自宅で聴くなら使うなら開放型ヘッドホン、いってみない? 一者三様の在宅ヘッドホン・ヘッドセット選び No.1

近年のヘッドホントレンドは、移動中に聴くことが多いことから音漏れが極めてすくない密閉型(クローズド型)のヘッドホンが中心でした。しかし外出する機会が減った現在。自宅で聴くなら音漏れなんて気にしなくていいのではなかろうか。開放(オープン)型や半開放(セミオープン)型に注目すべきではなかろうか。そんな思いを胸に手に入れたK240 Studio-Y3の音を聴いてみたら、えっ!? 6000円台のヘッドホンでこのサウンドクオリティですかっ!?

在宅ワーク中って音楽リスニングタイムと同意だよね

クラシカルなデザインだが、それもそのはず。オリジナルモデルの誕生は1975年だ。

長らく続いてしまった外出自粛要請。会社への出勤が大幅に減り、もしくはなくなり、在宅でテレワークしている方も多いのではないでしょうか。

起きてもご飯を食べても仕事をしていても同じ天井。自宅のほうが仕事が進むという素晴らしいスキルを持っている人でなければ、曜日や時間の感覚が薄れてきて、なんだか鈍感力ばかり高まっていく感じ。外出せずとも気分転換ができる方法はないだろうか…と周囲を見渡すと、真っ先に目に入ってくるのがテレビやゲーム、そしてオーディオではないでしょうか。

仕事中ということを考えると、視覚も聴覚も奪ってしまうテレビ&ゲームは厳禁。しかしオーディオ、音楽であればキーボードを叩いている間でも楽しめるし、ヘッドホンで聞いていれば急のビデオチャット要請時も焦ることはありません。いいじゃない!

だからこそ選びたい。音漏れあるけど開放感あるヘッドホンを

ハウジングパネルに穿たれた8つの穴。ドライバーの背圧の一定量がここから抜けていく。

ヘッドホンには大きくわけて密閉型・開放型という2つのタイプがあります。密閉型は外側に音漏れが少なく、低音の再生が得意で、ギュッと絞り込まれた高密度な音場の再現に向いたタイプです。ステージのど真ん中にいる感覚が味わえますが、やや箱庭感もある。

対して開放型は、ハウジング(ヘッドホンの外側のパーツ)に穴が空いており、盛大に音漏れしちゃうタイプ。電車の中ではまず使えないのですが、反射音がないために音の純度が高く、精細感の強い音を得意とします。音場も広い。ヘッドホンの外から音がやってくるような、スピーカーに近い体験もできます。周囲の音を聞き取りやすいという特徴もありますね。

また密閉型と開放型の中間の特性をもつ半開放型もあります。ハウジングに穿たれた穴のサイズ・数が少なめで、広めの音場再現をしながらドラムやベースといった低音も聞き取りやすい。

自宅で使うのだから、音漏れは二の次でいいと考えると、開放型と半開放型がもつ開放感あるサウンドに注目したいところ。

想像してみてください。ステージ最前列で、ずーっと耳元で、誰かが「いくぜいくぜいくぜほらきたー!」と怒鳴っている姿を。自分のテンションをガチ上げしたいときにはコングラッチュレーションですが、それが何十本も続くと疲れちゃう。

でも開放型と半開放型の音場の広さは、その前のめりなノリを適度に和らげてくれる効果があるんです。ボーカルの位置は近いのだけど、他の楽器音はちょいと遠くから聞こえてくるから、音楽全体を俯瞰して聴き取れる。この性質が、BGMを求めたいときにピッタリなんですよね。

歴史ある殿堂入りの名機がいまや6000円台

ヘッドホンにしては小口径なドライバーユニットで低音を生むために、フィルム状のローパスフィルターが使われている。

開放型、半開放型のヘッドホンはモデル数が少なめ。それだけに個性豊かなモデルが揃っているのですが、このタイミングで一番推したいモデルはこれ。AKG「K240 Studio-Y3」です。K240というシリーズのスタジオタイプで3年保証つき、というモデルです。

まずはK240シリーズの歴史からおさらいしましょう。初号機は大きなドライバーユニットが使えないなかで低音を奏でるためにパッシブドライバーを搭載した、オリジナルのK240(1975年)。1ドライバー・6パッシブドライバーという、いま現在考えても凄まじくゴージャスな作りでした。1台2万3000円だから、現在の貨幣価値で換算すると5万円くらいの価値だったのでは。

マイナーチェンジを繰り返してきたK240シリーズですが、1985年に登場したK240Monitor(2万4000円)、K240DF(3万2000円)もエポックメイキングなモデル。特にK240DFは放送局の基準に合わせており、まさに原音再生を地で行く機種として有名です。

大きく変貌したのが2003年。パッシブラジエーターの代わりにフィルムのローパスフィルターを採用し、当時流行っていたiPodなどでも鳴らしやすいようにチューニングされたK240Sです。ゼロ年代におけるスタジオユース機で、コイツの設計はそのままK240 Studio-Y3に受け継がれています。

さて、K240 Studio-Y3の価格は税込み6230円でした。ぶっちゃけ格安です。激安特価です。だってK240Sのお値段は2万5000円ほどだったんですもん。15年以上が経過しているとはいえ、1/4の価格で買えるんですよ新品が。

現代の基準で考えると上級のラウンジトーン

ハウジングアームの内側にあるゴムヒモが、K240の窮屈さの原因。分解して外してしまうユーザーや、伸ばした状態で保管して伸縮性を低減させるユーザーもいる。

K240 Studio-Y3は半開放型ですが音場がなかなかに広く、コンサートホール感ある。リバーブを生かした曲を聞くとちょっと驚けますよ。音が頭の中で鳴っているのではなく、手を伸ばした先で鳴っている感覚を味わえますから。

ちょっと音が遠いため、ボーカルの位置もちょい遠い。ライブハウスの真ん中くらいで聞く感じでしょうか。同時に弦楽器や管楽器の伸びやかさがデリシャス。6000円台のヘッドホンとしてはありえないほど、倍音が豊かなんです。しかもキツくない。シンバル1発も「ジャ」ではなく「シャ」。シャワワワーンと音が広がっていくんです。

意外や意外に低音もなかなかに得意。密閉型ほどの量・正確性にはたどり着けないのですが、ホールという空間のなかで反射を繰り返して膨らんでいく様子の再現にリアルさを感じますね。

ヘッドホン側のケーブルコネクタは、AKG製モニターヘッドホンの一部のモデルと共通。カスタム用のケーブルも販売されている。

よりシャープでHi-Fiでハイレゾなトラックが多い2020年に使うと、音の輪郭がややナローな印象は受けますが、精緻なニュアンスが欲しいなら密閉型でカバーしましょう。コイツの良さは、現代的なラウンジトーンなのですから。正確性あり。解像力あり。レンジあり。それを少し柔らかくコーティングした音は、BGM用途に最適なのですから。

ところでメーカー名のAKG。みなさまはどう呼びますか? 楽器店に電話したら「ああアーカーゲーですね」。大手量販店のECサイトでも「アーカーゲー」。でも販売代理店であるヒビノに確認したら「いまはエーケージーと呼ぶんですよー」なんですって。1994年にアメリカ企業のハーマン・インターナショナル傘下となってから、そう呼び名が変わったんですって。ということは、25年以上も古い呼び名が使われている、と。ああ、ブランドの浸透って時間がかかるし難しいんだなあと感じますね。

AKG
K240 Studio-Y3
実勢価格:6230円

Point.1 有線ヘッドホン
Point.2 半開放・セミオープン型
Point.3 マイク無し

公式サイト


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