カメラの主張は美しくない
生活に溶け込むデザインを追求
最近のスマホは背面に大きなカメラを搭載した製品が次々と登場している。サムスンやファーウェイだけではなく、アップルまでもが大きいレンズを搭載してカメラの性能を大きくアピールしているほどだ。もちろんスマホのカメラは高画質なほうがいい。だがカメラばかりが目立つデザインのスマホはその主張がすこし過剰とは思えないだろうか? スマホはあくまでもライフスタイルのパートナーであり、ファッションの一部として生活空間に溶け込むデザインがこれからは好まれるのではないだろうか。
LGの「VELVET」は5Gに対応する最新技術を搭載したスマホだ。ベルベットという名前からは「落ち着き」「上質」「美しさ」という響きが感じられる。左右のベゼルを極限まで無くしたカーブディスプレイの採用や、光の当たり具合で微妙な色の変化が楽しめる「オーロラ」カラーの背面仕上げはまさにベルベットのイメージそのものだろう。
背面のメーカーロゴも薄く表示されており、見た目の美しさを損なわないようにしている。またカメラ周りのデザインは最近のスマホとは違いすっきりしている。この4つ並んだレンズとLEDフラッシュを眺めていると、心が落ち着かないだろうか?VELVETのカメラ部分は水滴が落ちていく流れを表しており、上から順にレンズのサイズを小さくしているのだ。「高性能なカメラを搭載している!」とばかりに機能を主張する他社の動きを一切無視するかのように、VELVETはデジタル世界と自然を調和させ、忙しい日々の生活の中に安らぎの時間を提供してくれるのだ。
VELVETのスペックをおさらいしておこう。チップセットはミドルハイレンジの5Gスマホ向けとなるSnapdragon 765Gを搭載。ディスプレイは6.8インチ2460x1080ピクセルで縦と横の比率は20.5:9とかなり縦長だ。本体サイズは167.2 x 74 x 7.9 mm、180g。カメラは4800万画素の広角、800万画素の超広角、500万画素の深度測定の3つ。フロントカメラは1600万画素だ。
女性をターゲットにしたカラバリ展開
ファッションのようにスマホを選ぶ
もちろんスマホに求める機能やデザインは人それぞれに異なるだろう。LGはこのVELVETを女性たち、とくに30代をターゲットにしている。軽量でスリムなサイズのVELVETは日常生活の中でも使いやすく、毎日使っていても飽きることのないオーロラカラーの本体はファッションアイテムの1つにもなる。仕事もプライベートも充実している同世代の女性たちにとって、「主張しない」背面デザインは自分の時間を一切邪魔することもないだろう。スマホの性能が一段落した今、見た目でスマホを選んでもいいのではないだろうか。
VELVETは2020年5月15日に韓国で発売になった。当初はオーロラグリーン、オーロラグレイ、オーロラホワイト、イリュージョンサンセットという4色展開だったVELVETだが、発売からわずか約3週間後にはオーロラピンク、オーロラブルー、オーロラレッドの3色が追加され、全7色展開となった。これで韓国の女性たちは自分のファッションや好みのアクセサリと合わせるようにしてVELVETを選ぶことができるわけだ。
なお追加の3色はそれぞれ別のキャリアから販売になる。いわば「ドコモ、KDDI、ソフトバンク、それぞれの専用色」が追加されたようなものだ。好みの色のVELVETを買うためにキャリアを乗り換える、なんてユーザーもいるかもしれない。
ところで「スマホにはカバーをするから色は気にしない」という人もいるだろうが、最近のスマホはサイズが大型化しており、カバーを付けるとさらに大きくなってしまう。またせっかくの美しい本体を他社のカバーで覆ってしまうのはもったいない。装着するなら透明でオリジナルの色が見える薄手のカバーを付けるのがいいだろう。
LGのスマホの販売シェアは低迷しており、VELVETはそれの状況を打開するために開発された。韓国ではひとまず好調な滑り出しとなっており、LGの関係者もまずはほっとしたことだろう。6月下旬からはヨーロッパでの販売も決まり、オリジナル4色にオーロラシルバーとニューブラックを加えた6色が販売される。今後アメリカや日本に投入されることがあれば、地域に合わせた新色も追加されるかもしれない。
2つのディスプレイでペンも使える
仕事もエンタメもVELVETで充実
本体デザインにばかり目が行くVELVETだが、魅力はそれだけではない。男性も使いたくなるようなオプションが用意されているのだ。実はVELVETはビジネスやエンターテイメントにも活用できる最強の生活サポート端末なのである。
まずはLGのスマホでおなじみのデュアルスクリーンケースがVELVETにも用意されている。これは本体に装着するとディスプレイを2枚使うことのできる周辺機器だ。日本でも発売中の「LG V60 ThinQ」などにも提供されているオプションで、2つの画面それぞれで異なるアプリを使うこともできる。また閉じたときは外側のミニディスプレイに時間や通知などを表示しておくことも可能だ。
YouTubeを見ながらTwitterでつぶやいたり、ブラウザでレストランを調べながら地図を見る、なんてことも簡単にできる。また対応ゲームなら片側にプレイ中の画面を表示し、もう片側にはゲームのコントローラーを表示して小型ゲーム機のように使うこともできる。他のスマホにはできない2つのディスプレイの使い分けもVELVETなら簡単にできるのだ。
そしてもう1つのオプションがスタイラスペン。ワコムの技術を使っており、充電不要で利用できるうえに書き味も本物のペンに近いという利点がある。しかもこのスタイラスペンはデュアルスクリーンケース側のディスプレイでも使うことができる。片側のディスプレイで検索し、もう片側のディスプレイにメモを書きこむといった使い方が可能だ。さらにメモアプリには手書きした文字をOCR機能でそのままテキスト化する機能も備えている。スタイラスペンを使えばVELVETが優れたデジタルアシスタントに変身するのだ。
こうしてみるとVELVETはスマートフォンという枠を超えた製品であることが理解できるのではないだろうか。バリバリに機能を追求したITプロダクトではなく、かといって無印良品ほどシンプルな製品でもない。機能とデザインを融合させたうえで、さらに生活をアシストしてくれる便利なツールなのだ。
そういえば日本ではTUTAYAが忙しく働く女性たちをターゲットにし、“ちょっとかっこいい女性 “を演じ、より自分らしく楽しむこと、をコンセプトとする文房具ブランド「HEDERA」を展開している。
このHEDERAのコンセプトはVELVETと良くマッチしていると思う。HEDERAのステーショナリーと一緒に使いたいスマホは、カメラを主張するような製品ではないだろう。なぜならその主張が「さりげなさ」をスポイルしてしまうからだ。
VELVETならHEDERAのステーショナリーと一緒に使っても違和感はないと感じられる。もしも日本にVELVETが上陸することがあるならば、ぜひHEDERAとコラボしてほしいものである。
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000127171/
- Source:デジモノステーション
- Author:山根康宏
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