欲しいのは、価格満足度の高いグッドルッキングモデル


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No.1
MAURICE LACROIX
AIKON AUTOMATIC

ルックスのいい時計は数多く存在するが、高級感を備えつつ手の届きやすい価格を実現した時計となるとその数は限られてくる。モーリス・ラクロアの「アイコン」はそれらを備え、高い人気を獲得している。

DKSHジャパン
03-5441-4515
https://www.mauricelacroix.com/jp_ja/

“知覚価値”の徹底によって実現した
エレガントかつ価格満足度の高いタイムピース

2016年に誕生したモーリス・ラクロアの「アイコン」は、1990年代に製造された同社の時計「カリプソ」に着想を得てデザインされたコレクション。

そもそも「カリプソ」は、この時代のモーリス・ラクロアにおけるアイコニックなモデルだった。ベゼルに独創的なアームの意匠を施し、ケースはブレスレットと一体化したエレガントなデザインを採用。そのうえ購入しやすい価格に抑えられていたというのだから、当時、大ヒットしたというのもうなずける話だ。2003年に「カリプソ」は惜しまれつつも市場から姿を消してしまうが、それから10年以上の時を経て、この傑作モデルをモチーフとする全く新しい時計が誕生した。それが「アイコン」だ。

アームが付いたベゼルや、ケースとブレスレットが一体化したデザインといった特徴的なディテールは「カリプソ」を踏襲しているものの、ルックスは一変してスポーティーな雰囲気に。この数年のトレンドでもある“ラグジュアリースポーツウォッチ”を思わせる、優雅でありながらもアクティブな印象を与える佇まいに生まれ変わったのだ。

2016年のデビュー当初はクォーツモデルのみだったが、これによって価格をぐっと抑え、さらには42㎜の三針モデルをはじめ、クロノグラフやレディースモデルをラインナップすることで、幅広い層へのアピールを試みた。そして2年後の2018年、満を持して自動巻きモデルをリリース。税抜20万円アンダーという価格設定も話題となり、一躍「アイコン」は世界的なヒットを放つモデルとなったのだ。

昨年、筆者はこのモデルが好セールスを記録した理由をブランドのマネージング・ダイレクターであるステファン・ワザー氏に尋ねた。そのときワザー氏から返ってきたのは次のような回答だ。

「要因は、モーリス・ラクロアのフィロソフィーである“知覚価値”を徹底したことです」

“知覚価値”とは、価格以上の質感と見栄えの良さを兼ね備え、手にすることでその時計の良さを実感できるものだという。一例としてワザー氏が挙げたのが、ケースの仕上げ。ポリッシュとサテン仕上げを細かく使い分けるなど、ディテールにこだわることが重要なのだという。実際に「アイコン」を細かく観察してみると、メインはサテン仕上げが施されているものの、アームの意匠やベゼル側面、ケースのエッジなどはポリッシュ仕上げになっていることが分かる。こうした仕上げの使い分けが立体的なデザインを生み、所有する満足感を与えてくれるのだ。

2018年にリリースされた「アイコン オートマティック」は今や多彩なバリエーションを展開しているが、なかでも手首に収まりやすく、マルチに使えるのは39㎜の三針モデルだろう。機会があれば時計店で手に取ってみてほしい。リーズナブルながら高いクオリティに必ずや魅了されるはずだ。

  • モーリス・ラクロア
    アイコン オートマティック 39㎜
    21万4500円
    やや小ぶりなモデルは、腕の細い日本人の要望に応えて2019年に誕生。スモールサイズながらも特徴的な意匠はメインの42㎜モデルを踏襲している。自動巻き。SSケース、200m防水、ケース径39㎜。
クル・ド・パリ装飾が施されたブルーダイアルが上品かつスポーティーな雰囲気に。
ベゼルに施されたアームの意匠は「カリプソ」を継承した「アイコン」の特徴的ディテール。
サテンとポリッシュ仕上げを細かく組み合わせることで、立体感のあるデザインを実現している。

 

No.2
IKEPOD
Megapod

かつて機械式時計の世界に一大センセーションを巻き起こしたアイクポッド。2000年代の中盤以降、ブランドは低迷を続け、やがて活動を休止してしまったが、2019年に突如として復活を遂げた。

大沢商会
03-3527-2682
https://www.josawa-watch.com/ikepod.html

1990年代に一世を風靡した
伝説のデザインウォッチがついに復活!

クォーツウォッチの台頭を経て、1990年代は機械式時計が復活し、再び注目を集め始めていた時代。同じ時期、ブームとなっていたのがG-SHOCKやスウォッチで、リーズナブルかつデザインバリエーション豊富な時計が出現したことにより、ファッションとして気軽に時計を着けることは瞬く間に浸透した。この時代、誰もが知っている時計ブランドは、ロレックスやオメガといったところだろう。そんななかで登場したアイクポッドは、デザイン感度の高い一部の人々の絶大な支持を得た。「機械式時計には詳しくないけど、アイクポッドは知ってる」なんて人もいるのではないか。

アイクポッドは1994年にドイツの実業家であるオリバー・アイク氏と、デザイナーのマーク・ニューソン氏が共同で起ち上げた時計ブランド。そう。マーク・ニューソンといえば、1980年代に日本の家具ブランドIDEEに参画して「エンブリオチェア」を発表し、2000年代に入ると「Apple Watch」にも携わったことで知られるプロダクトデザイナーだ。そんな彼が手がけたのは、流線型を描いた直径46㎜もの大型腕時計。当時の機械式時計とは一線を画す大胆なデザインに、エッジな人々が飛びついたのもうなずける。

やがてブランドは休眠状態となるが、2019年、時計業界や宝飾業界でキャリアを積んだクリスチャン-ルイ・コル氏によって突如復活を遂げたのだ。

復活第1弾コレクションの「デュオポッド」「クロノポッド」は、ブランドのアイコンでもある流線型のケースはそのままに、ダイアルと針のデザインを一新。オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク オフショア」を手がけたエマニュエル・ギョエ氏がデザインを担当し、さらにクォーツムーブメントを搭載して価格を10万円以下に抑えるなど、サプライズな話題を引っ提げてのデビューとなった。

そして今年、満を持して登場したのが「メガポッド」だ。イヴ・サンローランやカルティエなどで研鑽を積んだアレキサンドル・ペラルディ氏がダイアルをデザインしたこのモデルもまた、アイクポッドらしさに満ちあふれており、間違いなくデザインプロダクトを好む人々の琴線を刺激する仕上がり。しかも、自動巻きムーブメントを搭載して税別14万円台というプライスを実現しているのだから、当時「アイクポッドなんて高すぎて手が出せん」と嘆いていた(筆者のような)人々が容易に購入できるようになったのは、なんともうれしい話ではないか!

かつて機械式時計の世界に一大センセーションを巻き起こしたアイクポッド。2000年代の中盤以降、ブランドは低迷を続け、やがて活動を休止してしまったが、2019年に突如として復活を遂げた。

  • アイクポッド
    メガポッド 001 Dieter
    15万9500円
    ケースはオリジナルのデザインを継承しつつも、メンテナンス性を高めたデザインに改良。鮮やかなブルーのダイアルにオレンジの秒針が映える。自動巻き。SSケース、5気圧防水、ケース径46㎜。
ケース径は46㎜と大ぶりだが、マーク・ニューソンによって描かれた曲線のフォルムが時計をスマートに見せてくれる。そのサイズからは考えられないほど装着感も良好だ。
シースルーバックからは日本のミヨタ製ムーブメントが確認できる。
オリジナルにオマージュを捧げたというダイアルデザイン。配色や質感が実に美しい。


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