植物の施肥や農薬の撒布は一般的に損失の大きい問題だ。今、工業生産や食品生産の農業で使用されている物質のわずか1%しか実際に植物に取り込まれていない。残りは土壌に流出している。カーネギーメロン大学のGreg Lowry(グレッグ・ローリー)氏のチームは世界で初めてこの比率を逆転させ、植物が最大99%の効率で分子を吸収し、わずか1%しか無駄にしない技術を実証した。
ローリー氏らの研究は、Nanoscale Communications誌で公開されている査読論文で概説されているように、植物に吸収させたい分子物質である成長や作物の収量を最適化するように設計された栄養素や、破壊的な虫や害虫から植物を守る殺虫剤などを、ナノ粒子でコーティングすることで実現している。
本誌は2019年に、この技術をデモンステレーション前の段階で紹介したことがある。現在、ローリー氏のチームは、植物の葉の表面にある気孔に合ったサイズのナノ粒子を実際に生産することができるようになっている。その作業は基本的に、葉の表面にある受容体のためのレゴブロックをカスタマイズして作り、そのレゴブロックに届けたい栄養素を結びつけて完璧にフィットさせるようなものだ。
この実証はチームの仮説を裏付けるものだ。これによってさらなる開発の可能性や最終的には商用化の見通しも立てられるようになった。収穫可能な作物の40%がいまだに植物病害で害虫などで失われていると同社は推定しており、この技術はおそらく農薬としての商業利用の可能性が最も高いと考えられている。また、この技術を使うことで植物の栄養分や肥料の吸収率を上げて生長を刺激することもできる。それらを組み合わせることで、1回のナノ粒子の投与で防除と施肥の両方ができるため、労働生産性においても植物や作物の生産量を増加させる大きな可能性がある。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/06/16/2020-06-15-cmu-demonstrates-nanoscale-technology-that-causes-plants-to-absorb-nutrients-with-nearly-100-efficiency/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Darrell Etherington
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