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空前のサウナブームだ。きっかけは漫画のタナカカツキ著「サ道」であることは疑いないだろう。そして去年テレビ東京で深夜ドラマ化されとどめを刺した感じだろうか。
僕もジムのサウナとかに入ったことはあった。汗をかくのが良いんだろう、くらいのぼんやりした知識で。しかし今年の念頭、前述のドラマ「サ道」のプロデューサーである五箇公貴氏(現在文春オンラインにて日本全国のサウナ関係者に肉薄する「サウナ人生、波乱万蒸。」を連載中。要チェックである)に誘われ訪れた上野の「サウナ&カプセルホテル北欧」でいきなり目覚めてしまった。つまり五箇氏の導きでととのってしまったのだ。
高温のサウナに数分間。出て汗を流して、水風呂にどぼん。そのあと露天風呂の横で外気浴。これを3回繰り返す。特に外気欲が気持ち良い。上野のビルに囲まれ、吹く風に身を任せる。真冬だったのに寒いどころかほんのり暖かい。今まで味わったことのないような多幸感に包まれた僕は、上野の街全体が天国に見えた。汚い婆さんが呼び込みをやっている確実に美味しくなさそうな焼肉屋に入ってもそこで満足できる自信さえ持っていた。ととのうって凄い。以来、サウナに通い師匠の教え通りの入浴法を守っている。
都内近郊の話題のサウナには大体行ってみたが、ペンギンの子供のように最初に体験した「北欧」以上のサウナには未だ出会っていない。サウナ〜水風呂〜外気浴の動線の完璧さ。水風呂の温度の適正さ。セルフロウリュでしっかり温まる楽しさ。そして何よりカレーがうまい。そう、「北欧」のカレーはあらゆるサウナの食事の中で他を圧倒する魅力を放つ。もうこの後何も食べられなくなっても良い! サウナの後にはここのカレーをたらふく食べたい! そんな衝動に駆られる極上のカレー。見た目はいわゆる普通の家カレー。しかし一口食べてみれば分かる。舌に金字塔が立つ。スパイスがちゃんと効いているのだ。香りと味の複雑な構造。聞けば数種類のスパイスをちゃんと炒めるところから作っているそうだ。最近ようやく東京でも多くの店が手掛けるようになった関西発祥のいわゆるスパイスカレー。一時期は熱中して通ったものだが、最近は食傷気味で大阪でもオーセンティックな「インデアンカレー」に行くようになった。そういう気持ちにもぴったりフィットする。これみよがしではないがしっかりしたスパイス感。最高だ。
レシピを知りたくもあるが、これはサウナの後に「北欧」で食べることに意味がある。上野はちょっと遠くて頻繁にはいけないが月に一度の自分へのご褒美に位置付けているサウナとカレーなのだ。
text : 梶原由景
幅広い業界にクライアントを持つクリエイティブ・コンサルティングファームLOWERCASE代表。デジタルメディア『Ring of Colour』などでオリジナルな情報を発信中。
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000130849/
- Source:デジモノステーション
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