密かに人気「ゴルフ2」の中古車相場とコンディション

「ゴルフ2、本気で欲しいんだよね」という&GP編集長の一言でいきなり動き出したゴルフ2企画。

【関連記事】30年以上前のクルマなのになぜ「ゴルフ2」は魅力的なのか

前回はゴルフ2とはどんなクルマだったかを振り返りましたが、今回は気になるゴルフ2の相場状況と中古車購入時のポイントについてを、引き続きゴルフ2専門店スピニングガレージ代表の田中延和さんに、聞いてみました。

はたして編集長は本当にゴルフ2を手にするのか!?
 

■30年以上経過しているが程度のいい中古車が増えている

現在、1980年代〜90年代前半くらいに登場した輸入車の中古車事情は大きく様変わりしています。

旧車ブームの影響でこの年代のクルマを手に入れたいという人が増えている反面、流通量は大きく減少。そのため車種によっては中古車相場が上昇傾向になっています。ゴルフ2も例外ではありません。

「10年くらい前までは、安くて維持費もかからないクルマという感覚でゴルフ2に乗る人も多かったため、オーナーによって購入後の取り扱いにかなり温度差がありました。しかし今は、お金がかからないという感覚では維持できないところにきています。中古車の流通量もここ5年ほどでかなり減っていて、それに伴い中古車相場も上昇しています」(田中さん)

ただ買いっぱなしで維持できる状況ではなくなった。ということは、裏を返すとオーナーはきちんと整備をしながら乗っているということ。そのため、以前よりも程度がいい中古車が増えていると言います。

▲コンクールコンディションレベルのゴルフ2

相場の目安は、一般的な状態のCiやCLiで車両本体価格が100万〜150万円程度。コンディションがかなりいいものだと150万〜200万円程度。そして、オートモビルカウンシルのようなイベントに出品するもの(コンクールコンディションレベル)だと200万円を超えてきます。

ベーシック系はATかMTかでも相場がかなり変わり、MTだと上記の価格に対してプラス10万〜20万円ほどみておいた方がいいでしょう。

おもしろいのは、ベーシック系の相場が上昇する一方で、GTスペシャルやアーバンエリートといった人気の限定車の相場はあまり動いていないこと。そのため、ベーシック系と限定車の相場の差がなくなってきているそうです。

また、中古車は色ごとの人気により相場が大きく変わるもの。ゴルフ2もかつては白、黒、赤の相場が高く、流通量の多い紺やガンメタリックは比較的相場が安かったのが、現在は色による価格差が小さくなっているといいます。

一方、GTIとカブリオは最低でもベーシック系より50万円は予算を多めに見ておきましょう。

「GTIは程度のいい中古車自体がかなり少ないこともあり、購入後のハードルは高めと思っていただいた方がいいでしょう。中でも燃料系が他のグレードと異なっていて、部品がなかなか出てきません。また、ノーマルで乗られているものも少ないのですが、最近は購入後にノーマルに戻す方向で整備する人が増えていますね」(田中さん)

クラシックラインを含むカブリオは、幌やウェザーストリップの状態をチェック。雨が室内に入ってこないような特別なつくりが施されているわけではないので、横殴りの激しい雨のときは多少水が入ることもありますが、程度がよければ室内に水がたまるようなことはないはず。

お店で実車を見て「幌やウェザーストリップが劣化している」という話になったら、交換を検討したほうがいいでしょう。

 

■走行距離より樹関系や錆の状態をチェック!

ここからは展示場で実車を物色。まずは編集長が探しているゴルフ2の条件をヒアリングします。

①平日に奥さんが乗る機会が多いので5ドアのAT(気持ち的にはベーシックグレードのMTやカブリオにも乗りたい)

③程度が極上というよりも、年式相応にやれた感じがあるほうがいい

④予算は100万〜150万円くらい

「5ドアのATでそれくらいの予算なら探しやすいと思います。ベーシック系はノーマルで無理せず乗られていたものが多いから、程度のことをそこまで心配する必要もありません」(田中さん)

中古車を買うときに気になるポイントのひとつが走行距離。ゴルフ2のような旧車の場合、走行距離が少ない=程度良好とは一概には言えません。距離がかさんでいても前オーナーがしっかり手を入れていたもののほうが調子よく乗れることも多いので、購入時は単純に距離を見るのではなく、内外装の状態や機関系を自分でしっかり確認してください。

「ここ数年で変わってきたと感じるのはボディの錆です。ゴルフ2は製造過程で防錆処理としてボディをワックスの中に浸けていました。数年前までは暑い季節になるとそのワックスがボディパネルの隙間から垂れてくる=防錆効果が残っているものが多かったんです。ところがさすがに最近は、後期型でも防錆処理が残っている個体が少なくなり、それとともに錆が目につくものが出てきています。古いクルマだし多少の錆は気にしないという人なら問題ないですが、気になる人は錆の状態はしっかり確認した方がいいでしょう」(田中さん)

