マイナーメーカーのやりすぎ生き残り策 5Gのタフネススマホは日本だったらワークマンで売れ!

世界のスマホ市場は大手メーカーの寡占化が進み、2番手、3番手メーカーが生き残るのは難しい時代になりつつある。マイナーメーカーは大手メーカーがやらない製品に注力する例が増えている。落としても壊れない強固なボディーに身をまとったタフネススマホはその1例だ。タフネススマホを次々と送り出すUlefoneの最新製品を見てみよう。

1万円でも壊れない
格安スマホもタフ仕様に

タフボディーのスマホといえば、ショベルカーなど重機で有名な「CAT」のブランドを冠したスマホが日本でも売られている。しかし金属フレームに防水防塵性能を加え、さらに低温や高温でも使えるなどあらゆる現場で耐えうる品質とすることから価格は高め。ちょっと前に発売された「CAT S41」というモデルでも5万円前後、サーマルカメラも搭載した最新の「CAT S62 Pro」は海外で8万円程度で販売されている。プロ仕様のスマホは一般人が気軽に手を出せる製品ではないのだ。

しかしUlefoneは同等のハードな性能を持ちながら、2万円程度のタフネススマホを出している。アウトドアで使いたいなんて人でも買える価格が大きな魅力だ。タフネススマホは大手メーカーならサムスンが今でもわずかに製品を出している程度。ニッチな製品ではあるものの、サムスンがまだ手掛けているということは確実にユーザーがいる製品なのだ。Ulefoneをはじめ数社がその小さなニッチ市場向けにタフネススマホを多数展開している。

「Ulefone Armor X6」は99ドルという低価格が魅力のタフネススマホ。ディスプレイは5インチと小さく、手のひらにすっぽりと納まりそうな大きさだ。グローブモードを備えているので手袋をしていても画面タッチ操作ができる。一般的なスマホの防水防塵等級であるIP68を超える、IP69Kに対応。これは80度のお湯を指定のノズルから噴出しても浸水しない性能だ。日本ではマナー違反になるが、海外なら温水プールや温泉にArmor X6を持ち込んで使うこともできそうだ。

1万円で買えるタフネススマホ、Armor X6

Armor 6Xのタフな仕様をもう少し見てみよう。アメリカ陸軍の調達規格、MIL-STD-810Gに対応し、90%の高湿度下でも利用できる。本体は側面や角も硬質樹脂に覆われており1.2メートルの高さから落としても壊れない。1.5メートルの水中で30分使用が可能、1ミリのコンクリート片が舞う環境下でも24時間本体は守られる。砂漠の旅行の時にもつかえるかもしれない。

この価格で十分タフな性能を誇る

とはいえ1万円のスマホなんて、日本でもかなり低スペックな製品しか残っていない。Armor X6もカメラは800万画素1つのみ。ちょっとしたスナップ写真を撮る程度の性能だ。ただし水中カメラモードを搭載しているので、水の中でもクリアな写真を撮ることができるという。海水への耐性は不明だが、マリンダイビング用にArmor X6をサブスマホとして持っていくのもいいかもしれない。1万円ならこわれたりなくしてしまっても大丈夫だろう。

水中撮影モードは便利な機能

ただし通信回線は3Gのみに対応。日本でもこれから5Gが始まろうというのに、4Gも搭載していないというのはちょっと不満だ。まあArmor X6をメインのスマホにしてこれ1台だけで日常生活を送るのは無理がある。iPhoneやGalaxyなどのスマホを持っている人が、アウトドアや旅行用、あるいは現場仕事用などサブ用途にArmor X6を買うべきなのだ。日本でもアウトドアショップやワークマンなどで売り出したら意外と受けるかもしれない。

大手メーカーに挑む最新技術
5G対応のタフスマホも投入

Ulefoneのスマホはこれ以外にも4Gに対応したタフネススマホが多数ある。だが販路は通販が一般的で、名前の知られていないメーカーだけに「本当に水につけても大丈夫なのか?」という心配が常につきまとう。海外では中国のノーブランドメーカーのタフスマホも流通しているが、中にはカタログスペックは嘘だらけで、ボディーがそれっぽく強そうに見えるスマホなんてのもよく見かける。Ulefoneも名前が通っていないだけに、そんな製品と同類とみられてしまうことも多い。

