【#家電最前線】
バルミューダがサイクロン式のコードレススティック掃除機「BALMUDA The Cleaner(バルミューダ ザ・クリーナー)」を発表した。11月17日発売で、価格は5万4000円(税別)。約4時間の充電で、標準モードだと約30分、強モードだと約10分の連続運転が可能だ。
今回の注目ポイントはなんといっても、浮いている感覚で掃除できるヘッド部分。ホバークラフトのように進む感覚の斬新なクリーナーが誕生した。
▲バルミューダが2020年11月17日に発売するサイクロン式コードレススティック掃除機「BALMUDA The Cleaner」と、同社代表取締役社長の寺尾玄氏
バルミューダは2010年に扇風機「The GreenFan」を引っさげて空調家電製品ラインアップを広げ、2015年に大ヒットした「BALMUDA The Toaster」から調理家電メーカーとしてもブランドを確立してきたが、今回発売する「BALMUDA The Cleanerによって」、“掃除機カテゴリーを3つめの軸にしていく”と代表取締役社長の寺尾玄氏は語った。
「2021年には2製品、22年には5つまでラインアップを広げて、キッチンや空調のジャンルのようにバルミューダの存在感、我々ならではの価値観を提案できればと思っている」(寺尾社長)
AC(交流)モーターが当たり前だった2010年に、省エネながら高価なDC(直流)モーターを搭載した扇風機「The GreenFan」を大ヒットさせ、2015年には水をスチームにすることで外はカリッ、中はフワッとしたトーストを焼ける「BALMUDA The Toaster」を発売して大ヒットを飛ばした。
それ以外にも数々の注目製品を送り出してきたバルミューダだが、100年以上も前に開発されて機能や性能を向上し続けてきた掃除機カテゴリーに投げかけてきたのは「動かしにくさ」と「取り出しにくさ」の解決だったという。
新しい商品カテゴリーを切り開くに当たって社内から掃除機のリクエストが出てきた時に、寺尾社長は「掃除機よりも、掃除したい時にサッと取り出して掃除して、サッとしまえる(花王の)クイックルワイパーの方が便利だと考えていた」と話し会場の笑いを誘った。
「掃除機が不便な点は主にふたつある。ひとつは前後にしか動かせなくて、人が操作するものとしては圧倒的に可動域が狭い。もうひとつが取り出しにくさだ。わが家では掃除機を出しっぱなしにしない。部屋の中はもちろん、廊下などの共有部にも掃除機を出しておかない。部屋の中に赤や金色、紫など、ある程度インパクトのある機械を置きたくなかった」(寺尾社長)
■縦横斜め、自由自在に動く「ホバーテクノロジー」
「縦横斜め、自由自在に動かせる掃除機」を想像した時に寺尾社長が思い描いたのが、空気を下部に送り出すことで船体を浮かせ、プロペラを使うことで陸上も水上も動き回れる「ホバークラフト」だった。
「ホバークラフトのように少し浮きながら、もしくはすべるように動かせて、かつ部屋の片隅や階段の手前、廊下など生活空間の片隅に置いてあっても自然な美しさのある掃除機があったら、と考えた」(寺尾社長)
そこで誕生したのが、ブラシローラーを2つ内蔵する「デュアルブラシヘッド」と「360°スワイプ構造」、「低重心設計」によって組み合わせた「ホバーテクノロジー」だ。
2本のブラシローラーを前後に配置し、それぞれが前後からのゴミやホコリを内側にかき入れるように回転することで、床面との摩擦抵抗を減らす。さらに左右に偏軸二輪式キャスターを設置することで、前後左右自在に動かせるようになっている。
▲2本のブラシローラーを前後に配置する「デュアルブラシヘッド」
360°スワイプ構造は、360°自在に動く「ユニバーサルジョイント」によってデュアルブラシヘッドと本体をつなぐことで、柔軟に掃除機を動かせる構造だ。それに、本体を下方に配置した低重心設計によって、「この自在な動きが初めて可能になった」という。
▲360°自在に動く「ユニバーサルジョイント」
