大人も思わず使いたくなる回転カメラが楽しい子供用スマートウォッチ

スマートウォッチの代名詞といえばアップルのApple Watchだ。しかしライバルたちが徐々に存在感を高めている。中でも中国の子供向けスマートウォッチに注目だ。高画質カメラに通話機能を備えた最新モデルは、大人が子供から取り上げて使いたくなるほど魅力がいっぱい詰まっているのだ。

子供にだけ使わせるなんてもったいないスマートウォッチが登場

腕時計本体の裏面にカメラを搭載
360度回転させれば気分はスパイ

中国の広東小天才科技は子供用スマートウォッチに特化したメーカーだ。中国国内では「小天才」、グローバルでは「Imoo」(アイムー)の名前でスマートウォッチを販売している。子供用のスマートウォッチなんておもちゃレベル、Apple Watchと比べるような製品でもないだろうと多くの人が思うだろう。ところが最新モデル「Z6 Ultra」はApple Watchをはるかに超えた機能を搭載しているのだ。

Z6 Ultraはまるでロボットのようないかつい外観をしている。ピンク系カラーのモデルもあるので女の子もターゲットにしているのだろうが、女の子はもっとかわいい製品を選ぶだろう。ディスプレイのサイズは1.6インチでApple Watchの44mmモデルとほぼ同等だ。解像度は360ⅹ320ピクセル。バッテリーは800mAhで約6日間連続利用が可能だという。IPX8の防水に対応し、水深20メートルでの利用も可能とのこと。価格は1999元、約3万円だ。

すごい機能を秘めているImoo Z6 Ultra

Apple WatchがZ6 Ultraに絶対勝てないのがカメラ機能だ。Z6 Ultraはスマートウォッチにもかかわらず1300万画素カメラを搭載しているのだ。さらに文字盤側となるフロント面には500万画素も内蔵している。この2つのカメラの組み合わせはエントリーモデルのスマホと変わらない。つまりZ6 Ultraはスマホと同じような写真を撮影することができるのである。

フロント面のカメラは500万画素、そしてこんな形に変形できる

しかも時計の本体は縦に引き起こすことができ、360度回転させることもできる。これにより1300万画素の高画質カメラで風景を撮影したり、自分の顔を映すことができるのだ。Z6 Ultraを使った写真撮影の様子はまるでスパイ腕時計を使っているようでもある。

背面に1300万画素カメラが隠されている

それだけではなく、前後2つのカメラを使って同時にビデオ通話が可能なのだ。つまり自分の顔を映しながら、後ろにある風景を映しつつ、自分の親や友人と映像を使って通話できるのである。こんな機能はスマホでも一部の機種でしか対応しておらず、もちろんスマートウォッチではこのZ6 Ultraだけが搭載している。

2つのカメラを使ってビデオ通話ができる

クアルコムの新チップが登場
スマートウォッチがスマホになる

高画質なカメラを搭載したZ6 UltraはSIMカードを入れて単独での通信もできる。しかも通信速度は最大150Mbps。実際に使った場合はこれよりも速度は落ちるだろうが、YouTubeを視聴するのに十分な速度は出るだろう。1.6インチの小さい画面で動画を見るのは現実的ではないかもしれないが、画面いっぱいに顔を出したライブ配信などなら十分視聴に耐えられそうだ。

このようにZ6 Ultraのカメラや通信性能は2-3年前のスマホと変わらない。ここまで高い性能を発揮できるのはクアルコムが開発した最新の統合チップセット「Snapdragon Wear 4100」を搭載しているからだ。腕時計サイズの本体内部にこのチップセットを搭載し、あとはカメラやマイク、ディスプレイなどを接続して収納すれば、高性能なスマートウォッチが出来上がるのである。クアルコムはスマホ向けの統合チップセットで高いシェアを誇るが、スマートウォッチでもシェア拡大を目指しているのだ。

