米国の4月のeコマース売上高は新型コロナ禍の需要で49%増、パジャマは143%増

オンライン小売業者は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響でブラックフライデーのような売上を目の当たりにしている。Adobe(アドビ)のDigital Economy Index(デジタル経済インデックス)の新たなデータによると、米国のeコマースは、ベースとなっている外出禁止令が出る前の3月上旬に比べて4月は49%増えた。オンライングローサリーが売上増に貢献し、3月から4月にかけて日々の売上は110%増だった。一方、エレクトロニクス製品の売上は58%増、書籍の売上は倍になった。

アドビのDigital Economy Indexを参考にしているこのデータは、1億ものSKUにまたがる1超件あまりのオンライン決済を分析したものだ。データを収集するのに米国のトップ小売100社のうち80社の協力を得ている。

こうした数字は、新型コロナウイルス危機に対応するのに役立つプロダクトに消費者が進んで金を使っていることを示している。ここには、大部分を占めるオンライングローサリーのピックアップと配達が含まれている。

Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)、Instacart(インスタカート)などの企業は増大する小売需要に対応するために新たに従業員を雇用した。The Informationが最近報じたが、Instacartに関していえば、新型コロナ感染拡大で需要が大幅に増えて初めて黒字になった。同社は4月の最初の2週間に7億ドル(約750億円)ぶんのグローサリーを販売し「これは2019年12月の売上より450%多い」と記事にはある。

一方、オンライン販売のエレクトロニクス製品部門はここ数年で初めてインフレとなった。アドビによると、オンラインのエレクトロニクス製品価格は2014年以来デフレとなっていたが、新型コロナウイルスにより価格下落傾向が止まった。

コンピューターの価格は需要増により4月には上がりさえした。加えて、オーディオミキサー、マイク、マイクケーブル、他のオーディオ関連機器の販売は4月に459%増えた。ポッドキャスターやクリエイターが家をスタジオにしたようだ。

エレクトロニクス製品部門全体がいま販売増となっているようだ。「エレクトロニクス製品サプライチェーンへの新型コロナウイルスの影響が今後しばらく続くかもしれないことを考えると、この傾向はすぐに終わるものではなさそうだ」とアドビのレポートは指摘している。

一方で消費者は4月にアパレル購入でもオンラインを利用した。販売は34%増えたが、価格は下がっている。解雇されたり在宅勤務になったりして職場に行くための服を着る必要がなくなり、アパレルの価格は月間としては過去5年間で最大の落ち込みとなった。4月の価格成長率は通常マイナス2.9%だが、今年の4月はマイナス12%だった。在庫を早く一掃しようと小売がセールを展開したため、価格はなお下がった。

アパレルの購入動向をみると、驚くことではないが消費者の購入意欲は快適アイテムに向かった。4月はパジャマ(143%増)のようなものがよく売れ、ズボン(13%減)やジャケット(33%減)といったビジネス服が振るわなかった。

特定の部門での販売増に加え、4月はまた「オンラインで購入し、店でピックアップ」の注文もかなり増えた。ショッピング時のソーシャル・ディスタンスを維持しようと、4月1〜20日の間、このスタイルの注文は前年比208%増となった。

アドビのデータは、4月にオンラインショッピングが急増したとする他のレポートと同調する。

たとえば6200種を超えるブランドと小売サイトのネットワークに基づくBazaarvoiceのデータは、4月は3月よりもeコマースが増えたことを示している。消費者は生活必需品(おそらくトイレットペーパー!)の確保を3月に終え、4月になっておもちゃやゲーム、エンターテイメント、スポーツグッズ、ペット用品に意識が向かった。

アドビのレポートではまた、消費者が新型コロナ危機を耐えていた4月にワインやビール、スピリッツとそれに関連するアクセサリーのオンライン購入が74%増えたことも明らかになった。

デジタルマーケティング会社のBazaarvoice(バザーボイス)によると、ページビューや注文、レビュー提供、質問の数など同社が追跡しているあらゆる指標が4月は3月よりも増えた。

ページビューに関しては、3月は前年比25%増だったが、4月は同88%増だった。また、注文数は3月に同21%増となり、4月は96%増だった。加えて、3月はページ閲覧のようなブラウジング行動が購買行動よりもはるかに多かったが、4月は購買の方が多くなった。

「オンラインへのシフトの全体的な影響として価格上昇があるかもしれない」とアドビは警告した。

「オンラインがオフラインの小売経済を吸収するにつれ、ここ数年なかったインフレが見られている。特にエレクトロニクス製品など、オンラインでデフレが続いていた部門で顕著だ」と Adobe Digital Insightsのディレクターを務めるTaylor Schreiner(タイラー・シュレイナー)氏は指摘した。「米国人はオンラインで安く販売されることに慣れているが、そうしたトレンドは終わるだろう。オンライン・コマースはこれまでと同じようにはならない。新型コロナウイルスがそうしたプロセスを加速させたようだ」

画像クレジット: AlexRaths

“新型コロナウイルス

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi


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