使える上に趣味性も抜群!ホンダ「CT125ハンターカブ」にはイジる楽しさもあり

1981年登場の「CT110」、通称“ハンターカブ”を現代に甦らせたとして、登場以来、高い人気を得ているホンダ「CT125ハンターカブ」。

遊び心と優れた実用性を兼備したシティコミューターを、今回、さまざまなシーンで体験。その魅力をご紹介します。

■ハンターカブ独特の存在感がいい!

やぶからぼうになんですが、“今、買える最高の趣味バイク”の1台が、ホンダのCT125ハンターカブではないでしょうか。

「いやいや、ベーシックな『スーパーカブ110』を使い倒してこそ本当のバイク趣味というもの」なんて意見も拝聴に値しますが、それはともかく、125ccエンジンを積んだオンにもオフにも重宝する“原付二種”クラスにして、見ても乗っても楽しい使えるアクティブギア。それが新しいCT125ハンターカブなのです。

そもそもハンターカブというバイクは、1960年代にアメリカのユーザーたちがピックアップトラックに自分のカブを積み、クルマで行けない場所にまでアシを延ばすために活用したのが始まりなんだとか。時は下って2019年。21世紀のハンターカブが東京モーターショーでお披露目され、翌2020年に我が国でデビュー。そして北米でも「トレール125」として販売が開始されました。

カブシリーズをベースにオフロードテイストを強めた原ニモデルといえば、すでにスーパーカブ110を基にした「クロスカブ110」があって、価格は34万1000円。今回紹介する新しいCT125ハンターカブは44万円です。排気量が110ccから125ccにアップしているとはいえ、「約10万円の価格差はどうなのよ?」と思う人がいるかもしれません。ワタシは思いました。が、CT125ハンターカブの実車を前にすると、「なるほど~」と納得させるものがあるんですね。独特の存在感があって、たたずまいがいい。

トレードマークであるアップタイプのマフラーを始め、無骨なフロントフェンダー、頑強な作りの荷台、エンジンを守るアンダーガードなどでタフな機能性をアピール。

その一方、ヘッドライトやメーターを、イメージを崩さない丸形にデザインしながらLEDや液晶画面を採用して現代風としている点も見逃せない。1980年代のCT110を意識した前後の四角いウインカーもLEDタイプです。

クロスカブ110のポップなカジュアルさもいいけれど、ハンターカブはグッと大人な雰囲気になりました。全体の質感が高い上に、同車を相棒にしたアウトドアシーンが容易に想像でき、すぐにでも出掛けたくなります!

■タフな走りに対応するための機能も搭載

さっそくCT125ハンターカブにまたがってみると、シートはやや高め。兄弟車である「スーパーカブC125」のシート高が780mmのところ、ハンターカブは800mmになっています。ハンドルグリップの位置も高いので、走り始めると自然と胸を張ったアップライトな姿勢になり、いかにも“見晴らしがいい”感じ。それでいてフロントフォークがわずかに寝かされホイールベースが延びていることもあって、走行時の安定感が高い。

上げられたのは、もちろんシート位置だけでなく、地上からのクリアランスも40mmアップの165mmに。未舗装路を行く時に頼もしいスペックです。ちなみに、スタイル上では排気系のアップマフラーが目につきますが、吸気系にも配慮され、荷台付近に空気の取り入れ口を設けた“ハイマウント吸気ダクト”が採用されました。実際に使うかどうかは別にして、CT125ハンターカブは一定の渡河能力を備えているのです。

ハンターカブの使われ方を考慮して強化されたバックボーンフレームに搭載されるのは、穏やかなパルス感が印象的な空冷単気筒エンジン。67.2km/L(カタログ記載のWMTCモード値)という驚異的な燃費を誇る上、タンク容量がスーパーカブC125の3.7Lから5.3Lに拡大されているのも、ツーリング時に心強い。124ccの排気量から8.8馬力/7000回転の最高出力と1.1kgf-m/4500回転の最大トルクを発生。クロスカブ110と比較するとトルクが太く、14kg重い120kgのボディを過不足なく運びます。アクティブなイメージが強いハンターカブですが、そのライドフィールは意外と落ち着いたものなのです。

いわずもがなですが、ギヤボックスはお馴染みのリターン式4速MT。発進用の自動遠心クラッチとシフトに用いる多板クラッチを組み合わせた一種のセミATで、前後に動くシーソー状になったシフトペダルを踏むだけでギヤを変えられます。つま先側がアップ、カカト側がダウンですね。停車時にはロータリー機構が有効になるので、トップギヤからそのまま前に踏み込んでいけば、ニュートラル、そして1速に戻ります。便利。

細かいことですが、ハンターカブではドリブン側(リアスプロケット)の歯数をスーパーカブC125より増やすことで、走りの力強さを増しています。足場が悪い場所を慎重に行きたい時にもこれはありがたい。

■にわかに気づかされるスポーティな一面

CT125ハンターカブは原ニなので、法規上、高速道路を使えません。長距離を一気に稼ぐような走りはできないけれど、それを補って余りあるのが下道を行くファン・トゥ・ライド。いわば“と金の遅早”的な良さがある…だけじゃない。オンロードでは出足が良くて、加速も想像以上。例えば、カーブの手前などで意識的にシフトダウンして(自分の中で)アグレッシブに攻めると、にわかにハンターカブのスポーティな一面に気づかされます。

インジェクション仕様のシングルカムユニットは、スムーズな回転に加え小気味いいスロットルレスポンスを併せ持つので、メリハリをつけたライディングも楽しめます。ブレーキは前後ともディスク化され(前輪はABS付き)、ストッピングパワーにも不足はない。CT125ハンターカブはのんびり目的地を目指すだけのアシではないのです。

昨今の状況から「“密”を避けたい」と日常使いできるバイクを探している方。せっかくなら収束後を見据えて、趣味性も高いCT125ハンターカブはいかがでしょう!? オプションパーツも豊富なので、自分なりのマシンに仕上げる楽しさも味わえます。何はともあれ、早く、気兼ねなくレジャーに行けるようになって欲しいものですね。

<SPECIFICATIONS>
☆CT125ハンターカブ
ボディサイズ:L1960×W805×H1085mm
車両重量:120kg
エンジン:124cc 空冷単気筒 SOHC
トランスミッション:4MT
最高出力:8.8馬力/7000回転
最大トルク:1.1kgf-m/4500回転
価格:44万円

文&写真/ダン・アオキ

ダン・アオキ|15年ほど出版社に勤務し、クルマ専門誌、カメラムックなどの編集に携わった後に独立。フリーランスの“カメライター”になる。現在は、2輪・4輪のコンテンツ制作を担当するほか、女性を被写体とした人物撮影も行っている。


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