オーストリアの最高裁判所は、長く続いていたFacebook(フェイスブック)の中傷記事削除訴訟の上告を棄却した。差止命令が有効な限り、同社は全世界の政治家に関する中傷コメントを削除しなくてはならない。
TechCrunchではフェイスブックに裁定に関するコメントを求めている。
2016年、緑の党の政治家であるEva Glawischnig(エヴァ・グラウィッシュニヒ)氏は、同氏を「ひどい裏切り者」「堕落したあばずれ」「ファシスト党」の一員などと呼ぶ罵倒発言の削除をフェイスブックが拒否したため、中傷コメントの削除を要求する訴訟(未訳記事)を起こした。
グラウィッシュニヒ氏は2016年の仮差し止め命令によって、中傷発言の削除を2017年に勝ち取った(未訳記事)が、その後も法廷闘争を続け、同様の投稿の削除を全世界に拡大するよう要求した。
議論は欧州司法裁判所に持ち込まれた(未訳記事)。そして2019年(未訳記事)に下された重要な判決で欧州司法裁判所は、同プラットフォームに対して全世界で違法な発言を削除するよう命令することは可能であり、それはソーシャルメディアが「一般的コンテンツ監視義務」を適用されないとする欧州法に抵触しないという裁定を下した。この日のオーストリア最高裁判所の判決はこの裁定の当然の結果といえる。
オーストリアのDer Standard紙は、裁判所はこの差止命令が全世界に適用され、元の中傷発言と同一の投稿だけでなく本質的に同じ意味を持つものも対象となることを確認したと報じている。
同紙によるとオーストリア裁判所は、EU加盟国および民事裁判所は「特定の状況」、たとえばユーザーコンテンツが違法であること、およびコンテンツに関する「具体的情報」を把握した場合、違法と判断されたコンテンツが後にネットワークの他のユーザーによって複製、共有されること防ぎ、将来の違反行為を予防する包括的目標のために、フェイスブックなどのプラットフォームに対してコンテンツの監視を要求することは可能であると主張している。
本訴訟は、オンライン発言の制限に関する重要な意味合いをもっている。
地方議員もデジタル責任規則の改訂を進めている。欧州委員会の議員らによると、彼らはプラットフォームに対して、自分たちが囲い込み収益化しているコンテンツにもっと責任を持たせたいと考えている。オンラインヘイトスピーチやテロリストのコンテンツ、対立を招く誤情報などの影響についての懸念が考えを後押ししている。
加盟国がプラットフォームに対して一般的コンテンツ監視義務を課すことを禁止する長年続くEU法は、プラットフォームが発言の検閲を強制されることについて制限を設けている。しかし欧州司法裁判所の裁定は、違法と判断された発言に対する監視の可能性を開くものであり、その結果、委員会が来月初めに草案を出す予定のデジタルサービス法の内容に影響を与える可能性もある。
2019年の欧州司法裁判所の裁定に対してフェイスブックは、「これはインターネット企業に対してコンテンツを予防的に監視し、違法と判断されたコンテンツと『同等』であるかどうか解釈する義務を課すことを可能にするものです」と主張した。
「これを正しく行うためには、裁判所は『同一』および『同等』が実際何を意味するのかを極めて明確に定義する必要があります。我々は裁判所が相応の慎重なアプローチをとり、表現の自由に萎縮効果を与えずにすむことを願っています」と同社は付け加えた。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook
画像クレジット:TechCrunch
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/11/13/2020-11-12-facebook-loses-final-appeal-in-defamation-takedown-case-must-remove-same-and-similar-hate-posts-globally/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Natasha Lomas
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