株式会社NTTドコモと学校法人東京女子医科大学は、商用5Gとドコモオープンイノベーションクラウドを活用して、スマート治療室「SCOT」と遠隔地にいる専門医を接続する遠隔手術支援の実証実験を2020年10月~2021年3月の期間で実施すると発表。
商用5Gとドコモオープンイノベーションクラウドを用いた遠隔医療実験は国内初となる。
なお、「SCOT」は、同大学主導のもと、広島大学、信州大学、デンソー、日立製作所など11社により開発された次世代の治療室だ。IoTにより各種医療機器・設備を接続・連携させて手術の進行や患者の状況を統合把握する遠隔地「戦略デスク」を導入し、手術の精度と安全性向上を目指す。
5Gが実現する遠隔医療
同実験では、同大学にある「SCOT」と専門医がいる「戦略デスク」を商用5Gとドコモオープンイノベーションクラウドで接続。
「SCOT」内で脳外科手術を行う執刀医の手元映像や4K外視鏡(オリンパス社製)の高精細映像などの大容量のデータを高セキュリティかつ低遅延で「戦略デスク」へリアルタイムに伝送する。そのデータから、「戦略デスク」にいる専門医が手術時の指導や支援を行うという流れだ。
同システムにより、熟練医がいないときの緊急手術や感染症などでスタッフの入室に制限があるときでも、遠隔からの手術支援が可能となる。
なお、「SCOT」内の複数の医療機器データ管理は、通信規格やメーカーを問わず各機器を接続・統合できる医療情報統合プラットフォーム「OPeLiNK(オペリンク)」を活用し、同プラットフォームの運営はOPExPARK社が担う。
また、移動型スマート治療室「モバイル SCOT」と専門医がいる「戦略デスク」を5Gで接続し、車載医療機器の高精細リアルタイム画像伝送の実証も予定しているとのこと。
医療の課題解決とDX推進
ドコモと東京女子医大は、2019年11月にスマート治療室における5Gを活用した遠隔手術支援に関する共同実証実験実施の覚書を締結している。
同実験はその一環として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から採択された「8K等高精細映像データ利活用研究事業」 の課題「8Kスーパーハイビジョン技術を用いた新しい遠隔手術支援型内視鏡(硬性鏡)手術システムの開発と高精細映像データの利活用に関する研究開発」(事業機関:国立がん研究センター)の枠組みのもと実施されるものだ。
両社は同実験を通じ、高精細な手術映像など大容量データの双方向通信の検証と同システムの有用性の評価、および技術的課題の抽出を行い、高度医療従事者不足や医師偏在という課題解決と医療分野でのDXの実現に貢献したいとしている。
- Original:https://techable.jp/archives/132324
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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