IIJmioが新プラン「IIJmioモバイルプラスサービス 従量制プラン」の提供を開始する狙い

MVNO(仮想移動体通信事業者)としてサービスを展開するIIJは、同社のコンシューマー向けブランドIIJmioで、「IIJmioモバイルプラスサービス 従量制プラン」の提供を開始する。

プラン詳細

その名の通り、使った分だけ料金がかかる「従量制」になっているのがこのプランの特徴。料金はSMS付きのデータ通信用が480円から、音声通話対応が1180円から。いずれも月1GBまでのデータ通信が含まれる。

以降の料金は、データ通信を1GB利用するごとに上っていく。データ通信用のSIMカードの場合、2GBまでが700円、3GBまでが900円。2GB以降は、1GBごとに200円で容量を追加できる。

通信量の最大は20GB。ただし、使いすぎを防止するため、ユーザー自身で容量に上限を設定することが可能だ。例えば、月に5GB以上使いたくないときは、あらかじめ5GBと設定できる。上限は途中で見直すこともでき、データ通信の状況や、予算に応じた柔軟な使い方を可能にする。

2GB以降は1GBあたり200円。最大20GBまで利用可能だ

あらかじめ設定した容量を超えると、高速データ通信が止まる「ストッパー機能」も用意した

ちなみに、IIJmioではドコモから借りた回線を利用する「タイプD」と、auから借りた回線を利用する「タイプA」の2つが選択できるが、従量制プランはau回線のみで展開される。

現時点では、Webからの申し込みに限定され、ビックカメラなどの家電量販店では扱われない。これは、元々au回線限定で展開していた「エコプラン」をリニューアルしたためだ。

料金が1GBあたり約200円と安いのも、au回線に限定しているため。大手キャリア3社は、3月に回線をMVNOに対して貸し出す際の「接続料」を公表しているが、20年からは、「将来原価方式」が採用され、22年度ぶんまでの予測値が明らかになった。

元々、接続料はドコモが3社で最安だったが、20年度以降は、KDDIがそれを下回る予測値を出している。20年度予想は、ドコモが10Mbpsあたり41万4368円なのに対し、KDDIは32万8420円と大差をつけて逆転した。

従量制プランを導入した背景

IIJmioがメインで展開する料金プランは、データ容量別に3種類。3GBの「ミニマムスタートプラン」、6GBの「ライトスタートプラン」、12GBの「ファミリーシェアプラン」がそれにあたる。いずれも、あらかじめデータ通信ができる容量が決まっている、定額プランだ。では、なぜこのタイミングで従量制プランを新たに導入するのか。

IIJによると、コロナ禍でのデータ通信の利用動向が、従量制プランの導入のきかっけになったという。IIJによると、コロナ禍で外出自粛が続いた4月から6月にかけ、固定のブロードバンドはトラフィックが112%から123%と伸びたのに対し、モバイルは82%から93%とトラフィックが減少したという。外出しないのであれば、モバイル回線ではなく、自宅にある光回線に接続すればいいというわけだ。

コロナ禍の外出自粛によって、モバイルのトラフィックは減少した

一方で、6月を見ると、緊急事態宣言下にあった4月、5月よりはトラフィックが伸びていることがわかる。以前より、月ごとに使用するデータ通信量が変化する傾向が強くなったと言えるだろう。このようなときに、月あたりの容量が決められている定額プランだと、データ通信量が無駄になりかねない。ユーザーにとっては、無駄な料金を払うことになってしまうと言えるだろう。

従量制プランは、こうした社会情勢にフィットした料金プランと言える。MVNOを見渡すと、日本通信が「合理的かけほプラン」を7月に導入するなど、徐々にこうしたプランが広がりつつある。

大手キャリアが大容量プラン、そのサブブランドが中容量プランを打ち出すなか、MVNOが低容量でかつ月ごとのバラつきを吸収できるプランを投入するのは理にかなった差別化戦略と言える。接続料が下がったこともあり、ここに追随するMVNOも出てくるかもしれない。

(文・石野純也)


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