メルセデス・ベンツは、ヨーロッパでEQV 300という全電動の高級ワゴン車の販売を開始した。新ブランドEQとして、バッテリーパワーのモデルのシリーズを立ち上げようという取り組みから生まれた電気自動車の第2弾だ。
このEQVのコンセプトモデルが最初に示されたのは、2019年3月だった。結局生産されることなく終わってしまうコンセプトモデルが多いなか、これは実際にシリーズとして量産されることになった。EQVは最大8人乗りで、高級車の雰囲気を求める顧客にアピールするように設計されている。基本価格が7万1388ユーロ(約847万円)であることからも、メルセデスがターゲットとしている客層がわかるというものだ。
メルセデスはこの車を家族、高所得の冒険家、シャトル用の車両を探している企業のような顧客をターゲットに売り込んでいる。座席はなん通りものパターンで構成でき、さまざまな顧客のニーズに応えられるようになっている。人ではなく貨物用にカスタマイズすることも可能だ。
EQVは前輪駆動で、コンパクトな電動の駆動系は150kW(201馬力)を発生する。バッテリーパックの容量は100kWhで、ヨーロッパのWLTP規格では、418km(260マイル)走行できる計算だ。同社の電気自動車はMBUXと呼ばれる、一種のインフォテインメントシステムを搭載している。例えばコネクティビティ機能を持った自己学習型音声コントロールシステムなど、いくつかの先進的なIT機能も備えている。
メルセデスはEQV 300に加えて、ホイールベースを拡張したAVANTGARDEと呼ばれるバージョンも販売している。どちらもVクラスやVitoと同様に、スペイン北部のビトリアにある同社の工場で生産される。
EQV 300には、最大16万kmまたは8年間のバッテリー性能をカバーする4年間の保守サービスが付属している。また購入者は、同社のナビゲーションサービスを36カ月間無料で利用できるほか、電気自動車充電ネットワークであるIonityも会員として1年間利用できる。さらに「Mercedes me Charge」にも、1年間無料でアクセスできる。この機能によってヨーロッパの充電設備のネットワークが表示され、ユーザーはMercedes meアプリまたは車載のメディアディスプレイを使って、充電の開始、停止、クレジットカードによる支払いを指示することができる。
メルセデスが「EQ」というテクノロジーブランドを発表したのは2016年だった。それ以来同社は、いくつかのEQ系のコンセプトモデルを発表し、そのシリーズとして最初の量産車となる電動のSUV、EQCを発表してきた。以前に明らかにしたところによれば、同社は120億ドル(約1兆2900億円)以上を投資して、このEQブランドで一連のバッテリー駆動モデルを生産し、さらに世界的なバッテリー生産に12億ドル(約1290億円)を費やす計画を立てていた。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/05/27/2020-05-26-mercedes-benz-launches-sales-of-its-premium-all-electric-eqv-van/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Kirsten Korosec
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