スマホに広がるエルメスカラー革張り高級モデルがトレンドに

スマホの背面仕上げもいまや美しいグラデーションカラーを採用する製品が増えている。しかし光沢仕上げの背面は使っていると指紋の跡が目立ってしまうものが多い。ガラスや多層フィルム素材とすると、この問題はどうしても避けられないのだ。そこで今度は指紋そのものが付かない素材を採用する製品が増えてきた。それは背面を革にしたものだ。しかもその色合いが、あのエルメスを思わせるオレンジカラーのスマホが出てきているのだ。

日本でも発売されるオレンジ色の高級革張りスマホ

2020年3月末から始まった5Gサービスに向け、中国メーカーも5Gスマホを投入する。その中でもOPPOが7月に発売する「Find X2 Pro」はカメラ機能を強化した同社のフラッグシップモデルだ。OPPOはこれまでいわゆる「格安スマホ」として、SIMフリー市場やMVNO向けにスマホを展開してきた。中にはカメラ部分が本体内部からモーターでせりあがる「Find X」や、60倍ズームも可能なカメラフォン「Reno 10倍ズーム」のようなハイエンドモデルも販売していたが、大手キャリアでの採用は無かったのだ。

ところがFind X2 Proは5Gに対応したことにより世界各国の通信キャリアのみならず、ついに日本でも大手キャリアでの採用が決まったのである。日本市場に参入し、苦労しながらも新製品を出し続けてユーザーからの支持を受けていった結果、ようやく安定した販売数が見込める大手キャリアでの採用となったのである。もちろん製品品質、特に通信まわりの性能がしっかりしていることも採用の理由だ。日本の消費者も安心してFind X2 Proを使うことができるだろう。

KDDIに採用になったOPPO Find X2 Pro。

このFind X2は、本体カラーが2色用意される。1つはベーシックなブラック。もう1つは色鮮やかなオレンジ色だ。このオレンジの正体はビーガンレザー。合皮の一種だが表面を革っぽく仕上げているのではなく、革の繊維構造を再現して本革調の風味を出した素材だ。そのため肌触りがよく水にも強く、スマホの背面に採用するには最適の素材と言える。しかも本革より軽いためスマホの軽量化にも役立つのだ。そしてこのオレンジ色は、エルメスっぽい雰囲気で高級感もある。スマホにケースをつけるなんてカッコ悪い、これからは革風スマホを人に見せびらかして自慢したくなるだろう。

ビーガンレザー仕上げのモデルも登場、OPPOの金色のロゴプレートも高級さを感じさせる。

10万円を超えるファーウェイMate 30 Pro 5Gもビーガンレザーを採用

5Gスマホは通信キャリア経由で販売されることが一般的だ。なぜなら5Gは新しい通信規格のため、キャリアが自社回線でしっかりと動作することを確認してから販売するためである。4Gスマホは家電量販店などで単体で買えるSIMフリー製品が多いが、これは4Gの技術が安定したためにメーカーが出す汎用の4G対応モデルでも、キャリアの回線で使えることが問題ないからでもある。しかし5Gスマホはまだそこまで自由にキャリアと端末を組み合わせて使うことができない。

ところがファーウェイはキャリアを通さずに5Gスマホを販売することを決定、「Mate 30 Pro 5G」がSIMフリーモデルとして発売になった。とはいえキャリアの5Gで使えることは確認済なので、買ってみたけど5Gが使えない、ということにはならないので安心しよう。ただし価格は税別12万8800円とかなり高価だ。最新のチップセットにハイスペックなカメラも搭載した高性能モデルなのでこの価格は十分納得いくものだろう。

SIMフリーで販売されるファーウェイMate 30 Pro 5G。

Mate 30 Pro 5Gは2019年9月に発表された製品で、すでに海外でも販売されている。中国では5Gスマホのベストセラーとして高い人気になっているほどだ。本体のカラバリは複数あるが、その中にはビーガンレザーモデルもある。実はOPPOより先にこの素材を採用したのがファーウェイなのだ。ビーガンレザーのモデルは本体カラーがオレンジとグリーンの2色あり、どちらも革の手触りが心地よい。そして日本にはビーガンレザーのオレンジモデルのみがリリースされた。

Mate 30 Pro 5Gの日本モデルはオレンジモデル1色となった。

Mate 30 Pro 5Gはハードウェアの性能は申し分がなく、現時点でお金に余裕があるならば誰にでもお勧めしたいスマホだ。しかしグーグルサービス(GMS)が搭載されてないというウィークポイントがあり、日本でメインモデルとして使うにはやや問題がある。アプリもLINEなどメジャーなものがまだ準備されていないのだ。ファーウェイはこのMate 30 Pro 5G以降に発表された新製品でGMSではなくファーウェイ独自のサービス(HMS)をスマホに搭載しているが、これはアメリカとの貿易問題を受けてのこと。せっかくのハイスペックなスマホだけに、よく使うアプリが早く使えるようになってほしいものだ。

