スウェーデンのテック系メディアMacWorldが、Apple Watch Series 6の血中酸素ウェルネスを使った血中酸素濃度の測定値と、医療用パルスオキシメーターの測定値とを比較報告しています。同メディアは、計測方式の違いにも言及しています。
医療機器ではないのを前提に評価
MacWorldは、血中酸素ウェルネスは心電図アプリのように医療機器として承認されたものではないことを前提に比較テストを実施しました。同メディアは、パルスオキシメーターと、Apple Watch Series 6の血中酸素ウェルネスの測定原理の違いにも言及しています。
パルスオキシメーターは、指先にセンサーを装着して透過させ、複数の波長の光の吸収度によって血中酸素飽和度を測定します。この方法は、太い骨のある手首で行うことは出来ません。
代わりに、Apple Watch Series 6では、センサーから照射した光が腕の中でどのように反射されるかを測定し、血中酸素濃度を算出しているとのことです。MacWorldは、この方式は信頼性の低い技術だと述べています。
また、パルスオキシメーターと比較して測定結果が表示されるまで15秒もかかり、測定不能になったら最初からやり直す必要がある点も、面倒な点だと同メディアは記しています。
救急隊員が個人的にテスト
救急隊員のリッチ・モーガル氏と彼の妻が、Apple Watch Series 6を購入・使用し、平常時、トレーニング中、標高の高い場所などで、パルスオキシメーターとの比較テストを行いました。
Apple Watch Series 6の測定結果
モーガル氏は血中酸素ウェルネスの測定結果について、「ほとんどの測定値は95〜98、一部は92〜93でした。81以下など極端に低い値のほとんどは日中に計測されたもので、ブレスレットが正確に装着されていなかった可能性があります」と報告しています。
モーガル氏はまた、「私の測定結果は自動測定で行われたもので、比較的正確な値を示しましたが、妻の結果はかなり不均一でしたので、信頼できる測定結果が得られると期待しない方が良い」と述べています。
血中酸素ウェルネスの使用目的は、より良い生活のため
Apple Watch Series 6に搭載された血中酸素ウェルネスの使用目的は「ウェルネス、楽しみや、より良い生活のため」であることから、医療機器としての認可を米国食品医薬品局(FDA)から受ける必要がなかったとThe Vergeが報じていました。
筆者が行った比較テストでも、パルスオキシメーターでは97%〜99%と表示されたところ、血中酸素ウェルネスの測定結果は89%以下も記録されるなど、大きな誤差がありました。モーガル氏は、誤差が生じる原因を「ブレスレットが正確に装着されていなかったから」と推察していますが、筆者が比較テストで、ベルトの装着具合を「ふつう、キツめ、ゆるめ」と変えても、誤差の生じ方に変化は認められませんでした。
一般財団法人 日本呼吸器学会は血中酸素飽和度に関し、「一般的に96%〜99%が標準時の値で、90%以下の場合は十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態(呼吸不全)になっている可能性がある」と記しています。
The Vergeの指摘通り、血中酸素ウェルネスは「診断に用いられることを意図していない」と理解して、参考程度にするのが良さそうです。
Source:MacWorld(FROM IDG)
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※Apple Watchの血中酸素ウェルネスアプリの測定値は、自己診断または医師との相談を含む医療での使用を目的とするものではなく、一般的なフィットネスとウェルネスのみを目的としています。
- Original:https://iphone-mania.jp/news-327917/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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