ヘッドの四隅には「ミニ四駆から着想を得た」(寺尾社長)という「角ローラー」が付いており、壁際を横にスライドするように掃除できる。ハンドルはどの方向から持っても操作しやすいようにスティック形状を採用。スティックの最上部に電源ボタンを搭載しており、ボタンを押すことでオン(標準モード)・オフを切り替えられるほか、運転中に長押しすると強モードに切り替えられるようになっている。
▲ヘッドの四隅に付いている「角ローラー」
▲操作ボタンはハンドルの先端に配置した電源ボタンだけだ
■これまでとは明らかに違う掃除体験
発表会場で実際に「BALMUDA The Cleaner」による掃除を体験してみたが、従来の掃除機とはまるっきり異なる清掃体験が得られるという印象を受けた。
一般的な掃除機はヘッドを前に進ませて、前方からゴミやホコリを吸引するスタイルだ。日立のように後方からも吸引しやすい構造を採用しているメーカーもあるものの、ブラシローラーは基本的に1つで、前方からも後方からも吸い込むスタイルの製品は筆者の知るところではない。
電源オフの状態ではヘッドが重く感じるが、電源をオンにすると確かに摩擦が減り、“浮いているような感覚”とまではいかないものの、片手でスッと前後左右、自由自在に動かせるのを実感できた。
壁際を掃除する場合も、普通の掃除機だとヘッドを前後に動かしながら、少しずつ左か右にずらしていくやり方になるが、BALMUDA The Cleanerだと角ローラーの手助けもあって、スーッと左右に動かして掃除できるのが面白い。
▲ヘッドを左右にスーッと動かせるので、壁際の掃除もしやすい
椅子の脚の周りなども、ハンドルを左右にひねるような動作によってヘッドを回転させられるので、スムーズに掃除することができた。
下重心型の掃除機の場合、手元にモーターやサイクロン機構などがある上重心型と違ってスティック掃除機として使えないモデルも多いが、BALMUDA The Cleanerはハンディタイプとしても使えるようになっている。本体からヘッドとハンドルを取り外し、ハンディ用のハンドルを取り付けるという手間が必要ではあるものの、ハンディ掃除機としてのデザインも違和感がなく仕上がっている。
下重心型は重心が手元から遠いためフロア掃除がしやすい一方で、ハンディとして使えない、使いにくいという難点があった。それをクリアする一つの方法がエレクトロラックスの「エルゴラピード」のように、ハンディタイプの本体を着脱できる「2 in 1」タイプだった。BALMUDA The Cleanerはエルゴラピードほどハンディ掃除機としてサッと使えるというわけではないものの、ハンディ用のハンドルを用意し、ハンディ掃除機としてのデザインもしなやかに仕上がっているところは、バルミューダらしい回答だと感じた。
今回の試用はちょっとした疑似ゴミをまいての清掃体験だったため、BALMUDA The Cleanerの本当の清掃性能がどのくらいなのかを実体験するまでには至らなかった。しかし片手で動かしてみたり、ほうきやモップを持つように両手で動かしたりと、自分の使いやすい使い方で操作ができること、さらにそのユニークな動きは、ほかの掃除機では得られない清掃体験だったことは間違いない。
デザインもミニマルで、おしゃれな空間でもそうでない家でも、どこでもマッチしそうだ。BALMUDA Store 松屋銀座や主要家電量販店、百貨店、インテリアショップなどで10月15日から予約受け付けを開始するとのことなので、興味がある方はぜひ一度見て触ってみるといいだろう。
<取材・文/安蔵靖志>
安蔵靖志|IT・家電ジャーナリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー、スマートマスター。AllAbout家電ガイド。ITや家電に関する記事執筆のほか、家電の専門家としてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。Facebookはこちら
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- Original:https://www.goodspress.jp/news/329642/
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