モノ作りを追求する姿勢によって誕生したコラボレーション
『紅の豚』について今さら多くを説明する必要はないだろう。1992年、スタジオジブリによって制作された宮崎駿原作・脚本・監督のアニメーション映画で、数々の宮崎作品のなかでも、とりわけ大人の男性を魅了したタイトルのひとつと言える。
そんな『紅の豚』とコラボレーションしたブランドが「セイコー プレザージュ」。創業100年を超えるセイコーの時計づくりの伝統と現代のテクノロジーを融合したモデルを展開するブランドで、コレクションには日本特有の美意識を宿している。それを明確に示すのが、ダイアルに用いられた素材。現在、プレザージュはふたつのシリーズを展開しているが、そのうちのひとつ、プレステージラインのダイアルには琺瑯や漆、七宝、有田焼といった、伝統技法によって生み出された素材が用いられている。
しかも、プレザージュにはこうした素材が“使われている”というだけではない。それぞれの素材に長年携わっているプロフェッショナルに監修を依頼し、セイコーのタイムピースにふさわしいクオリティに仕上げているのだ。
プレザージュと『紅の豚』がタッグを組んだのはなぜか? セイコーウオッチによれば、その根底にあるのは「プレザージュとスタジオジブリが大切にしている、日本の真摯なモノ作り」だという。セイコーは腕時計、スタジオジブリはアニメーションのクリエイションを追求しており、さらに日本国内のみならず、世界に向けて発信しているという共通の姿勢が、今回のコラボレーションを実現させたわけだ。
こうして誕生したのが、セイコー プレザージュ「スタジオジブリ 紅の豚 コラボレーションモデル」。2モデルをラインナップしており、「SARR005」はセイコーの独自機構スプリングドライブを、「SARK017」は自動巻きムーブメントをそれぞれ採用している。
セイコー プレザージュ
スタジオジブリ 紅の豚 コラボレーションモデル SARR005
62万7000円
セイコー プレザージュ
スタジオジブリ 紅の豚 コラボレーションモデル SARK017
44万円
作品のファンでなくても魅了されるデザインと質感
「スタジオジブリ 紅の豚 コラボレーションモデル」が発表された数日後、筆者はこのモデルを手に取る機会を得た。正直、最初に報道資料に目を通した限りではピンと来なかったのだが、実際にこの時計を手にするとその完成度に目を奪われてしまった。
このモデルに採用されているのは琺瑯ダイアル。前述のとおり、プレザージュの既存モデルでも使われている素材だ。そしてデザインは『紅の豚』の主人公ポルコ・ロッソが駆る飛行艇サボイアS-21に着想を得ているというのだが、この艶やかな琺瑯と、機体の尾翼に用いられているレッド、ホワイト、グリーンといった挿し色とのコントラストがなんとも美しく、その質感に惹きつけられたのだ。
それもそのはず。このコラボレーションモデルで使われている琺瑯ダイアルも、現行のプレザージュと同様、琺瑯職人の横澤満氏が監修。横澤氏は1971年に富士ホーローに入社して以来、40年以上にわたって琺瑯に携わっている人物で、わずか0.01mmの塗布面の厚さの違いを見極められるほどだという。そんな横澤氏の監修によって生み出される琺瑯ダイアルの滑らかで温かみのある質感は、『紅の豚』から滲み出る空気感にも通じるものだ。
「SARR005」は57万円(税別)、「SARK017」は40万円(税別)と、アニメーション作品のコラボモデルとは思えない価格なのだが、それだけの手間をかけて作られた時計であること、そもそも『紅の豚』が大人に向けて作られた作品であることを考えれば、このプライスにも納得がいく。そしてもうひとつ付け加えておきたいのが、その質感と洒落た配色は、作品の熱心なファンでなくても魅了されるってことだ。
問セイコーウオッチ●0120-061-012
www.seikowatches.com/jp-ja/products/presage
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000124071/
- Source:デジモノステーション
- Author:竹石祐三
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