ドナルド・トランプ米大統領が署名した、米企業とWeChatとの取引を禁止する大統領令が中国のApp Storeにも適用された場合、Appleの損失は「年間250億ドルを超える」との試算が投稿されています。
クオ氏はiPhone出荷台数が最大30%減と予想
メッセージング、ソーシャルメディア、決済の機能を持つWeChatは、中国では今や多くの人々の生活に欠かせないアプリとなっています。WeChatと米企業との取引を禁じる大統領令が、米国内のみならず全世界に提供された場合、中国国内におけるiPhone出荷台数は最大で30%減少する可能性があると、著名アナリストのミンチー・クオ氏は予想しています。
投資家のダミアン・ロビンス氏は投資家コミュニティSeeking Alphaへの投稿において、WeChatが全世界のApp Storeから削除された場合の「最悪のシナリオ」を想定、その損失額を計算しています。
Appleにとって中国は3番目に大きな市場
中国はAppleにとって世界で3番目に大きな市場であり、2019年の同国における売上高は約440億ドルでした(2018年は約510億ドル)。WeChatとTikTokの禁止令は、中国市場におけるAppleデバイス(特にiPhoneとiPad)の売上急降下につながる可能性があります。
また同社2020年第3四半期(4月〜6月)の中国の売上高は93億2,900万ドルでしたが、営業利益は36.59%で、北米の29.51%よりもはるかに高い数字です。つまりWeChat禁止は単純に440億ドルの売上損失というだけでなく、最大165億ドルの営業利益損失をも導く可能性があります。
最悪のシナリオでは年間250億ドル超えの損失か
2019年度のAppleの総売上高2,600億ドルのうち、iPhoneの比率は54.7%、iPadは同8.2%でした。これをそのまま中国市場に当てはめ(つまり62.9%がiPhone、iPadの売上高と考え)、その他サービスやウェアラブルは影響を受けないと仮定すると、WeChat停止による損失額は、単純計算で最大283億ドルとなります。
しかしこれはかなり非現実的な数字です。中国におけるiPhone、iPad売上がゼロになるというのもそうですが、影響を受けるのがハードウェア売上だけと考えるのも安易でしょう。
そこでロビンス氏は、中国におけるiPhone/iPad売上が75%失われる場合と、50%失われる場合の2パターンを想定、さらに計算しています。
75%失われる場合は単純計算で売上高が210億ドル減、さらに関連サービスの売上が40億ドル〜50億ドル減少し、50%失われる場合は同140億ドル減、さらに関連サービスが20億ドル〜30億ドル減少する計算となります。
WeChatは国際版のみが禁止される可能性も
ただしWeChat禁止令については、国際版である「WeChat」のみが挙げられており、中国語版「Weixin」についてはまったく触れられていないことから、今回標的となっているのは国際版のみである可能性もあると、ロビンス氏は指摘しています。
Source:Seeking Alpha via Cult of Mac
(lunatic)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-307390/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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