TikTok(ティクトック)の運命が定まらない中、ライバルのLikee(ライキー)は世界中でユーザーを増やし、6月の月間アクティブユーザー(MAU)は1億5000万人となった。
この数字は、Likeeを所有する中国インターネット企業のJoyy(ジョイ)の決算報告書で明らかになった。参考までに、情報通の投資家がTechCrunchに明らかにしたところによると、TikTokは2020年初めにデイリーアクティブユーザー2億人を達成している。つまりMAUはこれよりかなり多い。TikTokは新型コロナウイルスの感染満面で人々が家にこもるようになって以来、爆発的な成長をみせている。米国での使用禁止と事業売却が迫っていても、TikTokの成長はわずかに落ち込んだに過ぎない。
LikeeのサービスはTikTokとは少し異なる。インフルエンサーがファンから受け取るバーチャルギフトで稼ぐことを容易にしている。一方のTikTokはコンテンツ消費者を重視している。
「クリエイターは、コンテンツに対してお金を払ってほしい、収益を上げたいと思っているはずだ」とアプリ分析のApptopiaの副社長Adam Blacker(アダム・ブラッカー)氏はTechCrunchに語った。
地政学
TikTokのようにLikeeも中国を起源とするアプリに対する厳しい調査から逃れられない。LikeeがTikTokや他の中国アプリとともにインドで禁止なるまで、同国はLikeeにとって最大のマーケットだった。Likeeの姉妹アプリBigo Liveもまたインド政府によって禁止された。
にもかかわらず、Joyyは売上とマーケティング支出を減らすことでフォーカスをインドから他のマーケットに移したと述べた。つまり、インドの使用禁止が短期的にユーザー数に影響を及ぼしても、「Likeeの全体的な戦略と収益化は影響を受けない」(Seeking Alpha記事)とJoyyのCFOを務めるBing Jin(ビン・ジン)氏は第2四半期決算会見で述べた。
同社にとって2番目に大きなマーケットである米国では、LikeeはTikTokにとって最も急成長しているライバルの1つだ。7月初めから8月初めにかけて、Likeeは725万回ダウンロードされ、ハリウッド発のTriller(トリラー)、TikTokのかつてのライバルDubsmash(ダブスマッシュ)、Vine(バイン)の続編Byte(バイト)を凌いだことがApptopiaの調査で明らかになった。
Likeeはまた、ロシアとインドネシアでも急成長している。現在も続いている地政学リスクを懸念し、Likeeは「さまざまな国の政府に協力してローカルオペレーションを進めている」とジン氏は話した。
ライブストリーミングの開拓者
Nasdaq(ナスダック)に上場しているJoyyは、ホームマーケット以外ではあまり知られていない。2005年に設立され、フラッグシップサイトYYを通じてライブストリーミング中にバーチャルギフトを贈るという現象を大衆化した。視聴者はインフルエンサーにバーチャルの「花」などをプレゼントでき、インフルエンサーは受け取ったものを現金に変えられる。YYの収益化モデルはかなり成功し、似たようなライブストリーミングのライバルが登場することになった。そして中国マーケットが飽和状態となり、同社は海外に目を向けた。
Joyyの創業者でCEOのLi Xueling(李学凌)氏は2016年にシンガポールに別会社のBigoを立ち上げた。YYの成功をもう一度と、ライブストリーミングアプリBigo Liveをデビューさせた。ショートビデオがとてつもなく人気になったとき、BigoはLikeeの展開を開始した。2019年6月から2020年6月にかけて、Likeeは世界中でMAU7000万人を獲得した。
6月時点で、JoyyのモバイルMAUは4億5700万人に達し、その91%が中国外マーケットのユーザーだ。Bigoが収益を上げるようになり、Joyyは昨年Bigoを完全買収して統合(未訳記事)した。
Bigoの海外でのたくましい成長ぶりはJoyyにとって自信となったに違いない。しかし市場を独占するためにTikTokと戦いたいかと地元のメディアに尋ねられたとTencentニュースサイト記事)とき、李氏は「倒すことはできないだろう」と語った。そして彼は、TikTokの親会社ByteDance(バイトダンス)の創業者Zhang Yiming(張一鳴)氏は「今まで会った中で最も先見の明のある人物だ」と謙遜の言葉を続けた。
画像クレジット: Likee
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/08/14/2020-08-13-likee-150-million-monthly-users/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Rita Liao
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