ディスプレイを折り曲げて畳むことのできるスマホの最新モデルがサムスンから発表された。「Galaxy Z Fold2」はポケットに入るスリムな形状ながら、ディスプレイを開けば大型のタブレットになる。最大3つのアプリを同時に表示できるのでSNSを見ながら情報検索、なんてことも簡単だ。さらにディスプレイを半分開いた状態で机の上に置けば、動画を見たりビデオ会議をすることもできる。1台で3役にも4役にもなるGalaxy Z Fold2は折り畳みスマホの完成系といえるのだ。
7.6インチの大型画面
3つのアプリを表示可能
Galaxy Z Fold2は縦159.2ミリ、横幅68ミリの本体を側面からパカっと開くと7.6インチのタブレットになるという、折り畳みスマホだ。サムスンは初代の折り畳みスマホ「Galaxy Fold」を昨年販売したが、開いたときのディスプレイサイズは7.3インチと一回り小さく、また右上にフロントカメラを搭載していたため実際に使えるサイズはさらに小さかった。Galaxy Z Fold2はフロントカメラを小さい穴の形状とすることでディスプレイ内に埋め込み、普段使っているときには目立たないデザインとしたのだ。
7.6インチもの大きいディスプレイサイズのスマホは世の中には存在しない。またタブレットなら10インチなどより大きいサイズの製品も多数販売されている。しかしGalaxy Z Fold2は畳んだ状態であればスマホと変わらぬ大きさなので持ち運びは苦にならない。打合せの最中に「ちょと資料をお見せしますね」と、机の上に置いておいた閉じた状態のGalaxy Z Fold2を手に取り、それを開いて大きいディスプレイでPDFを見せれば打合せの相手も「いったい何がおきたんだ!」と驚くこと間違いなし。そこから新しい会話も生まれるだろう。実用性があるだけではなく、ディスプレイを開くギミックも楽しいのだ。
この7.6インチのディスプレイは普通のスマホのようにアプリを起動すれば全画面表示される。地図を見る時や電子書籍・コミックを閲覧するときなど、この大きいサイズは使いやすい。PFDのチェックや表計算アプリのデータを見る、といったビジネス用途にも向いている。Galaxy Z Flod2はオンにもオフにも活用できるスマホなのだ。
またディスプレイの右側から中央に向かってスワイプすると、アプリのショートカットメニューが現れる。好みのアプリをディスプレイにドラッグすれば、すでに開いているアプリの横にもう1つのアプリが表示されるのだ。片側で動画を見ながら片側でSNSを見る、なんてことも楽にできる。さらには1画面を2つに分割することで、最大3つのアプリを同時に表示できる。3つのアプリはワンタッチで左側の大きい表示エリアに切り替えも可能だ。
閉じればスリムなスマホに変身
5000台の限定モデルもは35万円
Galaxy Z Fold2は閉じてもスマホとして使いやすい。スリムなボディーに6.3インチの大型ディスプレイを搭載しているので、SNSのタイムライン表示も見やすいのだ。初代Galaxy Foldはディスプレイサイズが4.3インチしかなく、閉じた状態ではスマホとしてフルに使うことは難しかった。しかしGalaxy Z Fold2なら混雑している電車の中でも閉じたままでほぼすべての操作を行うことができる。電話を掛けたりメールを書いたりも片手でフリック入力もできる。
なお閉じた状態では本体の厚みは16.8ミリ。普通のスマホより厚みがあるものの、横幅が細いので持ちにくいということはない。背面には別売のレザーカバーなども装着できるので、握り心地もよりよくなるだろう。その背面部には1200万画素の広角・超広角・望遠と3つのカメラを搭載している。
ところでディスプレイを折りたたむと本体は完全に閉じず、ヒンジの部分が若干隙間が開く状態となる。薄型とはいえガラスでおおわれたディスプレイなので完全に密着させるように曲げることはできないのだろう。また折りたたんだ状態で外側を見ると、ボディー内部からヒンジカバーが現れる。このカバーと本体の隙間にはブラシが内蔵されておりゴミや異物が入らないようになっている。
