子どもを持つ多くの親がそうであるように、Zigazoo創設者のZak Ringelstein(ザック・リングルスタイン)氏も自身の子どもたちがスクリーンに向かう時間の長さを懸念している。新型コロナウイルスの影響で学校が休校となり、リモート学習が日常となったことで彼の懸念はさらに増大した。ロックダウンが拡大する中、リングルスタイン氏は教育とエンターテイメントを子どもたちのデジタルライフに取り入れるという方法で、スクリーンタイムを受け入れようと試みている。
UClassの創設者であるリングルスタイン氏は、2015年の買収後Zigazooを立ち上げた。同氏はこのサービスを「子どものためのTikTok」と説明する。
無料アプリのZigazooで、子どもたちは短い動画ベースの練習問題に対してビデオを通して答えたり、友達と回答を共有したりできるというものだ。練習問題は重曹で火山を作る方法から食べ物で分数を学ぶというものまで多種多様で、幼稚園から中学校までの子どもを対象としている。
アプリのプライバシーを確保するため、リングルスタイン氏は親がアプリの主要ユーザーである必要があると説明する。ユーザーがコンテンツを公開して共有するには友達申請の承認が必要だ。リングルスタイン氏は、これにより悪質な行動やいじめの可能性を回避することができると考えている。
加えて、ZigazooはSightEngineを介したAPIでコンテンツを管理している。
リングルスタイン氏自身の子どもたちが最初のユーザーとなったわけだが、テストはとても有益なものだったと言う。
テスト過程で同氏は、子どもたちは長いビデオを作ることと短いビデオを観ることを好むという事に気がつき、そのため子どもたちの注意が持続する時間を把握しようと試みた。現在、1ユーザーあたりのサイトの平均滞在時間は、1日あたり19分43秒となっている。
リングルスタイン氏はセサミストリートをイメージしていると言う。多くのビジネスが教育とエンターテイメントの融合による成功を証明しているのも事実だ。子どもたちがテレビ画面の前でセサミストリートのキャラクターをじっと見つめ、何時間もの時間を費やしていたことを同氏は思い出す。
「セサミストリートのクリエイターはメディアを介して子どもたちを教育し、同時に楽しませていました」とリングルスタイン氏。愛されるキャラクターとMichelle Obama(ミシェル・オバマ)元大統領夫人が一緒に出演したり、愉快な歌を使って子どもたちにリサイクルについて教えたり、Vox.comがセサミストリートを「教育テレビの基盤」と呼んだのも頷ける。
Zigazooでアップロードおよびダウンロードされたビデオの数は、1か月間で10万回におよぶ。
Zigazooは「子どものためのTikTok」とうたっているが、実際はTikTokと競合関係にあるというのが事実だ。一部の教師らはTikTokを使って太陽電池システムや実験に関するレッスンを作成している。
他にも「子どもに優しい」TikTokクリエイターを纏めたガイドも出回っているし、最近ではTikTok自体がコンテンツ、DM、スクリーンタイムの制限を子どものために親が設定できるようなシステムとなった。
リングルスタイン氏によると、Googleドキュメントから文章を受動的に読むよりも、動画ベースで学習するほうが、生徒が積極的に教育活動に取り組めると言う。
教育とエンターテイメントの組み合わせには、子どもの安全に関する一連のリスクが伴う。昨年3月、ニューヨークタイムズは「キッドフルエンサー(子どものインフルエンサー)」のコンセプトがどのように成長していったかについてのストーリーを書き下ろした。これは親が子どもをオンライン上に登場させ、ブランド品などを宣伝してお金を稼ぐと言うものだ。この結果として生じる倫理的懸念こそが、リングルスタイン氏がZigazooが必要とされていると信じる理由である。
「Zigazooは、YouTubeやTikTokのような大人の娯楽に子どもを付き添わせたようなものではありません。子どもの安全、学習、楽しみのために特別に作られたスペースなのです」と同氏は言う。
リングルスタイン氏は「フォロー」機能と対比するZigazooの「友達」機能が子どもの安全における鍵であると考えている。パブリックフィードがあり、ユーザーが誰でもフォローできるTikTokとは異なり、ZigazooはFacebookと同様にユーザーがフォローされることをオプトインする必要がある。
パートナーシップによりZigazooでは、認証済みのコンテンツで子どもたちが好きな有名キャラクターを使用して子どもたちが関心を持っているテーマについて教えることができる。デジタルデトックスがもはや現実的ではなくなっている現在、よりスマートなスクリーンタイムのアクティビティが必要とされている。
最近Zigazooは全米教員連盟と提携し、幼稚園から高校生までの何百万人もの生徒を対象とするプロジェクトを実施した。生徒らはZigazooを使用して過去1年間の学習体験を纏めたビデオを提出するよう促されるというものだが、全米教員連盟によると「いちかばちかのテストよりも断然効果的なまとめ方だ」とのことだ。
リングルスタイン氏はこの夏、主要な子ども向けエンターテインメント企業、ポッドキャスト、博物館、図書館、動物園、ソーシャルメディアインフルエンサーなどの厳選されたグループと共に「Zigazoo Channels」をローンチする予定だ。
関連記事:成功の原点はToutiao、TikTokが米国市場でも伸びている理由(その1)
Category:ネットサービス
[原文へ]
(翻訳:Dragonfly)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/06/05/2020-06-02-zigazoo-launches-to-be-a-tiktok-for-kids-surpasses-100000-uploads-and-downloads/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Natasha Mascarenhas
Amazonベストセラー
Now loading...