どこまでつながる、楽天モバイル!? 「Rakuten UN-LIMIT」2.0レビュー

4月8日に、楽天モバイルが本格サービスを開始した。

同時に、3月に発表していたデータ通信無制限で2980円の「UN-LIMIT」プランを「2.0」にアップデート。2GBまでと厳しく制限されていたauローミングエリアでのデータ通信容量を、4月22日から5GBへと増やし、容量超過時の速度も128Kbpsから1Mbpsへと高速化した。

23区内・外、地下鉄、千葉……

新規参入直後の楽天モバイルだが、東京都23区で利用している限りでは、意外なほど電波をよくつかむ。

同社のネットワークは、周波数帯域が1.7GHz帯のみと少ないこともあり、理論値で最大200Mbpsだが、スループットは思いのほか高い。まだまだユーザーが少ないためか、つながれば数十Mbps出るため、スマホで利用するには十分だ。

都内にある筆者宅では、楽天モバイルの自社回線でつながる。速度も数十Mbpsと十分

筆者の場合、自宅から渋谷にある事務所までは山手線1本で移動できるが、途中で圏外になることは1度もない。ローミングを行っていることもあり、むしろ圏外になる場所を探すのが難しいほどだ。楽天モバイルによると、3月末で基地局数は4400局を超えたといい、急ピッチでエリアが広がっていることがうかがえる。

一方で、地下街などに入ると、すぐにauのネットワークに切り替わる。地下鉄の駅間なども、auのローミングでカバーしているようだ。4月14日に、ローミングで設備同士を接続する方式を「S10」に変更したこともあり、楽天モバイルとauの切り替わりはシームレス。楽天モバイルエリアで音声通話しながら、auエリアに入っても、接続が維持されるようになった。逆も同様だ。

地下街や地下鉄の駅、駅間では、auにつながることが多い

ユーザーとしては、どちらのネットワークにつながっているかを、あまり意識することなく利用できる。ただし、容量を5GBに増量したあとも、制限自体は残っている。容量超過後も比較的快適に使えるようにはなったものの、残量は気にしながら使いたいところ。この確認方法が、現状と「my楽天モバイル」アプリからしかできず、少々不便だ。

Android端末の場合、どの周波数帯で通信しているかを表示できるアプリがあるため、こうしたアプリをインストールしておいた方がいい。

筆者の使用する「Net Monitor」というアプリでは、楽天モバイルで通信している場合は1.7GHz対を示す「Band 3」、auの場合は800MHz帯を示す「Band 18」と表示することができる。ウィジェットを設定しておけば、どちらで通信しているのかがすぐにわかって便利だ。楽天モバイルにも、より簡易的な方法を用意することを期待したい。

アンテナマークには常に「Rakuten」と表示されるため、どちらのネットワークに接続しているかがわかりづらい。筆者はNet Monitorでエリアを確認している

東京23区ではエリアが広がっている楽天モバイルだが、全国レベルで見ると、まだこれは例外と言える。本格サービスに先立って提供していた無料サポータープログラムは、東京23区、愛知県名古屋市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市限定で、エリアの拡充もこれらの市や区に重点を置いてきた。首都圏でも、23区を出てしまうと、楽天モバイルの自社回線でつながらないエリアは多い。

例えば筆者が1月下旬に千葉県木更津市にあるアウトレットモールを訪れた際には、東京都内を出た瞬間にauローミングに切り替わり、再び東京都内に戻ってくるまでの間は、一切楽天モバイルにつながらなかった。

楽天モバイルが公開しているエリアマップを見る限り、この状況は現在でも変わっていないようだ。千葉県の一部もエリア化されているが、東京に近い浦安市や市川市、船橋市などに限定される。

首都圏でも、東京都を一歩出てしまうと、なかなか楽天モバイルの自社回線にはつながらない

エリア拡大への期待! 猶予はこの1年間か

地域によっては、ほぼ丸ごとauローミングだけでカバーされているエリアもある。こうした場所に住むユーザーは、楽天モバイルを契約しても、5GBまでしか高速通信を使えないことになる。

300万回線までは1年間無料になるため、お試しで契約してもいいが、有料になった後は、楽天モバイルの自社エリアが広がっているか否かによって、判断が分かれそうだ。

2980円で5GBなら安いと言える一方で、ワイモバイルやUQ mobileなどのサブブランドまで含めれば、ほかにも選択肢は多い。

その意味で、無料期間の1年が、楽天モバイルにとっての正念場と言える。先の述べたとおり、基地局は4400局を突破したが、大手3キャリアと比べると、まだまだ桁が2つほど足りない。基地局整備のペースは、大きく上げていく必要がありそうだ。

(文・石野純也)


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