ゴルフはとても合理的なクルマで、ボディサイズからは想像できないほど室内は広くなっています。とくにトランクの広さは特筆もの! この利便性の高さだけで手放さない人もいるほど。

居住スペースも直線的で無駄な張り出しがないので、大人4人でゆったり乗ることができます。

ほとんどのゴルフ2はフロントがパワーウィンドウで、リアが手動式のウィンドウ。ただ、パワーウィンドウが壊れるのを嫌ってドイツからウィンドウレギュレーターを取り寄せて手動式に変更する人もいます。

フロントのウィンドウレギュレーターのハンドルはドア内張にある二つの丸の下側につきます。
 

■同じゴルフ2でも細かな違いが

展示場でいろいろなクルマを見ていると、個体ごとの細かい違いに気づくはず。その部分をいくつか紹介しましょう。

▼ミラーの位置

▲前期型

▲後期型

1987年までの前期型にはゴルフ1の流れでフロンドドアに三角窓がついています。そのためドアミラーは三角窓の後ろ側に設置されていました。1988年以降の後期型は三角窓が廃止されたため、Aピラー部分にドアミラーが設置されています。

▼バンパー形状

上の写真の白いゴルフはスモールバンパーと呼ばれるタイプで、紺色のゴルフはビッグバンパーと呼ばれています。ビッグバンパーは1990年以降のGLiとGTIに付けられました。

10年くらい前まではCLiなどにビッグバンパーをつけるオーナーが多く、中古車相場もビッグバンパーが付いたモデルの方が高かったとか。最近はスモールバンパーが人気で、ビッグバンパーをスモールバンパーに替える人もいるそうです。

▼モールタイプのフェンダーアーチ

ゴルフ2のフェンダーアーチはボディ同色の塗装になりますが、たまにバンパーと同じモールのフェンダーアーチになっているものがあります。これは新車当時にオプションで用意されたもの(一部グレードは標準装備)で、フェンダー部分にモールをかぶせています。

剥がすこともできますが、日焼けなどでボディ部とフェンダーアーチの色は合わなくなっている可能性があるのでそのまま乗った方がいいでしょう。

▼ホイール

こちらは純正オプションだったBBSのホイール。ベーシック系は鉄ホイール+ホイールキャップが標準。田中さんによると「昔は純正の鉄ホイールを履き替える人が多かったのでかなり捨てちゃいましたが、最近は『これがいい』と純正のホイールキャップを選ぶ人が増えています」とのこと。

 

■狙いは少しヤレたベーシック系。でもカブリオも捨てがたい…

展示場の奥にあるガレージには7月31日から幕張メッセで行われた「オートモビル カウンシル2020」に出展した個体も置かれていました。

まさにコンクールコンディションで内外装ともにピカピカ。バンパーなどのモール部分もきれいに塗装されていて、とても30年前のクルマとは思えません。

ただ、編集長としては適度にヤレた感じが出ているほうが、自分や奥さんの趣味に合うそう。外の展示場にあるものだと、予算150万円で買えるものも多くなります。内装は革より布のほうがいいとのこと。

一方で、カブリオにも未練があるようで、時々フラッと我々の前からいなくなり、クラシックラインなどが置かれているスペースを1人で眺めていました。

ちなみに現在はコロナウィルスの影響でカブリオの相場が少し下がっているそう。高値安定だったカブリオを欲しいと思っている人にとっては狙い時です!

編集長は自宅駐車場の関係で2台持ちが厳しいので、旧車の部類に入るゴルフ2だけでも大丈夫かというところを気にしていましたが、田中さんによるとオーナーの半数以上がゴルフ2の1台だけでカーライフを楽しんでいるというので、その辺りは問題なさそうです。

気になるクルマを何台か写真に収め、奥さんとも話をしてみるという編集長。無事にゴルフ2を購入したら、&GPでご報告します。

ちなみに納車整備とともに車検などで入ってくるクルマもあるため、契約してからクルマを仕上げ納車するまで3カ月ほど見てほしいそう。ゴルフに乗りたい人はスケジュールに余裕をもって探してください。

>> スピニングガレージ

<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

 

 

【関連記事】

◆もう一度乗りたい!フィアット「パンダ」はクルマの楽しさを教えてくれる小さな名車
◆モンキーBAJA、モトコンポ、GAG… ミニだけど超個性的なバイクがありました
◆世界が愛した“ちっちゃいクルマ”「クラシックMINI」の変遷を振り返る


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA