米政府の規制受けたHuawei、中国国内のサプライヤー探しに躍起

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米政府がHuaweiを禁輸措置リスト(エンティティ・リスト)に加えたことで、同社は中国国内で代替サプライヤーを見つける努力を迫られています。しかし、それまでのサプライヤーと同じ水準を持つ企業を中国国内で探すのは、決して容易な道のりではありません。

P40シリーズにGoogleのアプリなし

Huaweiが先日日本でリリースしたフラッグシップモデル「P40」シリーズには、Googleが提供する公式アプリのGoogle PlayやGoogleマップ、YouTubeがプリインストールされていません。Huaweiが独自に提供するアプリダウンロード・プラットフォームのAppGalleryでも、上述のアプリの名前はどこにも見当たりません。
 
これは米政府が米企業に対して許可なくHuaweiとの取引を禁じたためで、この取り決めによってGoogleのほか、多くの企業がHuaweiとの新たな取引を停止しました。さらに最近、米政府はHuaweiへの締付けを厳格化すると発表、これによって米企業ではない台湾企業のTSMCまでもが、Huaweiとの取引停止を余儀なくされています。
 
こうした状況を受け、Huaweiは中国国内のサプライヤーに回帰する戦略を立てているようです。匿名を条件とする事情通がNikkei Asian Reviewに明らかにしたところによると、Huaweiが現在喫緊の課題としているのは、チップ関連のサプライヤーなのだそうです。
 
チップの生産に限っても、以前よりHuaweiは傘下企業のHiSiliconが独自開発するKirinシリーズを自社端末に搭載してきましたが、このチップを量産するのはTSMCです。しかし前述のとおり、TSMCはHuaweiとの取引を2020年9月に終了します。そのため、代替サプライヤーを探す必要があるのです。また量産以外にも、パッケージングやテストを行うサプライヤーも必要です。

同じだけの技術を求めるのは難しい

しかし、純粋に中国で完結するサプライヤーを探すのは骨が折れます。先述したTSMCも台湾企業ですが、生産設備が米企業のものだったため、最終的には米企業の意向に従いました。米政府の圧力を退けてでも、Huaweiと積極的に取引したいという企業は限られるでしょう。
 
Nikkei Asian Reviewのインタビューに応じた事情通は、サプライチェーンを“大きな玉ねぎ”に喩え、見かけ以上に複雑に入り組んでいると指摘します。「Huaweiは表皮や最初の何枚かを剥ぐことはできるだろう。中国にサプライヤーを移したり、国内企業を支援することはできる。しかし皮を剥いだ深部にまで、企業すべてを連れてくるのはとても難しい」
 
事実、中国国内にもチップ量産を手掛ける最大手SMICが存在しますが、TSMCと比べると、生産規模や技術力など多くの点でHuaweiの期待に応えることは難しいと考えられています。早ければ今年の終わりまでに国内で目処をつけたいと考えているようですが、技術力は一朝一夕で解決する問題ではないだけに難航するでしょう。
 
またパッケージングやテストを請け負う中国最大手のJCET(Jiangsu Changjiang Electronics Technology)に対しても、Huaweiは100人以上のスタッフを常駐させているものの「進展は芳しくない」ほか、中核を担う一部素材に関しても日本企業の味の素ファインテクノや日立化成が握っているため、彼らとの交渉も必要となってくることなどが指摘されています。
 
幸いにも中国国内ユーザーの“愛国買い”によって、現時点ではスマートフォンの出荷台数で大きな落ち込みはみられません。しかし、今後も前途多難が続き他社に性能面で遅れを取るようなことがあれば、いつまでもユーザーがHuaweiを愛し続けるとは限らないでしょう。
 
 
Source:Nikkei Asian Review
(kihachi)


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