南洋理工大学の研究チームは、損傷したときに痛みを認識できるロボットシステムを開発した。同システムを利用すれば、人間の介入を必要とせずに、損傷を修復するロボットが開発可能だ。
同システムには、AI搭載のセンサーノードがあり、物理的に加えられた圧力を「痛み」として認識。これに応じた対応を学習する。
生物が備えた神経系の機能を模倣した、画期的なアプローチについて見ていこう。
AIが分散した小さな脳として機能
現在、ロボットはセンサーネットワークを使用して、環境から情報を取得している。例えば作業ロボットは、カメラを利用してアームを誘導し、モノを持ち上げるときには圧力センサーなどを利用するだろう。
センサーは通常、CPUにデータを送信して処理する。研究チームは、このデータ送信プロセスによって発生する遅延や、膨大な配線に課題を感じたようだ。損傷を検知して修理するまでに時間的ブランクが発生すれば、その間作業をストップさせることになり、とりわけ災害救助などの場面では致命的になる。
研究チームによるアプローチでは、AIをセンサーネットワークに組み込むことで、分散した小さな脳のように機能する。
自己修復イオンゲル技術と組み合わせ
同システムを自己修復イオンゲル技術と組み合わせることで、ロボットが損傷した場合でも、自律的に機能を回復させられるとのこと。
研究チームは、記憶と情報処理が可能で、痛みの受容体と神経として機能するメモリトランジスタを制作。痛みと対応の学習はローカルで行われ、配線と応答時間が従来のロボットと比較して5~10倍短縮される。
テストでは、ロボットがリアルタイムでの対応を学習し、損傷した後も機能することが示された。
最小限の配線で、情報を効率的に処理できるシステムは、工業用、災害救助用の次世代ロボット開発に活かされそうだ。
- Original:https://techable.jp/archives/140188
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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