焚き火台選びにあたって、求める条件はなんでしょう?
「軽い」
「タフで長く使える」
「コンパクト収納」
「組み立て・後片付けが楽」
「長い薪を使える」
こんなところでしょうか。
こうやって条件を並べてみると相反していることばかり。結局、何かを妥協するわけで、毎年のように焚き火台が増えていくのも当然です。
ところが今シーズン登場の焚き火台には「軽い! 収納コンパクトなのに、組み立て簡単・タフなやつ。おまけに30〜40cmの長い薪をそのまま使える」という5つの条件を兼ね備えたものが5つもありました。
<重量・収納サイズ>
①バイヤー アウトドアソリューション
「バイヤーストーブ」(1万4800円/税別)
重量:1.5kg
収納サイズ:32×22×H4cm
対象:ソロ〜デュオ向き
②スポルテスアウトドアツールズ
「ファイヤーウォール プラス」(2万8000円/税別)
重量:2.32kg
収納サイズ:32×22×H4cm
対象:ソロ〜3人向き
③ベルモント
「TABI」(1万円/税別)
重量:423g
収納サイズ:17.8×36×H1.5cm
対象:ソロ〜デュオ向き
④TAKIBISM/槇塚鉄工所
「リアルファイヤースタンド ジカビ Sサイズ」(2万円/税別)
重量:720g(本体のみ)
収納サイズ:φ31×5.6cm
対象:ソロ向き
⑤モンベル
「フォールディング ファイヤーピット」(1万6900円/税別)
重量:4.1kg
収納サイズ:42×30×5cm
対象:ソロ〜ファミリー向き
今回集めたのは、薄型収納で重量5kg以下の焚き火台。1kg以下なら徒歩や自転車でも持っていく気になります。2kgだとちょっと徒歩には厳しいですが、オートバイなら問題なし。
⑤フォールディング ファイヤーピットは存在感がありますが、厚みは5cm。ファミリー対応のビッグサイズで二次燃焼タイプなのにこの薄さはあっぱれです。
■飽きずに見ていられる美しい炎が自慢
モンベル
フォールディング ファイヤーピット(1万6900円/税別)
サイズ:42×22×H30cm
素材:ステンレス
深型でたっぷりの薪を受け止めてくれる焚き火台。ぱっと広げて底板を敷けば組み立て完了するので手間がかかりません。しかも、側面2枚が二重構造になっており、効率よく薪を燃やしてくれます。
写真は雨上がり&湿った薪を使ったので白い煙が出ていますが、購入したばかりの乾いた薪を使った時は煙があまり出ず、灰になるまできれいに燃やしてくれました。
安定感があり、別売クッカースタンド(2200円/税別)を載せて大鍋料理も楽しめます。
壁の上部に穴がならんでいて、ここから熱風が噴きだして燃焼しきれなかったガスを燃やします。ぼんやり眺めるだけでも飽きません!
