iPhone向けOLED需要、今年は1億枚弱に〜DSCC予測

iPhone12
 
Appleがこの秋発表するiPhone12シリーズは、全モデルが有機EL(OLED)ディスプレイを搭載する見通しです。そのため2020年のiPhone向けOLED需要は1億枚弱に達すると、ディスプレイに詳しい調査会社DSCCが予想しています。

ハイエンドモデルはローエンドモデルより発売が遅れる?

Appleは先日行われた同社第2四半期(4月〜6月)の業績発表において、今年の新型iPhoneの発表は例年の9月から数週間遅れる見込みであることを明らかにしました。
 
Display Supply Chain Consultants(DSCC)アジア代表の田村喜男氏は、なかでもハイエンドモデル(6.1インチ、6.7インチ)の発売は、9月から1カ月〜2カ月遅れると見ています。
 
例年であれば5月からパネル(セル)の生産、7月中旬からセット生産という流れですが、今年はまだパネル取り込みの動きがないとのことです。新型コロナウイルスの影響に加え、独自のRF部品であるアンテナ・イン・パッケージの開発に手間取ったことが要因だと田村氏は分析しています。
 
一方ローエンドモデル(5.4インチ、6.1インチ)については、遅れてはいるものの、計画どおり販売が開始される見込みです。ただし2017年発売のiPhone Xのように、発売当初はしばらく品薄になるだろうと田村氏は述べています。

ローエンド2モデルの価格は従来の液晶並みか

iPhone12シリーズは4モデルすべてがOLEDディスプレイを搭載し、供給はSamsung DisplayとLG Displayが担当します。中国BOEも認定取得に向けて提案を継続しているものの、年内の取得は難しいとのことです。
 
なお5.4インチモデルと6.7インチモデルについては、Samsung Displayが単独供給する見通しです。これらのディスプレイにはSamsungのオンセルタッチ技術「Y-OCTA」が採用され、ドライバーICの実装技術も従来のOLED搭載モデルのChip on Film(COF)からChip on Plastic(COP)に変わります。フィルムが不要になるためさらなる薄型化が実現、コストも下がる見通しです。
 
価格については、ローエンドの2モデルは従来の液晶モデル並みが想定されているとのことです。
 
4モデルがすべてOLED搭載となるため、iPhone向けOLED需要は1億枚弱に達すると予測されています。これにより2020年下半期(7月〜12月)のパネル出荷枚数は大きく伸びて過去最高に達し、SamsungのA3ライン稼働率も下半期には80%弱まで改善すると見られています。
 
DSCC OLED iphone12
 
 
Source:DSCC Japan
Photo:EverythingApplePro/YouTube
(lunatic)


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