サウジアラビアにあるキングアブドゥラ科学技術大学(KAUST)の研究チームが、水中で使用するる双方向ワイヤレスデータ接続(KAUSTウェブサイト)を開発した。確固としたワイヤレスデータ接続は、携帯電話サービスから家のWi-Fiネットワークまで、私たちの日常生活の中で基本的に当たり前のものになっているが、水のような媒体の中で高速のワイヤレス接続を実現するのはとてつもなく難しい。実現すれば、水中のデータセンターを常に地上のネットワークインフラと接続できる極めて価値の高いものになるだろう。
KUASTの研究チームは、モデムの役割を果たすRaspberry Piなどシンプルな既成のコンポーネントでこの難題に挑んだ。既存のIEEE802.11ワイヤレス規格との互換性も持たせたため、安定していて信頼性のある接続で広範囲のグローバルなインターネットに簡単に接続できた。
Raspberry Piは標準のワイヤレス信号をレーザーで光学的に送信できる信号に変換するために必要な計算をする。信号は空中から海面のブイに届き、Raspberry Piで変換されて、青色と緑色のレーザーで情報を送信する。水中にある光レシーバーに向けて送信され、実際の最高転送速度は20mの距離で2.11Mbpsだった。
研究チームはこのシステムを使ってSkypeの通話とファイルの送受信を実行した。しかし性能を大幅に超えるレーザーを使用したため、Raspberry Piが焼き切れてしまった。チームは、この問題は専用の光モデムに交換することで解決できるだろうと述べている。このいわゆるAqua-Fiネットワーク技術を使う際のさらに大きな問題は、海流や水の動きによって水中で発生する光の変化に対応することだ。
このような制約を乗り越えるために、研究チームは強力なデータ接続ができる進路を低出力のレーザーで示し接続に失敗したら方向を再調整する2レーザーシステムなど、多くのオプションを検討している。最新のネットワークハードウェアでMIMOのアンテナアレイが使われているのと同じように、複数のレシーバーを並べてレシーバーを大きくすることもできそうだ。
画像クレジット:KAUST/Xavier Pita
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(翻訳:Kaori Koyama)