組み立て:★★★★(広げて底網を敷くだけ)
炎:★★★★(上からのぞき込むと楽しい)
料理:★★★(焼き網付き)
>> モンベル
■足下あったか、ほぼ直火
TAKIBISM/槇塚鉄工所
「リアルファイヤースタンド ジカビ Sサイズ」(2万円/税別)
サイズ:φ31×5.6cm
素材:ステンレス
丸いディスク状の焚き火台です。ビーチ焚き火の伝道師、寒川一さんがプロデュースしたもので「足下をあたたかくする」に特化したデザイン。高さ5.6cmなので、ほぼ直火。草地では耐火シートがないと焦げ跡ができそうですが、足下は確かにホカホカします。
Sサイズの場合、パンはφ23cm。外側のワイヤー部分も使うことで約30cmの薪を載せられるし、パンの外側に湿った薪をのせて乾くまでスタンバイさせてもいいでしょう。
トライアングル状の不思議なパーツが付属しています。これにケトルや鉄板を載せてゴトク。また、浅型の焚き火台ですが、トライアングルに薪を立てかけることで少ない薪でも高さを出してちょっと大きな炎を生むこともできるんです。
組み立て:★★★★★(組み立て不要)
炎:★★★★★(上からも横からも遮るものがなくよく見えます)
料理:★★★(トライアングル型ゴトク付き)
■ペットみたいなロケットストーブ
バイヤー アウトドアソリューション
「バイヤーストーブ」(1万4800円/税別)
サイズ:32×26×H29cm
素材:ステンレス
なんだか生まれたての子鹿が立ち上がりかけているかのようなデザインですが、これがロケットストーブ! イスラエルからやってきました。
複雑そうに思えますが、ゴトク以外すべてつながっているので組み立ては超簡単。子鹿の首部分と胴部分を広げ、それをくっつけてロック。脚を伸ばせば完成です。ロケットストーブだから、薪はもちろん、小枝でも燃焼はパワフル。
煙突効果で少ない薪でも勢いのある炎が生じます。ゴトク付きなので湯沸かしだってお手の物。筒の大きさは8×8cmなので、あまり太い薪は使えませんが、子鹿のおしりがツンと上向きなので薪を押し込みやすく、灰がこぼれにくいという特徴があります。薪の長さは40cmだと10cmほどはみ出すので、薪の長さ35cmくらいまでのほうが安定感があります。
組み立て:★★★★(広げてロックをかけるだけ)
炎:★★★(煙突部分から炎が見えます)
料理:★★★★(ゴトク付き)
>> スライブ
■チロチロ燃える炎がきれい
スポルテスアウトドアツールズ
「ファイヤーウォール プラス」(2万8000円/税別)
サイズ:33×19×33.5cm
素材:耐熱性ステンレススチール
ブッシュクラフトでは、4本の枝を地面に刺してその間に木をびっしり積み上げて風防にするというテクニックがあります。ファイヤーウォールプラスはそんな風防のような焚き火台。40cmの薪ははみ出ますが、遮るモノはないので短く切る必要はありません。それに、平行に薪を積み上げるのでチロチロとした炎を三方向(ウォールを取り外せば四方!)から眺められます。
日本初上陸は2017年末ですが、2020年モデルは薪を支える柱が1枚減って、その代わりに風防が付属。燃焼に必要な熱が逃げず、寒い時期でも燃えやすくなりました。風防はペグに引っかけるだけ。
ゴトクを載せるペグは、高さを変えられるので高火力にしたいときは低くできますよ。
組み立て:★★★(火床に2枚の脚を差してできあがり)
炎:★★★★(四方から炎を愛でて)
料理:★★★★★(安定感のあるゴトク付き)
>> スライブ
■チタン製で500g以下!
ベルモント
「TABI」(1万円/税別)
サイズ:23.7×36×H17cm
素材:チタニウム、ステンレス
側面の板を外せばちょっとはみ出してしまいますが40cmくらいの薪だって載せられます。それでいて500gを切る軽さ。本体は薄いチタン製というなんともぜいたくな作りです。
本体が両側からしっかりと華奢な脚を挟み込むのでぐらつきはありません。火床の耐荷重はなんと15kg!
ゴトク代わりになる網の耐荷重は3kg。食材や水の重さを考えると、容量1.5Lの程度の鍋まで対応できます。
ちなみに、網と反対側の側板を取り外しておくと、網を載せたままでも薪をいじりやすいですよ。
組み立て:★★★(2枚の本体に3本の脚を引っかけるだけ)
炎:★★★★(きれいに炎が見えます)
料理:★★★★(半面を覆う網付き)
>> ベルモント
* * *
「薪を燃やすための台」という目的は同じですが、焚き火台にはそれぞれのメーカーの工夫、焚き火への愛情が詰まっています。
炎の見え方、デザイン、汎用性など焚き火台の個性を知ることで、自分が本当に使いやすい焚き火台がきっと見つかりますよ。
取材・文/大森弘恵
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
- Original:https://www.goodspress.jp/features/297321/
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