時計を手にするきっかけなんて、いろいろあっていいじゃない! カルチャーな腕時計たち Vol.15 スポーツ、ファッション、アート(?)とFROGMAN

音楽、スポーツ、ファッション、アートとの連携を続け、G-SHOCKはそれ自体がカルチャー・アイコンと呼べる存在になっていることについては、以前、この連載で述べた。今や、世界中の人々に支持されているG-SHOCKだが、そのなかでも誕生以来、コアなファンを獲得しているシリーズがある。それが「FROGMAN(フロッグマン)」。G-SHOCKのダイバーズモデルがファンの琴線を刺激し続けている理由はどこにあるのだろうか。

誕生以来、熱狂的な支持を獲得してきたFROGMAN

G-SHOCKで初めてISO規格に準拠した200m防水のダイバーズウォッチとして、1993年にデビューした「FROGMAN」(しかも、ペットネームが付けられた初めてのG-SHOCKでもある)。その初代モデル「DW6300-1A」は、潜水艦のハッチにインスパイアされたデザインを採用。フォルムは左右非対称となっており、これはダイビング時における手首の動きを妨げないように考慮したもの。G-SHOCKらしい高い性能と、G-SHOCK然としたルックスでありながらもちょっぴりひねりを効かせたデザインは、たちまち多くのファンを獲得した。

1993年に発売された初代FROGMAN「DW-6300-1A」。G-SHOCKで初めてISO規格に準拠した200mの防水性能を備えた本格ダイバーズモデル。

2年後の1995年には、2代目となる「DW-8200-1A」を発表。左右非対称のフォルムを継承しながら、ケースには新たにチタンを採用して軽量化を図るとともに耐久性も向上。その後は小型化の実現やタフソーラーの搭載、マルチバンド6への対応、トリプルセンサーの搭載など、着実な進化を遂げてきた。

また、他のG-SHOCKと同様、タイアップモデルや多彩なカラーバリエーションを展開してきたこともFROGMAN人気を高めた要素と言えるだろう。“イル・クジ(国際イルカ・クジラ会議)”や“W.C.C.S.(世界サンゴ礁保護協会)”といったタイアップモデルを筆頭に、ベゼルとバンドにビビッドなイエローを採用した「DW-6300-9」や、西暦2000年を祝して全面にレッドをあしらった「DW-8200NT-4JR」などはかつてのG-SHOCKブームを牽引した存在。また、海上保安協会の全面協力を得てデザインされ、ウェットスーツを想起させる鮮やかなイエローを採用した2018年リリースの「GWF-D1000JCG」も記憶に新しい。


「GWF-D1000」をベースに、2018年に限定リリースされた海上保安制度創設70周年記念モデル「GWF-D1000JCG」。

FROGMANの進化と、“カエル”の進化

陸・海・空の過酷な自然環境や極限状態での使用を想定した「MASTER OF G(マスターオブG)」に位置付けられるほどの高い性能を備えつつ、ファッションやモノ・カルチャーにも影響を及ぼしているFROGMANだが、このシリーズにはもうひとつ、ファンが注目する要素がある。ケースバックに刻印された“カエル”のイラストだ。

初代モデル「DW-6300-1A」に描かれたのは、ダイビングの装備を身に付けたカエルのイラスト。G-SHOCK初のダイバーズモデルというコンセプトに合わせたシンプルで明快な内容だ。このイラストは2代目の「DW-8200-1A」、3代目の「DW-9900-1A」でも採用されたが、1999年に発表されたフルメタルモデル「MRG-1100-2」では、水中スクーターにしがみつくカエルのイラストが描かれた。


初代「DW-6300-1A」から3代目「DW-9900-1A」まで使用されたイラスト。ダイバーズモデルという特徴を明確に表している。


耐衝撃構造を備えたフルメタルシリーズMR-Gからリリースされた「MRG-1100-2」。カエルが水中スクーターを持っているが、時計の機能や性能との関連性はないという。

