現在利用されている主な暗号化技術では、保管中、あるいは送信中にデータが暗号化された状態。ただ、利用する際にはどうしても複合化が必要だ。その間、攻撃者からのアクセスを許すこととなり、セキュリティ上の弱点となっていた。
こうしたセキュリティリスクを回避すべく、IBMが開発したのが完全準同型暗号化(FHE)技術だ。FHEを活用すれば、データを複合化することなく計算などのデータ処理が可能となる。
IBMはMacOSやiOS向けにこの技術を公開し、近々AndroidとLinux向けのものも公開予定だ。
ツールキットで簡単にアプリに統合できる
実は、IBMがFHEを開発したのは2009年のこと。セキュリティ技術のゲームチェンジャーともいえる同技術は、実行速度が遅かったとの課題があり、これまで実用化が進んでこなかった。
その後、アルゴリズムの改善が進められ、パフォーマンスが大幅に向上。実用的な速度に到達したことで、公開の運びとなったようだ。
また、これまでは利用のハードルが高かったが、暗号化ライブラリHELibをベースにしたツールキットを活用すれば、開発者がステップバイステップでアプリとの統合を図れるようになっている。
暗号化されたままのデータ分析が可能
FHEにより暗号化されたデータは、権限を持ったユーザーに復号化されるまでは解読できない。ただ、暗号化されたままのデータ処理が可能で、人間には計算結果すら解読できないとのこと。
また、ほかの技術と組み合わせることで、選択的に復号化の権限を付与することも可能。これにより、ユーザーは許可されたファイルのみを解読することができるようになる。
医療や財務など、あらゆるデータがクラウド上で共有され、分析される時代。機密データがアウトソーシング先から漏洩するリスクをなくせる同技術は、データの扱い方を変えるものとなりそうだ。
- Original:https://techable.jp/archives/127427
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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