“炙り”を極めれば自宅でも海鮮居酒屋のクオリティが出せます【宅飲み家電 #10】

家族一緒の食卓が増え、宅飲みの機会がすっかり多くなった今日このごろ。それはそれで幸せな時間なのですが、塩辛やお漬物、スナックや乾き物といったお手軽な酒肴がループしちゃって困ります。

ああ…、居酒屋や寿司屋で味わう新鮮な魚介や肉の「炙り(あぶり)」ってなんで美味しいんですかね。というわけで、宅飲みのテーブル上で極上の炙りを楽しむノウハウと、ギアをご紹介しましょう!

■「魚の炙りが旨くなる」原理を知ろう!

寿司屋でも人気の、魚介をおいしくする調理法「炙り」。大きく分けて炙りの効果は2つあると思われます。ひとつが、脂の旨味を引き出す役割。

もうひとつは、素材の表面が熱で焼けてキツネ色~茶色になると生まれる化学反応によるものです。これは「メイラード反応」と呼ばれるもので、食材に含まれるアミノ酸やタンパク質と、糖が結びついて化学反応を起こしたもの。その結果、褐色物質であるメラノイジンや香味成分を生成し、食欲をそそる「香ばしさ」を醸し出すのです。

■家庭用でも使える炙りマシンで香ばしく!

そんなわけで、旨味豊かな魚の脂分を溶かし出すような火入れ加減と、メイラード反応を起こせるような炙りができれば、お酒がクイクイすすむ絶品のおつまみができる…はず。

でも家の中で七輪を使うのはなかなかハードルが高いし、なにしろ準備と片づけが面倒。抑えきれない炙りたい気持ちに対して、スピード感に欠けるのです!

そこで、今回は家庭内でもじっくりとした火加減で炙りができるギアを使って、至高の炙りおつまみづくりを検証してみました。

検証機は、卓上コンロの代名詞ともいえるイワタニが送りだした、炙り専用のコンロ「炉ばた焼器 炙りや」(実勢価格:5000円前後)です。今回はいくつかの炙り用食材を用意したので、食材の特性ごとに魚介に絞った炙り方法を検証。あわせて個人的に合わせたいお酒の種類もご紹介します!

■素材の種類別 炙り方検証&合わせたいお酒

【炙りターゲット①】
ガツンと脂がのっている魚&部位

まずは脂ののった魚の、さらにメタボな部分を炙ってみました。今回試したのは、ブリの腹身(切り身の場合、白くなっている部分が目印)と、キングサーモンの皮付き腹身です。

ちなみに、これらの魚に熱を通す際は、強火厳禁です。脂分がすぐに燃え上がって黒焦げになりやすいのが理由。正しい炙り方は、遠火で時間をかけて、熱をじっくりと通すこと。こうすると、細胞膜がゆっくりと崩壊し、旨い脂分が溶け出してきます。

この点、「炙りや」は、構造的にガスの炎の上に赤く熱される輻射板があり、直火を使わないため、熱が一カ所に集中することなく、ムラなく炙れます。

目安の焼き色は、黒焦げしないよう、うっすらきつね色くらいが、理想です。内側はミディアム~レアで、表面はカリッと香ばしい見た目を目指してください。

また、煙がもうもうと出るような炙り方は、火力が強い証拠。そんなときも火をグッと弱火に押さえ、じわじわと時間をかけて、理想の色を目指して炙りを続行してください。

味付けは塩ベースが合いますが、醤油やつけダレなどはお好みで。いろいろ試すのも面白いですよ。個人的には、ブリの炙りには、練り辛子と醤油が合いました!

直接塩ベースの下味をつけて炙るのであれば、BBQ用のスパイスなんかも相性バッチリです。キャンプの肉料理でも使える、絶品スパイスも取り寄せてお試しください!

