国連PS機関がソニーとタッグ、神戸拠点に気候変動への対処に取り組むスタートアップなどを募集

国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)とソニーは4月21日、UNOPSが開催する持続可能な開発目標(SDGs)に取り組むスタートアップ起業やテクノロジー企業を支援する「Global Innovation Challenge」プログラムを通じて協業を開始することを発表した。

本プログラムに選定された企業は、兵庫県神戸市に開設予定のUNOPSのGlobal Innovation Center Japan(グローバル・イノベーション・センター・ジャパン、GIC Japan)に入居し、Sony Startup Acceleration Program(ソニー・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム、SSAP)の育成プログラムにも参加可能で、アイデアの実現に向けたさまざまな支援を得られるのが特徴だ。

募集テーマは「テクノロジーを用いた強靭なインフラを作り、気候変動への対処を強化する」。地域ごとに多様性をもった非構造データである気候や森、海といった資源のデータを、データをセンシングとAI技術で的確に分析し活用することで、迅速な気候変動の対処や豊かな森と海の創出に貢献することを狙うテーマ設定となっている。募集概要は以下のとおり。

  • 募集期間:中央ヨーロッパ時間2020年7月31日24時まで(日本時間2020年8月1日8時まで)
  • 応募方法:UNOPSの応募サイトにて受け付け
  • GIC Japan開設時期:2020年夏以降を予定
  • GIC Japan開設場所:三井住友銀行神戸本部ビル2階(兵庫県神戸市中央区浪花町56)

UNOPSは、デンマーク・コペンハーゲンに本部を置く、プロジェクトサービス(事業運営・実施)に特化した国連機関。世界80か国以上で毎年1000件以上の援助事業を実施している。通常資金(コア予算)に対して各国政府から資金提供を受けず、事業運営の実施のみですべての経費をまかなう完全独立採算の機関で、ほかの国連機関や国際開発金融機関、援助国および被援助国政府などからの依頼に基づき、援助事業のプロジェクト推進を進めている。具体的には、アフガニスタンでの道路舗装や太陽光発電を利用した街灯の敷設、ヨルダン北部では老朽化した配水管を修復して漏水を削減する事業などを進めた。

GIC Japanは、国内外におけるスタートアップを集積・育成と、日本で創出されたSDGs課題解決型サービスが国連を通じて調達に結び付けるインキュベーション施設。グローバルでは神戸が3拠点目となり、2018年1月にカリブ海東部の小アンティル諸島にあるアンティグア・バブーダ、2019年10月に本部のデンマークの隣国であるスウェーデンに開設している。今後は発展途上国を中心にGICの設置を進めていく予定で、すでにモンテネグロ、チュニジアへの設置も決まっている。

SSAPは、2014年にソニーのスタートアップの創出と事業運営を支援するSeed Acceleration Program(シード・アクセラレーション・プログラム)として始まった取り組み。これまでに国内外でソニー社内を中心に750件の新規事業案件を審査し34件を育成し、14件の事業立ち上げを通じて培ってきた経験やノウハウを、スタートアップ支援サービスとして社外にも提供するものだ。2018年12月にはソニー本社オフィス内に、社外の新規事業プロジェクトが入居可能な専用スペースが設置し、社外との連携を強化。2019年2月20日より、名称をSony Startup Acceleration Programに変更している。

なお、SSAPでは本プログラムの応募に向けてアイデアをもう少し整理したい応募者に対して、新規事業を始めるために必要な準備を効率よく進めるための無料のウェブアプリ「StartDash」を提供している。アイデアはあるが何から始めたらいいかわからないという場合に、チェックリスト形式の質問に回答していくだけで事業化に向けた準備を進められる。

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