NFCも搭載しており中国では地下鉄にも乗車できる

世界のスマートウォッチ市場は新型コロナウィルスの影響を受けずに成長が続いている。大手調査会社カウンターポイントによると、2020年第1四半期の世界の出荷量は前年同期から12%増の1430万台を記録した。Apple Watchはこれまで圧倒的な強さを誇り、常にシェアの半分を占めていた。ところが今期はシェアが36.3%まで落ち、代わりにファーウェイが14.9%、サムスンが12.4%と追い上げている。前年同期と比べるとアップルはマイナス13%、ファーウェイはプラス113%、サムスンはプラス46%だった。今後もスマートウォッチ市場はさらに伸びることが期待されているだけに、クアルコムもSnapdragon Wearシリーズを1-2年おきにアップデートしているのだ。

スマートウォッチ用の最新チップセット「Snapdragon Wear 4100+」

ところで今回紹介している小天才 / Imooはどれくらいの実力を持っているのだろうか。世界の子供用スマートウォッチのシェアで2018年、2019年とトップを走っているのだ。日本でもおなじみのスマホメーカー、ファーウェイとシャオミも子供向けスマートウォッチを出しているものの、出荷台数は1/3以下しかない。小天才 / Imooは知られざる世界のシェアトップブランドなのだ。

子供向けのスマートウォッチでImooは圧倒的なシェアを誇る

あらゆる親子のニーズに対応
日本でもぜひ販売してほしい

中国メーカーのスマートウォッチが産声を上げたのは今から10年ほど前のこと。中国は子供の誘拐も多いことから子供の居場所確認ができるGPS搭載のスマートウォッチが登場した。しかし当時の製品は品質が悪く、子供が遊んでいる最中に汗をかけばその汗が内部に入り故障してしまうような品質だった。またベルトも子供が長時間つけていると手首がかぶれてしまうような製品もあった。

やがて次々とメーカーが参入することで年々品質は高まり、GSM(2Gの通信方式)に対応したスマートウォッチも登場。これにより子供に何かあった時に親との間でいつでも通話できるという安心感から販売数が急増していった。その後は防水に対応し、さらに安否確認できるようにとカメラの搭載も進んだ。子供向けスマートウォッチは、アプリを入れスマホと連携する大人向けのスマートウォッチとは異なる進化を中国で遂げていったのだ。今では東南アジアなどでも中国メーカーの子供用スマートウォッチは販売されるようになっている。

中国メーカーの子供向けスマートウォッチの品質は一気に高まった

Imooのスマートウォッチは最上位モデルとなるZ6 Ultra以外にも、カメラを搭載したベーシック機能のモデルや、通話とGPSに特化した低価格モデルなど価格と種類は多岐にわたる。一番安い製品「Y5」は2Gの通話に対応し、親のスマホに入れた専用アプリからY5を腕にはめている子供の位置を常に把握できる。価格は299元(約4600円)。通信料金も月に数百円程度で家計にも優しいため利用者は多い。

5000円以下で買えるY5。単体で通話もできる

位置の把握と緊急時の通話用なら子供だけではなく年配者向けとしても有用だ。腕時計のように腕にはめなくとも、ペンダントのようにして首からぶら下げてもいいだろう。そしてZ6 Ultraの高画質カメラは大人が普段使いする用途にも使えるだろう。子供向けのスマートウォッチに特化しているImooだが、別ブランドで大人向けのスマートウォッチを出したら結構売れるのではないだろうか。

海辺でビデオ通話。大人も同じことをしたいはずだ

中国のスマートフォンメーカーの多くが日本市場に参入を果たした。その次は子供用スマートウォッチがやってくるかもしれない。Imoo以外にも360安全中心、Abardeen、Mimitouなど中国には子供向けのスマートウォッチを手掛けるメーカーが多数あるのだ。大人だけではなく子供もスマートウォッチを身に着け、しかも大人のもつ製品よりカメラや通信機能が優れている、そんな時代がもうすぐやってくるのかもしれない。

 


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