しかしUlefoneのブランド力を一気に高める製品がいよいよ登場する。5Gに対応した「Ulefone Armor 8 5G」が今年中に発売される予定なのだ。大手メーカーもようやく本腰を入れ始めた5Gスマホをいち早く市場に出せば、Ulefoneの名前もより多くの消費者に知ってもらうことができるだろう。何よりも通信キャリアは1種類でも多くの5Gスマホを用意し、ユーザーに4Gから5Gへの乗り換えを促したい。各社似たようなスマホが多い中で、Ulefoneのタフネススマホは5Gスマホ市場の中で唯一無二のデザインをした差別化できる製品でもあるのだ。

5Gに対応するUlefone Armor 8 5G

ディスプレイは6.1インチ、カメラは6400万画素を含むトリプル仕上げ、5080mAhのバッテリーを搭載と十分なスペックを持つ。もちろんIP68/IP68KとMIL-STD-810Gに対応しタフ仕様の面でも問題は無い。5Gスマホをこれから選ぼうと思う人にとって選択肢の一つに入れてもいいだろう。なおUlefoneはiPhone 11の4G回線とUlefone Armor 8 5Gの5G回線を使った速度比較の動画をYouTubeで公開している。すでに開発は終わっており、あとは実際に発売するタイミングをうかがっているようだ。価格は999.99ドル、Ulefoneのスマホにしては高いが、5G対応スマホとして考えれば納得できるレベルだろう。

タフな5Gスマホは世界でこれだけだ

ネタ勝負から正統派へ
Ulefoneの最後の挑戦

Ulefoneはコロナ時代に対応したスマホも販売している。「Ulefone Armor 9」はサーマルイメージングで有名なFILR社のカメラを搭載。カメラを向けた先の温度を瞬時に測定することができるのだ。本来は建築物の内部検査や車のエンジン状態を見るといった用途に使われるが、人間の体温測定にもある程度使うことができる。日々自分の体温を検温しておけば、熱があるなと思ったときに普段より実際に高いかどうかを知ることもできるだろう。また店舗などで来客用の検温用にも一時的に使えそうだ。

サーマルイメージングを搭載するArmor 9

Armor 9には外付けのチューブ式カメラも装着可能で、配管の中や家の中の隙間の奥といった部分にカメラを差し込み撮影・観察することもできる。この機能も現場向けだが一般消費者でもあれば使う機会が意外とあるかもしれない。サーマルカメラにチューブ式カメラというArmor 9は、かなり特殊というかマニアックな用途向けのスマホなのだ。Ulefoneもユーザーニーズより「こんなものを出して驚かせてやろう」というウケ狙いも兼ねてこんなスマホを送り出したに違いない。

サーマルカメラで様々な物の温度を測れる。体温測定もできるだろう

カメラの高画質化やディスプレイの高精細化、バッテリー充電時間の短縮など、スマホの進化は大手メーカーが次々と新しい技術を開発しており、スマホはどんどん使いやすくなっている。開けばタブレットになる折りたたみスマホはスマホの画面サイズの限界を打ち破ってくれたし、3万円程度のスマホでも印刷に耐えうる写真を撮影できるようになった。そして朝寝坊しても家を出る前、わずか13分でスマホを満充電できる技術も登場している。

このようにスマホの技術進化は1日たりとも止まることは無い。こうなると「汎用の部品を組み立ててスマホを作る」だけのメーカーは価格しか戦える土俵が無く、どんどん市場でのシェアを失っていく。なぜなら大手メーカーは最新技術を搭載したハイエンドモデルだけではなく、スペックを落とした格安スマホも大量生産できるからだ。無名メーカーのスマホよりも、シャオミの格安スマホのほうが安いなんてことも当たり前になった。

Ulefoneもやれるだけのことはほぼやりつくした感がある

タフネススマホでがんばってきたUlefoneも、それだけではもはや生き残りは難しい。5G対応スマホの投入は自社の技術力が試されるが、各国の5Gネットワークで安定して利用できるのであれば「唯一のタフネス5Gスマホ」として一気にメジャーの仲間入りを果たせるかもしれない。日本市場への正式投入ももちろん考えられるだろう。知る人ぞ知るニッチなメーカーから、誰もが知るブランドに変身できるか。5Gモデルの投入はUlefoneの今後のスマホビジネスの将来を左右する、大きな意義を持つ製品なのだ。

 

 


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