メーカーロゴはOPPOより控えめ。カメラ周りのHalo Ringデザインが映える。

ファーウェイもこの問題は十分認識しているからこそ、スペックだけの勝負は難しいと考えたのだろう。Mate 30 Pro 5Gを他社にはない高級スマホとして売り込むために、ビーガンレザーモデルのみを投入すると決めたに違いない。大手家電量販店のファーウェイコーナーでは実機が展示されているようなので、本体の仕上げやカメラ性能などをぜひ実物に触れて試してほしい。ファーウェイが本気になると、ここまでいい製品ができあがるのだ。

スマホケースやコンセプトモデルにもオレンジレザーの採用が進む

高級ブランド品は長い歴史を経てそのブランドイメージを人々に浸透させてきた。「ルイ・ヴィトン風」「シャネル風」といった、本物を模した製品が興味を惹かせるのも一見しただけでそれらがそれっぽいイメージを出しているからだろう。とはいえ安っぽいコピー品では興ざめしてしまう。その点、オレンジ色と革の組み合わせのエルメス風の製品は高級感もあり製品の魅力を十分引き立ててくれる。Find X2、Mate 30 Pro 5Gのどちらもあえて背面を見せたくなるスマホに仕上がっているだろう。

エルメス風スマホは他にも2020年1月のCES2020でOnePlusが発表したカメラが隠れるコンセプトスマホにも採用された。OnePlusは実はスポーツカーのマクラーレンとのコラボを行っており、過去にもスポーティーな仕上げのスマホをいくつか製品化している。そのためこのオレンジはエルメスというよりもマクラーレンのオレンジを行き視したものだ。しかし偶然といえるのか、オレンジという色は実は入ブランドな製品によく似合う。OnePlusのコンセプトモデルは製品化の予定は未定だが、このまま高い価格で製品化しても一定数は確実に売れるだろう。

カメラが隠れるOnePlusのコンセプトモデルもオレンジだ

他にもスマホのケースにオレンジの革風のものもいくつか出ている。サムスンが2019年秋に発売した折りたたみスマホ「Galaxy Fold」は、サムスン自らがブラックレザー風の純正ケースを1万円でだしている。やはりここでも革仕上げが高級感を味わせてくれるというのだろう。Galaxy Foldにはカーボン調デザインのケースが付属するが、20万円を超える高級モデルでもあるだけに、どうせつけるならば革系のケースにしたいもの。Galaxy Foldを買った筆者も実はそのケースを買っている。

サードパーティー製ではオレンジの革風ケースも出ており、Galax Foldの外見イメージを大きく変えてくれる。Galaxy Foldが発売された当初は透明やカラーの樹脂素材ケースが数多く出てきたが、Galaxy Foldのデザインを引き立てるものばかりではなかった。そもそもこの価格の製品を買うユーザーは限られている。高価なスマホだけに見た目も相応にしたいと思うユーザーも多く、最近では高級感や、自然の風味を感じさせるケースが増えているのだ。

サードパーティー製の革調オレンジケースを付けたGalaxy Fold。

本革仕上げもあるラグジュアリーなスマホを出していたVERTUが一度は倒産してしまったこともあり、革製品と呼べるようなスマホは現在細々といくつかのメーカーが手掛けている程度だ。VERTUは携帯電話の進化がある程度落ち着いたころに超高級携帯電話メーカーとして登場したが、その後急激なスマホシフトが進む中で、時代の流れに製品が追いつけなくなってしまい倒産した。1年間でスマホの性能が急激に上がり、2年もたてば使い物にならなくなるほど技術革新が進んでいた時代には、人々は製品の進化そのものに興味を奪われていたのだ。

だが2020年の今はスマホの進化は以前よりも落ち着いている。ファーウェイやOPPOが革仕上げの製品を出したように、2020年は他のメーカーからもカラバリの一つとしてビーガンレザーモデルの登場が増えそうだ。VERTUそのものも中国で復活し高級モデルを出している。今後は少数精鋭で超ラグジュアリー仕上げな本革採用スマホがを出すようなメーカーも出てくるかもしれない。スマホは機能ではなくデザインや素材で選ぶ、そんな時代が間もなくやってくるだろう。

VERTUのような高級スマホがこれから数を増やしていきそうだ。


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