米政府がHuaweiに対する輸出規制を強化したことを受け、中国政府側も米企業に対して何らかの報復措置を行うと予想されていますが、Appleは“例外”となるかも知れません。
緊張高まる米中貿易摩擦
米政府の許可なしに国内企業とHuaweiとの取引を禁じたルールが厳格化され、米中間の緊張は一段と高まっています。新ルールの発表で、チップ製造大手のTSMCがHuaweiからの受注を停止したことが先日報じられましたが、影響が及ぶのはHuaweiと直接的な取引がある企業だけではありません。
米政府がHuaweiに対する半導体供給の規制強化を発表した直後、中国政府は報復措置として、AppleやQualcommといった米企業を「信頼できないエンティティ・リスト」 へ追加したり、サイバーセキュリティ対策や独占禁止法の観点から問題視したりする案を策定、中国市場からの排除も辞さない構えを見せました。
しかし、CNBCの取材に対し事情通が明らかにしたところによると、少なくともAppleはこういった報復措置の対象になる可能性は低いそうです。
Appleは大事なお客様?
Appleが中国政府による報復を免れるであろう理由として、CNBCは2つの理由を挙げています。
1つ目は、Appleの排除が中国経済にとって望ましくないからです。
「中国はすでに、Appleを始めとした複数企業が生産拠点の多様化を模索していることで痛手を被っている」と話すのは、調査企業Counterpointのニール・シャー氏です。生産拠点を海外に移せば、そのぶん中国国内の雇用が失われるためです。「もしApple、そして間接的にFoxconn(iPhoneの組み立て生産を請け負うサプライヤー)を中国がターゲットにすれば、国外へ製造拠点を移す動きはさらに加速するだろう」
問題となるのは、生産工場の国外移転だけではありません。Appleは昨年、App Storeのサービスが中国で2010年に始まって以来、国内のアプリ開発者たちは合計で2,000億人民元(約3兆円)以上の利益を手にしたと発表しました。iOSという巨大なプラットフォームを市場から排除することは、余りにも高リスクなのです。
2つ目は、Appleと中国政府が良好な関係を築いてきたからです。
権力に屈せず自社理念を強く追求するイメージのあるAppleですが、過去には中国政府の意向に従う形でVPNアプリやNew York Timesアプリの削除を行い、米議員や株主から批判に晒されてきました。Appleは現地法を遵守しているだけだと主張するものの、香港デモのアプリを削除した際には、ティム・クック最高経営責任者(CEO)が釈明を行う事態にまで発展しています。
こうした一連の行動は、政府の怒りを買って中国から締め出されてしまったFacebookやGoogleとは異なり、現地で円滑にビジネスを営むためのものだと考えられてきました。そういった意味では、まさに今こそAppleの努力が実を結んだ時だと言えるでしょう。
Source:CNBC
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-290185/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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