疾患の検査などで用いるCTは、透過したX線から身体内部の画像を生成している。このように、電磁波や音波を分析することで、直接観察できないものをイメージングすることが可能だ。
イメージングでは、生成画像の解像度は波長の長さによって規定され、波長が短いほど解像度は高くなるのが一般的だった。
ただ、このほどスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームによって開発された手法をもってすれば、波長の長さよりもはるかに詳細な画像が得られるようになる。
1mの音波から数cmの解像度を得る
研究チームは、長さ約1mの音波を使用して、数cmの解像度で画像を生成することに成功した。この新しい技術により、波長の長さに対してじつに約30分の1の詳細までを描画できたという。
新技術のキーとなるのは、AIと音を吸収して送信する素材(メタマテリアル)の組み合わせ。メタマテリアルは特別に設計されたものだ。
研究チームは、ミニスピーカー64個を格子状に束ねたものから音を出して0~9までの数字を表現。ミニスピーカー1つが、画像の1ピクセルということになる。
成功率90%で数字を再現
ミニスピーカー格子の向こう側に、39個のヘルムホルツ共鳴器(穴のあいた球で共鳴により音を発する)が入った袋を置いて、メタマテリアルをつくった。
このメタマテリアルによって送信された音は、数m向こうに設置された4本のマイクによってキャプチャされた。
音の信号から数字を認識するようトレーニングしたニューラルネットワークでもとの数字を再現したところ、成功率は約90%になったとのこと。
同技術を応用することで、電磁波よりも人体に無害な医用イメージング手法の開発につながる可能性がある。
参照元:Deep learning and metamaterials make the invisible visible/ EPFL
- Original:https://techable.jp/archives/134643
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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