ラズパイで動くAndroid「emteria.OS」が産業用OSに

Emteria(エムテリア)は、Androidの公式のプロジェクトAndroid Open Source Project(AOSP)の制約から生まれたスタートアップ。AOSPは、産業用のアプリケーションで使うには十分な機能を備えておらず、カスタマイズして機能を追加する必要がある。そして、一部の産業ではいまだにWindows CEのような古いプラットホームで券売機などを動かしている。

Emteriaが開発したemteria.OSは、産業用に改良したAndroidオペレーティングシステムだ。すでにドイツの官民が出資する投資会社であるHigh-Tech Gründerfonds(HTGF)や米国サンフランシスコを拠点とするRuna Capitalなどから計150万ユーロ(約1億7440万円)の資金を調達している。

Androidはアクティブデバイスが25億台ある最も一般的なOSではあるが、AOSPはGoogle Playサービスや端末メーカーが提供するアップデートを利用できないほか、ユーザーが使える機能を制限しなければならない産業用OSには適していない。

emteria.OSは、チケット読み取り装置やレジ、券売機、スマートホームのコントローラー、ビデオ会議システム、警報システムなど、顧客が必要とするものなら何でも動かすことができる。パーソナライズされたブランディング、セキュリティアップデート、継続的なサポートも受けられる。同OSはすでに7万5000社超が導入している。

Emteriaの創業者でCEOのIgor Kalkov(イゴール・カルコフ)博士は「Androidのプラットホームはモバイルのオペレーティングシステムとして70%以上のマーケットシェアに達しているが、B2B市場は、現状ではその市場シェアの拡大に失敗している。B2B市場ではOS開発に多くの課題が残されている。Emteriaのビジョンは、モバイル革命のように個別化されたソフトウェアから産業用デバイスを解放することだ」と語る。

カルコフ博士によると「現在、ソフトウェアサービスプロバイダは産業用Androidの開発契約を結ぶことが多いが、顧客側では契約に含まれていないことは何もできないソースコードになっている」とのこと。開発契約の額も高価なうえ、100社100種類のAndroidディストリビューションを開発している。

HTGFで投資マネージャーを務めるDaniela Bach(ダニエラ・バッハ)氏は「産業用オペレーティングシステムの分野ではこの技術のポテンシャルが極めて高いことを我々は確信している」とコメント。

また、Runa CapitalのパートナーであるDmitry Galperin(ドミトリー・ガルペリン)氏は「emteria.OSの開発チームは、オープンソースのAndroidにはないデバイスの設定と管理のための重要なレイヤーを開発したことで、Raspberry Piコミュニティの間で大きな成功を収めている。我々は、Emteriaが今後もより多くのIoT開発者を引きつけると信じている」と付け加えた。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa


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