数ヶ月間にわたり猛威を振るう新型コロナウイルスの感染者数は今も増加しており、医療機関の受入可能な限界に近づいてきているという。
そこで、現在設立準備中の一般社団法人日本医療受診支援研究機構の有志5名は、現実味を帯びてきた「医療崩壊」を防ぐべく、Ubie株式会社開発の事前問診サービス「AI受診相談ユビー新型コロナウイルス版」を無料にて緊急提供すると決定した。
事前問診で適切な受診行動を
「AI受診相談ユビー新型コロナウイルス版」は、自宅で事前に問診か可能なAI問診システムだ。元となっているシステム「AI問診Ubie」は、約5万件の医学論文から抽出したデータに基づき構築され、41都道府県約200医療機関で導入されている。「AI問診Ubie」を応用して開発された同システムには、適切な受診行動をサポートすることが期待できるという。
同システムを利用するにはまず、ユーザーの年齢や性別などの基本情報と主な症状を回答する。その回答に応じてAIが個別化した質問を約20問ほど出し、すべてに回答後、病名辞書の中から該当する参考病名の代表例を複数表示。これにより、あらゆる病気の可能性を示し、受診の遅れを防ぐことができるようだ。
最後に回答内容に応じた相談先を提示する。それは地域の医療機関への受診前電話相談であったり、救急安心センター「#7119」であったり、厚労省の電話相談窓口であったりと、回答により情報が切り替わる仕組みだ。
ユーザーはこの情報をもとに受診行動を検討でき、適切な医療機関での受診を選択できるという。なお、同ウイルスの症状に該当する回答がされた場合はアラートを表示し、通院前の電話などでの相談を促したり、厚労省の電話相談窓口へ案内することになっている。
医療崩壊を防ぐために
日本における4月27日時点での感染者は13,441例、死亡者は372人と増え続けている。その中で懸念されている「医療崩壊」の大きな原因となるのが院内感染による医療機能の低下だ。院内感染を防ぐには感染疑いの事前確認が必要となる。
また、受診者の適切な受診行動も必要だ。軽症者が事前確認をせず大病院へ通院したり、緊急性を加味せずに救急車を呼んだり、反対に重症者が受診のタイミングを逸して重症化や感染拡大を招くということを事前確認により防いでいく。こうすることで、現在ギリギリのリソースで対応している医療機関の負担軽減へとつながっていくのだろう。
このたびこの「医療崩壊」に対抗すべく検討にあたったメンバーは、独立行政法人労働者健康安全機構理事長の有賀徹氏、医療法人社団つくし会新田クリニック理事長の新田國夫氏、知ろう小児医療守ろう子ども達の会代表理事の阿真京子氏、戸田中央医科グループ災害対策特別顧問の野口英一氏、Ubie株式会社共同代表・医師の阿部吉倫氏の5名。
今後は、データの分析やユーザーおよび医療機関からのフィードバックをもとにサービス改善を行うとのこと。また、医療機関との連携を深め、同システムの事前問診内容を医療機関に共有できるシステムの構築を急ぐようだ。
- Original:https://techable.jp/archives/122926
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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