中国メーカーのOPPOが、日本市場での存在感を高めている。
同社が新規参入したのは、2018年2月のこと。SIMフリー市場からスタートし、徐々に知名度を上げていった結果、2020年の夏モデルでは、auとソフトバンクの2社からも採用。日本市場への「ローカライズ」を徹底したことや、5Gに早くから取り組んでいたことが、日本市場で伸びた要因と言える。
徹底したローカライズ
1つ目のローカライズは、おサイフケータイへの対応に象徴される。
OPPOは参入からわずか半年後の2018年8月に、おサイフケータイ対応モデルの「R15 Pro」を発表。参入間もない海外メーカーとしては、異例のこと。おサイフケータイへのニーズが高いと見た同社は、ソニーやフェリカネットワークスと共同で、この機能の搭載を急いだ。
一方で、R15 Proは、SIMフリースマホとしては価格がやや高めだった。
次にOPPOが行ったのが、SIMフリーのボリュームゾーンであるミドルレンジモデルに、日本独自仕様を融合させる取り組みだ。その成果として投入された「Reno A」は、テレビCMに指原莉乃さんを起用したことも相まって、高い知名度を獲得。携帯電話事業に新規参入した楽天モバイルや、MVNO各社からも採用され、販売を伸ばした。
6月には、そのReno Aの後継機ともいえる「Reno3 A」を発売。Reno Aの弱点だったカメラ機能を強化しながらも、価格はほぼ据え置きに抑えた。5Gへの対応
OPPOは販路も拡大している。ワイモバイルやUQ mobileといった販売力の高い大手キャリアのサブブランドも、Reno3 Aを取り扱うようになった。口コミで実績を作り、着実に販路を広げてきたというわけだ。
ただし、日本市場はキャリアモデルの比率が非常に高く、いくらSIMフリースマホを伸ばしても、シェア上位に顔を出すのは難しい。メーカーとして規模を追求するうえで、キャリアへの納入は避けて通れない道といえる。OPPOも参入当初からキャリアとの交渉を重ね、7月にはついにその成果といえる端末が発売される。ここで、決め手になったのは5Gだ。OPPOは、5Gの規格策定当初に研究所を設立、標準化にも積極的に関与してきた。
日本でも、大手キャリアの5G導入に合わせて端末を導入。立ち上げ時に普及を加速される端末がほしいキャリアと、5Gを武器に端末を売り込みたいOPPO、双方の思惑が合致した格好だ。KDDIは同社のフラッグシップモデル「Find X2 Pro」を7月22日に発売。ソフトバンクはミドルレンジながら5Gに対応した「Reno3 5G」を7月31日に発売する予定だ。
KDDIの導入したFind X2 Proは、120Hz駆動のディスプレイや1/1.4インチの大型センサー、10倍ハイブリッドズームが可能なペリスコープ構造のカメラといった、技術の粋を詰め込んだ1台。5G対応のハイエンドモデルという位置づけながら、税込みで9万2040円と価格は抑えた。軒並み10万円を超えるハイエンド5Gスマホの中では、リーズナブルな1台といえそうだ。
対するソフトバンクのReno3 5Gは、ソフトバンクの5Gスマホの中ではもっとも安く、税込みで6万8400円。2年後に端末を返却すると支払い額の半額が免除される「トクするサポート+」を適用すると3万4200円になるほか、9月30日までの特典として5000円ぶんのPayPayボーナスも付与される。ミドルレンジながら、カメラはクアッドカメラでおサイフケータイにも対応しており、コスト面で5Gスマホの購入を躊躇していたユーザーにはオススメの1台だ。
これからのOPPOは……
米国の制裁を受けたファーウェイが、自社の端末にGMS(Google Mobile Service)を採用できなくなる一方で、コストパフォーマンスに優れたスマホを求めるニーズは根強い。昨年10月の電気通信事業法改正で、端末割引が大幅に制限されたからだ。OPPOは、こうした市場の変化に、うまく対応できたといえるだろう。
同様に、この市場を狙ってXiaomiも19年12月に日本市場に参入。わずか3カ月後の3月には、KDDIがミドルレンジスマホの「Mi 10 Lite 5G」の導入を発表するなど、中国メーカー同士の競争も激化している。頭1つ抜けたOPPOだが、スマホ全体で見るとまだまだシェアは低い。キャリアモデルの拡大と同時に、SIMフリー市場のラインナップもさらに充実させていく必要がありそうだ。
(文・石野純也)
- Original:https://techable.jp/archives/132667
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:Techable編集部
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