このレポートは、アイリスオーヤマの「両面ホットプレート」のポテンシャルを追求した数日間の物語ーー
ある日、我が家の家電に新しい仲間が加わりました。アイリスオーヤマの「両面ホットプレート」(9878円)です。
バッグのようにコンパクトな見た目ながら、広げるとその両面に大きな鉄板が現れます。まあ素敵、と大げさに驚かずにはいられません。さっそく冷蔵庫にあるものを焼いてみました。
とはいえ買い出し前の冷蔵庫にあるものと言えばウインナー、チーズ、缶ビールぐらい。
しかし、ホットプレートに乗せてみるとあら不思議。何の変哲もないウインナーのはずが、「鉄板焼屋のママがサービスしてくれた特別なウインナー」といった雰囲気のいい焼き目が付きました。
特にチーズときたら、外はカリっと中はトロ~リ焼き上がり、4つで100円で売られていたとは思えないラグジュアリーな食材に変身です。掃除婦かと思えばシンデレラだったかのような美味しい変貌ぶりに、缶ビールはあっという間に空になります。
でもそのとき、ため息が聞こえた気がしました。振り向けば、両面ホットプレートが無言でこちらを見ています。その寂しそうな佇まいは「キミには料理への探究心がないのかい?」という諦めのようでもあり「僕を使いこなせるかな?」とどこか挑戦しているようにも見えました。
そう、まだ片面しか使っていない私は、彼(両面ホットプレート)のポテンシャルを引き出しているとは言えません。待っていて、ホットプレート。明日はもっと使いこなしてみせる!
■2面焼きで広がるお酒のつまみ調理は何でもおいしい!
そんなわけで意を決して食材を買ってきました。まずは定番の「焼き肉」を、今夜のワインに合わせてオリーブオイルで焼いていきたいと思います。
肉がおいしいのは当たり前ですが、じっくり焼いたグリル野菜は旨味がギュッと凝縮され、味付けは塩コショウだけで十分です。長いアスパラガスも余裕で焼ける大判サイズもいいですね! 素朴な美味しさに、ワインがどんどん減っていきます。
しかし、両面ホットプレート君はまだ不満そう。まあまあ、待ちたまえ。2面に分かれているキミは、左右で違う味付けも可能だと言いたいのだろう?
そこで出番が来たのが「油揚げ」。2面で分かれている両面ホットプレートなら、洋風と和風メニューの同時進行が可能なのです。
右の鉄板にごま油を熱し、油揚げを投入します。”昔風”などと表記のある分厚いタイプがおすすめ。それでも近所のスーパーでは2枚で68円でした。安上がりなのも宅飲みの魅力ですね。皮を剥いて輪切りにした山芋も一緒に焼いていきます。火が通ったあたりで醤油を少々。焦がし醤油の香ばしい香りが広がります。
仕上げに鰹節を振りかければ、立派な宅飲みおつまみのできあがりです。マスター、ハイボールください! マスターはいないので自分で作ります。
続いてはエリンギを醤油バター味に。テフロン加工ですし、少なめの油で火を通したあとでバターと醤油をかけていきます。こってり香ばしい美味しさに「マスター、ハイボールおかわり!」
両面ホットプレートも「初心者なりに頑張ったじゃないか」と労ってくれているようにも見えたこの日…。だけど、「まだまだ甘いな」という挑戦的な表情に、翌日は付属のたこ焼きプレートを活用することを決意しました。
■簡単アヒージョでワインが止まらない
挑戦するのは、ガーリックオイルで食材の旨味を引き出す「アヒージョ」。最近は「たこ焼き器でできる」と話題のメニューです。オイルは食材で溢れないよう、ほどほどに。各スペースにニンニクの薄切りを入れておきます。
食材はエビ、マッシュルーム、パプリカ、ブロッコリーなど。ブロッコリーは先に軽く火を通しておきました。
火が通るにつれ立ち昇るニンニクの良い香りが食欲をそそります。ゆっくりワインを飲みつつ、プリプリのエビをアツアツで楽しみます。保温にしておけば火が通りすぎることもありません。
右のプレートで温めたフランスパンとガーリックオイルとの相性も抜群。ワインと一緒に幸せな宅飲みタイムです。
そしてまた、両面ホットプレートの声が聞こえます。
「パンを焼き終わったあとの鉄板がお留守だぜ」
まるでボクシングの鬼トレーナーのような、たゆみない指示出しに、こちらも「おやっさん、俺まだやれるよ」という意気込みで引き続き何かを焼いていきます。
ニンニクと食材の旨味が出たアヒージョのオイルを右の鉄板に移し、唐辛子、余ったパプリカ、新玉ねぎ、ベーコンをソテーしたら、茹でたパスタを投入。オイルを全体に絡めたら、できたてのペペロンチーノです。
目の前で出来上がるあつあつのパスタは、まるでちょっとしたエンタメのように心が踊ります。伸びる間もなく、ワインと一緒に胃袋に消えました。おやっさん、今日の私はどうでしたか?
