日本でApple Watch、米国でGalaxy Watchの心電図アプリ使えず?

Apple Watch ECG 2
 
Samsungは、Galaxy Watch3心電図測定機能が、米国食品安全局(FDA)の承認を取得したと発表しています。同デバイスには、血圧、血中酸素飽和度(SpO2)測定機能も搭載されています。しかし、それを利用可能にするアプリ、「Samsung Health Monitorがいつ提供されるかは未定だとMobiHealthNewsが報じています。医療機器に該当するヘルスケアアプリの承認には、日米韓の規制当局による、医療機器の認証・承認の違いが影響していることも考えられます。

FDAの承認取得も、アプリは未提供

Galaxy watch3 ECG
 
Samsungは、Galaxy Watch3の心電図測定機能がFDAの承認を取得したと発表しています。同社は、Galaxy Watch3に搭載される「心電図、血圧、血中酸素飽和度測定機能などのヘルスケアモニタリング機能の目的は、診断用途ではない」と述べています。
 
MobiHealthNewsによれば、Galaxy Watch3で血圧測定機能を利用する場合、従来の血圧測定用カフを使用して4週間毎にキャリブレーションを行う必要があるようです。
 
米国以外で「Samsung Health Monitor」を提供するには、国ごとに規制当局の承認を得る必要があります。

日米韓で医療機器の承認に違い

PMDA Medical device clasification
 
Galaxy Watch3はまだFDAの(承認済み製品)サイトに掲載されていませんが、同製品はクラスⅡ医療機器として承認されたとThe Vergeは報告しています。
 
医療機器の承認作業は、日本、米国、韓国の間で調整が進められており、米国でクラスⅡ医療機器の承認を得ようとする場合は、既に承認された医療機器との同等性を検討した判断が行われると、韓国食品医薬品安全処(MFDS)医療機器研究科の李昌炯氏は解説しています。
 
Galaxy Watch3に搭載予定の「Samsung Health Monitorアプリ」の心電図測定機能は、Apple Watchの「心電図アプリ」との同等性が認められたと予想されます。

Appleは米国での治験データを日本での申請に使わない?

医療機器の承認迅速化に向けて日本では厚生労働省が平成28年7月(2016年7月)に報告書をとりまとめており、革新的な医療機器が迅速に供給されるよう、「革新的医療機器早期承認制度」の構築が提言されています。
 
これに伴い、「Apple Heart Study」のような外国で実施された治験データも、承認取得に向けた申請関連資料として受け入れられるようです。「Apple Heart Study」は2018年2月初旬から参加者に対して治験開始の案内が行われ、そこで得られたデータをもとにAppleは2018年8月13日、「心電図アプリ」をFDAに申請し、約1カ月後の9月11日に承認を取得しています。
 
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のガイダンスに従えば、日本での「心電図アプリ」の承認・審査においても、「Apple Heart Study」の治験データを用いることが出来るようです。
 
「心電図アプリ」の承認申請において日本での治験が必要だった場合でも、心電図測定機能を搭載するApple Watch Series 4の発売(2018年9月21日)から既に1年11カ月経過していますので、この間にAppleが「Apple Heart Study」のような取り組みを行っていた場合、既に認証・承認されていた可能性もありそうです。
 
本記事は、公開された各国における医療機器認証・承認プロセスをもとに、独自に予想した内容であるため、実際の認可・認証では申請する機器、クラス分類によって手続きが異なる可能性があります
 
 
Source: MobiHealthNews , Semantic Scholar, 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)(1), (2), (3), 厚生労働省 (1), (2), THE Verge
Photo:Apple
(FT729)


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