TikTok(ティクトック)は米国事業を売却するかもしれないし、しないかもしれない。中国企業の所有という形態が変わらなければ、米政府は国家安全保障の懸念から米国時間9月20日にTikTokを禁止するとしている。しかし米国の思い通りにいかないのは、TikTokは雑草のように他のマーケットでまだ成長を続けているということだ。同社は米国時間9月14日、欧州での月間アクティブユーザー数が1億人に達したと発表した(TikTokリリース)。同社は欧州では英国、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、スペインでサービスを展開している。
「欧州がTikTokを受け入れてくれたことを光栄に思う」と同社の欧州責任者、Rich Waterworth(リッチ・ウォーターウォース)氏は9月14日のブログ投稿で述べた。同氏はまた、2020年9月初めに立ち上げた「Creator Fund for Europe(欧州のためのクリエイター基金)」に対象となるクリエイターの40%超から申し込みがあったことも明らかにした。同基金は、今後3年間にわたってTikTok向けにビデオコンテンツを制作して収入を得ようとしているプロの「クリエイター」に2億5000万ユーロ(約310億円)を拠出することを約束している。
なかでも注意を引くのは、TikTokの米国におけるユーザーが1億人を達成して1カ月もしないうちに(TikTokリリース)今回のニュースを発表していることだ。
もちろん別の意味でもこのニュースのタイミングは興味深い。
TikTokを所有するByteDance(バイトダンス)にとって欧州での大規模展開はこれまで以上に重要な意味を持つようになっている。最も大きな2つのマーケットにおける将来見通しの平衡を取るという点においては特にそうだ。ByteDanceが厳しい状況に直面しているのは米国でだけではなく、同社にとって2番目に大きなマーケットであるインドでも厳しい逆風にあっている。TikTokはインドで禁止され、苦境から脱するための見込みのある買い手や擁護者は現在のところいないようだ。
米国では目下、3つのオプションがあるようだ。「米政府によって禁止される」か、「TikTokが事業のすべてあるいは一部を他社に売却して今後の収益を放棄する、もしくはこのバイラルビデオマシーンに米国のクリエイターや視聴者を使うのを放棄する」。あるいは「ByteDanceがトランプ政権を相手取って訴訟を起こし、これまで通りまたは多少の修正を加えて事業を継続する」かだ。
この3つの選択肢はそれぞれに痛みをともない、欧州事業の成長やポテンシャルを際立たせることになる。
TikTokはこうした状況にも関わらず「これまで通りの事業」のアプローチを取ってきた。過去数週間、同社は米国や他のマーケットの消費者やマーケッター向けに多くの新機能(未訳記事)を追加した。
ここには、ブランド販促のためにTikTokを利用する広告主の幅や数を広げるためのマーケティングツール拡大も含まれている。ユーザーが他のビデオからコンテンツのサンプルを作り、TikTokのユーザーに「紹介」したりシェアしたりするのに使うStitchのような新機能は、より多くの投稿やバイラルな動画の制作を促す新しい手法だ。
数字もどうなるのか気になるところだ。米国マーケットからのインプットなしにTikTokはどうなるのだろうか。
これまでのところ、米国におけるTikTok人気上昇はTikTokのグローバルでの人気に大きく貢献しているといっていいだろう。TikTokは多数の視聴者を作り出しただけでなく、トップスターたちも生み出した。参考までにFacebook(フェイスブック)や他のソーシャルアプリと比較すると、米国はTikTokにとって広告の数や売上高において最大のマーケットでもある。
それでも、欧州において月間アクティブユーザー数1億人というマイルストーンが達成されたのは注目に値する。この記事執筆前の24時間の間に、さまざまな報道が飛び交った。可能性のある買い手としてOracle(オラクル)が有力という報道があり、中国政府が売却せずに潰すのではないかという別の報道もあった。
米国のユーザー数の発表とかなり近いタイミング(3週間も離れていない)で、欧州のユーザー数も米国と同じ1億人と発表したことは、米国マーケットに結局別れを告げるByteDance流のあいさつなのかもしれない。
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カテゴリー:ネットサービス
画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/09/15/2020-09-14-tiktok-hits-100m-users-in-europe-as-the-clock-ticks-on-its-us-business/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Ingrid Lunden
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