Galaxy Z Fold2のカラバリはミスティックブロンズとミスティックブラックの2色のみ。今後別の色が追加される可能性もあるかもしれない。しかし本体価格は約2000ドル(20万円超え)という高価なモデルだけに、サムスンとしても多数のカラバリを用意するのは難しいかもしれない。そこで背面のヒンジカバーを別の色に交換するサービスを提供予定だ。閉じたときだけに見える背面のワンポイントを自分好みの色に変えられるなんて、ちょっとうれしいサービスではないだろうか。
なお今年2月に発表した縦に折りたためるスマホ「Galaxy Z Flip」同様、Galaxy Z Fold2もファッションブランド「Thom Browne」とのコラボモデルが用意される。ただし価格は3299ドル(約35万円)とかなり高価だ。とはいえトリコロールをまとった上品なデザインは他のスマホにはない大きな魅力が感じられる。お揃いカラーのヘッドセット(Galaxy Buds Live)やスマートウォッチ(Galaxy Watch3)も付属する。世界限定5000台なので入手するのも難しそうだ。
90度開いて使えるFlex mode
スマホの使い方が大きく変わる
Galaxy Z Fold2は開いた状態でアプリをより活用できるFlex modeを備えている。これは1つのアプリをディスプレイの左右(または上下)に分けて表示するモードだ。たとえばメッセージアプリなら、ディスプレイの左側にメッセージの一覧を表示し、右側には選んだメッセージの内容を表示できる。カメラなら上に撮影中のプレビュー、下にはシャッターボタンなどを配置。ギャラリーなら上に写真、下に写真の詳細を表示する、といった具合だ。
Flex modeは机の上にGalaxy Z Fold2を置いてディスプレイを90度あるいは115度に開いて使うときも便利だろう。グーグルDuoなら上側に会話中のメンバー、下側にコントローらーを表示できるため、ノートPC同様に細かい操作が可能だ。Flex modeは他のスマホやタブレットにはできない、折り畳みスマホならではの機能なのである。
Galaxy Z Fold2の日本での発売はまだ未定だが、昨年KDDIから初代Galaxy Foldが出てきたことを考えると、限定数だろうが日本にも投入されることは間違いないだろう。初代モデルが出てきたころは「いったいどう使うのだろう?」「20万円もするスマホはいるだろうか?」と、折り畳みスマホに向ける世間の関心はいま一つだった。しかしGalaxy Foldを買って使っているユーザーたちからは、いつでも大きい画面が使えることや、複数のアプリが使える利便性から「次に買い替える時も折り畳みスマホにしたい」という声が聞かれるようだ。高価な製品だけに、アクティブに使うユーザーも多いのだろう。日本発売のアナウンスを早く聞きたいものだ。
サムスンの動きに対し、すでに折り畳みスマホを出している他の2社は今のところ目立った動きはしていない。折り畳みディスプレイの新興メーカーであるRoyoleは今年3月に隙間なく閉じることのできる「FlexPai 2」を発表したが、まだ詳細スペックはあきらかになっておらず製品化の話も聞こえてこない。またファーウェイは次の折り畳みスマホでサムスンと同じ「内折り式」を採用するとみられているが、アメリカの経済制裁を受けている状況下では、飛び道具ともいえる新しいアイディアの製品は出しにくい。しばらくはサムスンがリーダーとして市場をけん引していきそうだ。
一方、縦に折りたたむスマホはサムスンが5Gに対応した「Galaxy Z Filp 5G」を発売、モトローラも「razr」の5G版を投入する。そしてOPPOが縦折りスマホの特許を出すなど、こちらの動きも活発になっている。「畳めるスマホ」は夢の製品ではなく、少しずつ製品が増え数年内には当たり前のものになっているだろう。そんな未来を先取りしたい人は、Galaxy Z Fold2をぜひ入手して使ってほしい。
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000129326/
- Source:デジモノステーション
- Author:山根康宏
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