米国内での新型コロナウイルスの広がりを受け、数多くの自動車会社やメーカーが個人防護具や人工呼吸器の不足を補おうと工場を改造する計画を発表した。
そしていま、米自動車メーカー2社がそれぞれ結んでいた数百万ドル規模の人工呼吸器製造の契約を完了した。2社合わせて8万台を米政府に納入した。
General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)は9月1日、3万台の救命救急人工呼吸器を国家戦略備蓄向けに製造するという米保健福祉省(HHS)との契約を完了させたと発表した。GMは人工呼吸器の多くは病院に配備されたと述べた。Ford(フォード)でも契約の人工呼吸器5万台の製造が完了した(Bloomberg記事)。
GMとフォードは単独で取り組んだわけではなかった。両社ともまったくゼロの状態から5カ月以内に数千台の製造体制に加速させるのにパートナー企業と力を合わせた。GMはインディアナ州ココモのエンジンプラントで従業員1000人体制で人工呼吸器を製造するのにVentec Life Systems(ベンテック・ライフ・システムズ)と提携した。GMとVentecの提携は、新型コロナ問題への対応としてし企業のマッチングをコーディネートするStopTheSpread.orgの取り組みから生まれたものだ。
一方、フォードはGE Healthcare(GEヘルスケア)と提携して、ミシガン州ローソンビルロードにあるプラントで人工呼吸器を製造した。フォードの3億3600万ドル(約357億円)の契約は、8月28日にモデルA-E人工呼吸器の最終ユニットを出荷して完了した。フォードの契約は当初7月中旬に完了するとされていたが、Bloombergによると、パーツ生産の新規サプライヤーの影響で遅れが生じた。契約の延長はHHSに認められた。
契約初期に両社はトランプ大統領に批判され、攻撃さらされたが、結局大統領は両社の取り組みを称賛した。
両社の生産は拡大し、車両やパーツの組み立てに使われていたかなりの工場を医療機器製造施設へと変換できることを示した。GMはVentecとの提携を発表する前に、VentecのVOCSNという救命救急人工呼吸器の製造に必要な700以上の部品を確保できるかどうか調査しさえした。VOCSNは2017年にFDA(米食品医薬品局)に承認された多機能人工呼吸器だ。
GMは当初、製造費用を7億5000万ドル(約797億円)と見積もった。ここには、エンジンプラントの改造、人工呼吸器製造のための材料購入、製造に従事する労働者1000人の賃金などが含まれる、と情報筋は話した。しかし、トランプ政権は見積もり額に尻込みし、契約を保留した。最終的にGMは8月末までに人工呼吸器3万台を製造するという4億9000万ドル(約520億円)の契約を政府と結んだ。この契約のもとで、GMは400種類パーツから構成される、VOCSNよりもシンプルなタイプのVOCSN V+Proという別の人工呼吸器を製造した。VOCSNのほうが高価で多機能性を備えた複雑な機器だ。
フォードとGMはまた他の医療用品も手掛けた。Apolloというプロジェクトを展開したフォードは3M(スリーエム)とのコラボレーションで、フェースシールド1900万個、フェースマスク4200万枚、洗濯可能な予防衣160万着、電動ファン付き呼吸用保護具3万2000点を生産した、と述べた。
GMはウォーレンにある施設にフェースマスク生産ライン2つ、N95医療用マスク生産ライン1つを稼働させていると話した。これまでにマスク1000万枚を生産し、GM施設で働く従業員向けと地域組織への寄付用のマスクの生産を続けている、と述べた。
画像クレジット: AJ Mast / GM and Ventec
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(翻訳:Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/09/03/2020-09-01-gm-ford-wrap-up-ventilator-production-and-shift-back-to-auto-business/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Kirsten Korosec
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