをする」(石川氏)
modeloyでは製造業などリアルな接点を持つ企業を初期のメインターゲットとして想定していて、今後はIoT連携に関連する機能などを強化する。
ゆくゆくは同サービスを単体のツールとして展開していくことを予定しているが、プレローンチ期間は基本的に本日提供をスタートしたAI内製化支援ソリューションの1つとして、エンタープライズ向けにコンサルティングサービスなどと一緒に展開する方針だ(コンサルティングなども含めて740万円から)。
会社としてはこれまで120以上の法人をサポートしてきたAidemy Businessと合わせることで人材育成から課題整理、PoC開発支援、運用支援までをトータルでカバーしていく計画。すでに大手企業1社で先行してmodeloyを含めたAIの内製化支援を行なっているとのことで、まずはこの1年間で15社への提供を目指すという。
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/04/07/aidemy-modeloy/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:masumi ohsaki
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