その後も、スノーケルから出る気泡を型番にしたり、ケースの素材に合わせてカエルの模様を変えたり、さらにはカエルにガスマスクを装着させたりするなど、ユニークな試みが盛り込まれており、ファンは時計本体はもちろんのこと、イラストの内容にも密かに注目しているという。


時計全体にカーボンファイバー柄をプリントした2001年発売の「GW-201NT」。これに合わせ、カエルもカーボン柄を想起させるフラッグパターンに。


2004年に発売された「GW-200CF」、別名「BRAZILIAN FROGMAN(ブラジリアン フロッグマン)」。ブラジリアンミルキーフロッグをイメージした迷彩パターンを施し、もちろんカエルも迷彩柄!


2001年に登場し、その後8年にわたって生産された「GW-200」。そのファイナルエディションとなる「GW-200Z-1JF」では、スノーケルから出ている泡が象徴的な“200”の文字に。


タフソーラーとマルチバンド6を搭載した2009年発表の「GWF-1000-1JF」。このモデルで描かれているのは“メカガエル”で、口からはアンテナが飛び出しているという衝撃の内容。


2016年に発売された「GWF-D1000-1JF」は水深、方位、温度の計測を可能にしたトリプルセンサー搭載モデル。カエルの手には潜水士が使用するサーチングライトが。

初のアナログモデルでカエルも一新

FROGMANの誕生から17年が経った2020年、カシオはシリーズ初のアナログ表示を採用した「GWF-A1000」を発表した。大型のインデックスと時分針によって判読性を高めるとともに、時計本体は裏蓋一体型のモノコックケースにガラスを圧入したメタルリングを固定するカーボンコアガード構造を採用し、防水性はもちろん、耐久性と装着感をも向上させた、カシオの技術力が冴える設計だ。

カシオ
G-SHOCK FROGMAN
GWF-A1000
各9万9000円


FROGMAN初のアナログモデル。スマートフォンとの連携により、時刻の修正や世界300都市以上のワールドタイム都市設定も容易に。また、海中での使用を想定し、防汚性や加水分解に耐えるフッ素エラストマーのストラップを採用している。サイズW53.3×H56.7×D19.7mm。ISO200m潜水用防水。

もちろん機能面も充実しており、スマートフォンとのリンクによって時刻を自動修正でき、ワールドタイム設定も可能。潜水時間や水面休息時間、潮汐情報をスマートフォンと連携させ、時計の針で直感的に読み取れるのもダイバーにとっては利便性が高まったと言えるだろう。


ISO規格200m潜水用防水を実現したカーボンコアガード構造。ケースにカーボン強化樹脂を採用したことで軽量ながらも高強度、低吸水性を誇り、MASTER OF Gにふさわしい性能を発揮。

そして、この新作にもケースバックにはしっかりとカエルのイラストが刻印されている。

「FROGMANシリーズ初となるアナログモデルなので、本体だけではなくカエルのイメージも一新させ、進化を表したデザインにしています。カエルにアナログ針を持たせ、その針も電波受信機能を搭載していることを表現するため雷の形に。カエルの側にはカーボンコアガード構造を示す“CG”のロゴをあしらったことに加え、カエルの目もベゼルのビスと同じ、三ツ矢にしているのもポイントです」


「GWF-A1000」のカエルはデザインを一新し、アナログモデル×電波受信機能を強調する雷型の針で機能をしっかりとアピール。

新しいイラストについてこのように説明するのは、G-SHOCKのデザインを担当するカシオ計算機の橋本威一郎氏。時計に合わせてイラストも進化させるのみならず、そのコンセプトや機能をふんだんに盛り込んだ作風からは、新FROGMANに盛り込まれた情熱が伝わってくる。

機能の進化やルックスの一新はもちろん、ちょっとした遊びにも抜かりないからこそ、G-SHOCKはそれ自体がカルチャーになり得たのだろう。とりわけ歴代のFROGMANを確認していくと、それを強く感じるのだ。

問カシオ計算機●03-5334-4869
https://g-shock.jp


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