【特集】G-SHOCK最新モデルの魅力
G-SHOCKは2015年から2019年まで時計見本市・バーゼルワールドで「MR-G」の
スペシャルモデルを発表してきた。CMFデザインと日本の職人技を融合させたこれらは、G-SHOCKのデザイン技術を世界に示すもの。今年の新作も最高峰の技術が凝縮している。
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■匠の手によって誕生したスペシャルモデル
毎年、日本の先端技術と伝統の匠の技を融合させ、新たな価値を生み出してきたMR-Gのスペシャルモデル。今年は彫金師、鋳物師の手仕事に加え、兜がテーマとなった。
その理由を企画を担当したカシオ計算機の石坂真吾さんは、「武将を守り、美意識を表現する兜はMR-Gの〝強さと美しさを追い求める”コンセプトと通じる」と語るが、世界に示す1本だけに、そのこだわりは想像を超えるレベルだった。
「モチーフにする兜は、このモデルオリジナルの本物を、甲冑師・鈴甲子雄山氏に依頼して作ってもらいました。兜の名称はG-SHOCKの耐衝撃性に由来する“衝撃丸”。鉄錆地(てつさびじ)仕上げと龍前立(りゅうのまえだて)が特徴です」
鉄錆地は、鉄が錆びた質感を活かした日本特有の表現で、多くの武将に好まれた甲冑仕上の代表的な手法のひとつ。龍前立は、生命の象徴である太陽をイメージした日輪に、彫金師・小林正雄氏による龍の彫刻を施している。前者はMR-Gの長期に渡る耐久性を、後者は挑戦を続ける姿勢の象徴として選んだ。
一から作り上げたこの兜の意匠を腕時計に落とし込んだのが「MRG-B2000SH」である。匠の手による伝統技術の再現には、やはりCMFデザインの技術が欠かせなかった。
▲チタン素材のケースやバンドに二重のIPを施し、古色蒼然とした風合いを表現。ブラウンIPの上にブルーIPをかけ、表面のブルー IPのみを剥ぎ取ることで、青古美をイメージさせる独特な色合いを生み出している」
「鉄錆地は、ベゼルとバンドに特別な鍛造型を使用して鋳肌(いはだ)の質感で表現しています。この特別な鍛造型は山形鋳物師、菊地正直氏の砂型をベースに作りました。龍前立は、ベゼルを兜の前立に見立てて表現し、彫刻は小林正雄氏が一点ずつすべて手作業で彫っています」
カラーリングは錆をイメージしたブラウンと、兜をつなぎ合わせる紐、紺糸縅(こんいおどし)を模したブルーを、チタン素材に二重のIPを施して再現した。石坂さんは「伝統職人に時計の意匠を依頼するのは、かなり時間と労力を要する作業」と語る。しかし、その努力とチャレンジ精神、そして日本が誇る技術は、この最高峰の腕時計で見事に表現されている。
■唯一無二の美しさを生み出す2人の匠
▲ベゼルの彫刻を手掛けた小林正雄氏は、日本を代表する金属工芸作家のひとり。神社仏閣の金具制作や文化財の復元、茶道具や美術工芸品など、錺金具製作を幅広く手がけてきた
▲ベゼルとバンドに特別な鍛造型は、山形鋳物師の菊地正直氏が担当。伝統技法を守りつつ新たな創造に挑む作品は国内外で高く評価されている
■最高峰の職人技と加工技術で表現した侍の美意識と強さ
「G-SHOCK MRG-B2000SH “SHOUGEKI-MARU”」(88万円)
オリジナルの兜をモチーフに、伝統の職人技術を用いて、精緻な意匠と独特の色合いでデザイン。Bluetooth Low Energy対応の新モジュールを搭載し、スマホアプリから時刻修正など操作できる。ケースサイズ:54.7×49.8mm、200m防水。7月発売予定。世界限定400本
▲ベゼルの独特な凹凸は、鋳物を作る際に現れる鋳肌を表現したもの。二重のIP加工を生かし、独特のブルーの色合いで浮かび上がらせている
▲インデックスや針も緻密な造形で作られている
▲ベゼルの龍の彫刻は、彫刻師の小林正雄氏が一点ずつ彫ったもの
▲ケースサイドには2020年の限定モデルを示す刻印が施されている
■最高の技術を投入してきた歴代スペシャルモデル
歴代のスペシャルモデルも、毎年のテーマに沿った日本の伝統技術を投入。細部まで美しさが光る1本に仕上がっている。
2016年「MR-G MRG-G1000HT」
日本の伝統技法、鎚起(ついき)により、ベゼルやブレスレットに独特の模様を施すとともに、金属工芸の伝統色である朧銀(おぼろぎん)や銅(あかがね)を採用している。
2017年「MR-G MRG-G2000HT」
前年モデルと同様に、ベゼルに緻密な鎚起の細工を施しつつ、ベゼルにブルーDLC処理を採用。日本で古来より愛されてきた、深く味わいある藍を表現した。
2018年「MR-G MRG-G2000HA」
ベゼルとバンドのコマに、刀の鐔などに使われる鉄鐔(てつつば)の細工を荒し槌目(ついめ)の技法で再現。カラーは紫金(むらさきがね)と素銅(すあか)を表現している。
2019年「MR-G MRG-G2000GA」
日本刀の茎(なかご)に用いられる鑢目(やすりめ)の技術をコマに使用。 刀工が一つひとつ丹念に仕上げた。ケースの紫は刀を作る際の火色、深紫を表現している。
※2020年5月6日発売「GoodsPress」6.7月合併号掲載記事をもとに構成しています
取材・文/高橋智
- Original:https://www.goodspress.jp/features/302611/
- Source:&GP
- Author:&GP
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