合わせたいお酒、一杯目はスカッと爽快な「角ハイボール」。いろいろなウイスキーを試しましたが、脂っぽい魚のおつまみに合わせるのは、「サントリーウイスキー角瓶」にレモンを絞るパターンが一番ハマる気がします。

【炙りターゲット②】
イカやタコをタレ炙り

脂が控えめな淡白な白身魚や、イカ・タコなどは、タレを少し絡ませてから炙ると、美味しく仕上がります。

美味しくなる秘密として紹介した「メイラード反応」は、タンパク質+糖質に熱を加えると起こります。たとえば、うなぎのかば焼きや焼き鳥なども、もともとの素材+糖分を含むタレをじっくりと時間をかけて炙ることで、このメイラード反応を生んでいるのです。

今回はタレ炙りでスルメイカを試してみました。

タンパク質のみのイカの表面に、タレ(みりん+しょうゆ)を塗って炙ることで、夏祭りの焼きイカと同じ、食欲を増す香気が漂います。メイラード反応、バンザイ!

焼き加減は好みが分かれるところですが、濃厚なタレの旨さを味わいたければ、タレを2度塗り3度塗りして、表面に琥珀の衣が出てくるまで炙りましょう。大人の酒のアテのみならず、キッズたちにも大人気の炙りメニューです!

合わせたお酒は、タレの香ばしさに負けない、強めの香り…と思いまして、玄海酒造の麦焼酎「壱岐スーパーゴールド22」を。炭酸で割ると麦の香りと樽香が口中でブワーッと広がります。

【炙りターゲット③】
貝類

小粒でしたが、はまぐりが手に入ったので焼いてみました。焼き上がるとカパッと開いて、美味しい汁が出てきます。そこに醤油をほんのひとしずく。おつゆも、身も、たまらん旨さです。やっぱりお酒は「壱岐スーパーゴールド22」がハマります。まさか家で “焼きハマ” できるとは思いませんでした。

ただ、課題もいくつか。はまぐりの表裏がわからず、開いた瞬間、逆さまになってて、盛大に汁がこぼれるリスクがあって、焦ることと、安定性を欠くこと。ここは研究の余地ありですね。焼きホタテなんかも試してみたいです。

【炙りターゲット④】
炙りマシュマロ

父親だけで楽しんではいけません。ここは免罪符的に、デザート炙りもお試しあれ。焚き火と違ってジワッと炙れて、失敗が少なく程よいきつね色にできるので、ママやキッズたちには大ウケです。ちなみに、この日は、焼き鳥モードで串焼きにしてみました…。

■結論:卓上炙り機は手軽なのにメチャクチャ食材がおいしくなる

家庭内で、炭火などを使わずにカセットガスだけですぐに炙りができる手軽さは本当に重宝します。この「炙りや」、しばらく卓上に固定しておきたいくらい…。

焼き海老や、焼き野菜など、季節ごとにいろんな楽しみ方ができそうなので、引き続き研究したいところです!

串で焼き鳥を楽しみたいときは、串焼きステーを立ち上げればご覧のとおりの焼き鳥屋モードに! 炭火にはない利点は、火力調節が自在なところと準備&片付けが簡単なところです。

ちなみに使用時は、下のトレーに水を入れて使います。底部はそれほどの極端な熱さにはなりませんでしたが、筆者は木目のテーブル上で使ったので。念のため下に難燃素材の敷物を入れて使用しました。

タレが輻射板に落ちると煙が出て、脂が垂れると炎が上がりますが、慌てずつまみを「消」にしましょう。使用後は、トレイや焼き網、輻射板が取り外して洗えて、メンテも簡単。もうこれ、囲炉裏代わりに、卓上にしばらく固定したいわー。

>> イワタニ「炉ばた焼器 炙りや」

>> 【宅飲み家電】

 

取材・文/ナオ・サクライ

ナオ・サクライ|子供のころ、九州で渓流から海まで、さまざまな釣りを経験したのち上京。学生時代から東京湾奥のシーバス釣りにハマったのを皮切りに、ありとあらゆる海のルアー釣りへとのめり込み、離島のショアGTや怪魚釣りなど、エクストリームな釣りを経験。現在のメインの釣りモノは、タイラバで釣るマダイ。


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