「キミがどこまで僕を活用できるか見せてくれ」という彼(もちろん両面ホットプレート)の期待に応えるべく、宅飲みメニューへの挑戦はまだまだ続きます。週末はお出かけ気分を味わう「グルメバーガー」に挑んでいきます。
■バーガーとコロナビールでアメリカンスタイルを味わう
とはいえ、バーガー用のバンズさえ見つければ、あとはひき肉、レタス、トマト、とけるチーズなど、身近な食材で十分です。ひき肉の味付けは塩、コショウ、ナツメグなどのスパイスをお好みで。最終的にケチャップが助けてくれるので、ここでの味付けはおおらかにやっていきましょう。
そして外出を自粛して外の空気が恋しい私はこの日、書を延長コードに持ち替えてベランダへ出ました。
キャンプで火をおこす時は風よけなどが必要ですが、ホットプレートは電気の力で火力も万全。文明の素晴らしさを讃えながら強火でジュージューとパティと新玉ねぎを焼いていきます。もう一方の面では弱火でバンズを温めておきます。
続いて肉の脂でササッとマッシュルームなどをソテーしていきます。
チーズも一緒に溶かします。テフロン加工だと焦げ付かなくていいですね。またもや文明を褒め称える瞬間です。
すべてをパンに挟んだら出来上がり。ケチャップをドバっとかけたら、うららかな春の日差しの中で、ほとばしる肉汁があごを伝うのも構わずがっついていきましょう。
せっかくの昼飲みなので、お供にはライトなコロナビールなどいかがでしょうか。村上春樹を気取ってバドワイザーでキメるのもいいでしょう。ベランダとはいえちょっとしたアウトドア気分。春の風を感じながらビールで流し込むバーガーは最高です。
ホットプレートを振り返ると、油に汚れた顔ながらどこか満足そうに微笑んでいるように見えました。そんな両面ホットプレート君は、焚き火と違って片付けも簡単。
すぐに外せるプレートを一気に洗ったら、今日もありがとうという気持ちを込めて、ボディをやさしく布で拭いてあげるだけでOKです。やさしくする必要はないかもしれませんが、いいじゃないですか。私たちはチームなんですから。
■鉄板料理の王者・広島風お好み焼きも完璧に作れます
さて、翌日も気合いを入れて臨みたいと思います。我々の特訓(?)の集大成となるメニューは「広島風お好み焼き」です。
食材すべてを一緒に混ぜるお好み焼きと違い、”広島風”は生地、キャベツ、肉、焼きそば、玉子が美しい地層のように重なり、それぞれの旨味が互いを否定せず共存するのが特徴。別々に焼いていくため、ある程度のスペースが必要ですが、両面ホットプレートならスペース問題も解決です。
食材の中で最も重要なのは「おたふく お好みソース」。広島には大きく分けて2つの流派があり、甘めを好む者は「おたふくソース」、しょっぱめを好む者は「カープソース」を信奉しています。いずれも等しく美味しいのが特徴です。
まずは200度に熱した鉄板に生地を流します。生地は、大さじ2杯強の小麦粉を水100ccぐらいで薄めに溶いたもの。クレープを作る要領で丸く広げたらカツオ粉をパラパラとまぶし、キャベツともやしを山盛りに乗せます。
「えぇっ、こんなに乗せるのかい?」というぐらい強気で乗せるのがポイントです。余った生地を回しかけてつなぎにしたら豚バラスライスを乗せ、生地に焼き目が付くまで焼きます。
生地がパリッとしたな、ぐらいのタイミングでひっくり返します。キャベツが飛び散りちょっとした惨劇に見えますが、生地の下にそっと押し込んでしまえば何事もなかったかのような顔に戻るので心配はいりません。
最初はオラオラと虚勢を張ってかさばっていたキャベツたちも、生地がフタとなりやさしく蒸し焼きにされるうちにおとなしくなります。上から押さえずふんわりと焼き上げるスタイルもいいですが、我が家では上からギュウギュウと押さえつけてしっかり焼きます。体罰ではありません。指導です。
キャベツたちに火を通す間に、別の面で焼きそばを作っていきます。ここは袋の指示通りに作ればいいだけです。出来上がったら中央を譲ってもらい、脇から見ておいてもらいましょう。幸いなことにホットプレートは中央の方が火が強いので、端なら待っている間に焦げ付くこともありません。
さて、次に中央でスポットライトを浴びるのは玉子です。目玉焼きの要領で割り入れ、少し黄身を崩して広げたら、横でおとなしく見ていた焼きそばたちを乗せてあげましょう。半熟が好みの人はここで火を落とし、待機です。
そうこうしている間に荒ぶっていたキャベツは、すっかりしんなりとおとなしくなりました。特に春キャベツの時期はほんのりとした甘みがソースと絡んで美味です。整った彼らをそっと持ち上げ、待機していた焼きそばの上に乗せたら、トッピングして完成!
トッピングの基本はおたふくソース、鰹節、青のり。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、味付けはほぼおたふくソースのみです。広島風お好み焼きは複雑な行程に見えて、実は味付けには失敗のない最強宅飲みメニューなのです。
お好みでネギのみじん切りをドッサリ乗せても、七味唐辛子をパラパラと振っても美味しいですよ。「このビール泥棒め!」と愛を込めて声をかけたくなる広島風お好み焼きでございます。
さて、アイリスオーヤマの「両面ホットプレート」と私との関係性ですが、ここまで来るともう、「あ、うん」の呼吸で活動できるチームワークです。ワンチームになれた今、宅飲みメニューに無限の可能性を持つ両面ホットプレート君と切磋琢磨してきたいと思います。外出自粛が解除になったあかつきには、家に招いた友人たちを前に、このタッグチームで数々の家飲みメニューが披露されることでしょう。デビューの日が楽しみです。
>> アイリスオーヤマ「両面ホットプレート DPO-133」
>> 【宅飲み家電】
取材・文/明知真理子
明知真理子|広島県出身。映像制作会社、編集プロダクションを経てフリーランスに。本と映画と音楽とプロレスが好き。編集を担当した『東郷見聞録 世界一周プロレス放浪記』(ディック東郷/著)が発売中。Twitter
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