多くの人にとって、2020年がVR元年となるでしょう。そう言い切れるほど、Oculus Quest 2のデキがいい。スマホやPCとリンクさせることなく単体で動かせるVRヘッドセットとして、ハイレベルなバーチャル体験ができるデバイスに仕上がっています。ビートセイバーでダイエットして、Google Earth VRで世界旅行におもむき、VRChatでメタバースにログイン。どれもどこでもいくらでも楽しめます。Oculus Quest 2ならね。
Facebook Technologies Oculus Quest 2 3万7100円(64GBモデル)、4万9200円(256GBモデル)
PS5に負けない魅力があるFacebookのハードウェア
新型コロナ禍によるいやーな感じの渦が収まらない今日このごろ。オフタイムにあんなことしたい、こんなとこ行きたいと思っても、ステイホームしたほうがいいんじゃない?という風潮もあって、モチベが湧きにくい。そんな事情もあって、旅行業界と外食産業がキッつい。
反面、業績がグッと伸びているのがゲーム業界です。特に据え置きゲーム機・ゲームコンテンツを作っているメーカーが凄い。たとえば任天堂の2020年4~6月期の連結決算を見ると、営業利益1,447億円(前年同期比427.7%UP)、経常利益1,503億円(同576.2%UP)、最終純利益1,064億円(同541.3%UP)ですよ。パない。
同様にソニーやマイクロソフトも業績を伸ばしています。しかもこの2社は、年末にプレイステーション5、Xbox Series X/Sという新型据え置きゲーム機をリリース。買い控えタイミングだというのに業績を伸ばしていました。新型コロナ禍がはじまってからどれだけ多くの人が、自宅でゲーム三昧をしはじめたのでしょうか。
プレイステーション5の予約抽選倍率は数十倍に、Xbox Series X/Sの予約在庫も完売状態。任天堂Switchもまだまだ品薄入手難が続いている現在。デジタルコンテンツで自宅時間を楽しむという流れは当分止まりそうにありません。
この三者3プラットフォームがシェアのほとんどを握る据え置きゲーム業界に切り込んできているのが、Facebook。厳密には据え置きではなく純粋なゲーム機でもありませんが、ゲーム業界へのインパクトも明らかなVRヘッドセットの新型機「Oculus Quest 2」が発売されました。ソードアート・オンラインやアクセル・ワールドのごとく、3Dで構成されたデジタルワールドにダイブできるVRヘッドセットのベーシックモデルといえる存在です。
安価なVRヘッドセットはスマホを差し込んで360度映像を見るくらいがアソビの限界。高価なVRヘッドセットは高画質でインタラクティブなコンテンツを楽しめますが、高性能PCとの接続が必須。しかしOculus Questシリーズは単体で、外部のセンサーユニットも不要で、VR空間内で遊びまくれるのがいいんですよ。初代機のOculus Questより高性能化されたのも、推しのポイントです。
コイツで楽しむゲームが…いいんですよ。そしてコイツで喋って会話できる場が…またいいのですよ。
身体を使って全身で楽しめるゲームで一汗
リアルなゲーム機としてOculus Quest 2を捉えると、映像美の点ではこれから出てくる次世代機はもちろんのこと、従来の据え置き機にも敵いません。プレイするコンテンツにもよりますが、画質は1~2世代前。プレイステーション3クラスといっていいでしょうか。
ところが没入感の強さは最新のゲーム機と比較しても遜色ないし、これまたコンテンツによりますが凌駕しているところもあります。視界が覆われ余計な情報がカットされ、上下左右前後の視界すべてがゲームの世界であるため、精細感に乏しくても、むしろ解像度が高すぎないからこその”異世界にログインした”感が強烈で、いいんです。
そんなOculus Quest 2のゲームの中で推したいのが、スポーツ系。2つのコントローラを手に持ち、ブンブンと振り回しながら遊ぶコンテンツです。他プラットフォームでも配信されていますが、VRゲームを代表する作品ともいえるビートセイバー(Beat Games)は絶対にプレイするべき。ビートにのって、前方からやってくる箱を2本の剣で切り裂く音楽ゲームで、Wii/Wii Uのように手首だけでプレイできると思いきや、高難易度になるとマジで全身運動。意外にいい汗、かけます。
「リングフィットアドベンチャーほどの運動量がほしい!」という方は、CREED:RISE TO GLORY(Survios)や、The Thrill of the Fight(Sealost Interactive)といったボクシングゲームにチャレンジを。コントローラと設定した範囲内を自由に動くことができる6DoFなVRヘッドセットの特性を生かした作りで、パンチを打つだけではなくスウェイ、ダッキングなど相手のパンチを避ける動きが多く、これまた汗だくに。
VRならではのゲームコンテンツといったら、スターウォーズのダースベイダーと闘うVader Immortal(Disney Electronic Content)や、4人同時協力プレイなソード・オブ・ガルガンチュア(Thirdverse)がオススメ。前者はディズニー映画の1シーンの中に入り込めたかのような感慨深さがありますし、後者はそれこそソードアート・オンラインのパーティプレイをしているかのよう。
まだまだOculus Quest/Oculus Quest 2対応コンテンツの数は少ないのですが、Facebookとしては今後ゲームスタジオやアプリクリエイターをバックアップしていくとのこと。Oculus Quest 2にかける期待度の高さがうかがえます。
コミュニケーションツールとして重視されるはず
ところで近年、ゲームを友達とのチャットスペース、いわばSNSとして利用しているケースが増えてきました。代表的なところではマイクロソフトが買収したマインクラフト(Mojang Studios)、あつまれ どうぶつの森(任天堂)、アップルとの紛争が気になるフォートナイト(Epic Games)もそうですね。ゲーム内のミッションクリアやバトルは二の次で、好きなアバターに好きな衣装を着させて同じワールドに集まり、他愛もないお話で盛り上がる。
いわば、メタバースとしての利用の第一歩です。
1992年にリリースされたSF小説「スノウ・クラッシュ」で、作者であるニール・スティーヴンスンが提唱した概念。オンラインとオフラインの垣根がなくなり、リアルワールドと同じようにバーチャルワールドでも動き回り、社会的・経済的活動ができる概念。オンラインコミュニケーションサービスのセカンドライフ(Linden Lab)や、近年だと映画レディ・プレイヤー1が、今現在想像しうるメタバースの世界を表現していました。
Oculus Quest 2でも、このメタバースの走りとなるかもしれないVRChatで遊べます。世界各国のユーザーが無償で作ったワールドに集まりコミュニケーションを取る。さらには内蔵されているカメラ機能で写真を撮ったり、映画やドラマを作ったり、音楽ライブをする人々も現れてきました。
現状のVRChatは、VRChat内における経済活動はできない仕様となっていますが、Sensorium Galaxy(Sensorium)のように、仮想通貨と組み合わせて金銭のやりとりができるVRサービスが生まれつつあるんですよ、いま。
こういった新たなスペースにログインするためのファストパスとして、単体で動作し、マス向けの価格帯となったOculus Quest 2は注目されています。Oculus Quest 2を提供しているFacebookがメタバースのことを意識していないはずがありません。一部地域のみ公開していたアバター作成サービスを、日本を含めた各国で提供しはじめたのもその一環のはず。
ゲームもいいけど、自宅で最新コンテンツやコミュニティも体験したいとお考えのみなさま。悪いことはいいません。Oculus Quest 2は手に入れるべきデバイスです。
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000130156/
- Source:デジモノステーション
- Author:武者 良太
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