ラインカットから魚を締めるためにも使いやすいコンパクトナイフ4選

キャッチ&イート派の釣り人にとっては、魚を現場で締めたり解体したりするために、小型ナイフは必須アイテムです。

ちなみに一言で「魚を締める」といいますが、これは主に釣った魚を「即殺」し、「血抜き」することを指します。一見残酷に感じますが、釣った魚を苦しませず暴れさせず、かつ「血のめぐり」による鮮度の低下を防ぐことで、魚の命を最大限美味しくいただくことができるという、非常に重要な作業です。

「即殺」とは、魚の脳を破壊することで、心臓を動かしたまま、魚の動きを止めます。大型の魚であれば、専用ピックなどを脳天(目と目の間)に刺すやり方がありますが、渓流魚のような小型魚の場合だと、コンパクトなナイフで差し込んで左右に軽くねじります。

その後すぐ、エラに繋がっている白い膜の裏にある動脈を切ってあげます。これが「血抜き」で、心臓が動いているうちにそのポンプの力をつかって放血します。

この締める過程では、よく切れて、錆びにくく、コンパクトなナイフが必須です。
そこで今回は、持ち歩きに便利で使い勝手のよく、メンテも楽な、魚釣りにもっていきたいコンパクトなナイフを紹介します。

■超コンパクト&H-1鋼使用で錆びにくい!

スパイダルコ
「パシフィックソルト 大海人 H-1」

実勢価格:1万3000円

▲全長:221mm、ブレード長:97mm、刃厚=約3mm、重量:86g

1978年にコロラド州デンバーに設立したスパイダルコ。ブレードの根元にサムホールと呼ばれる穴を開けたデザインが特徴で、グローブをしたまま片手でブレードの開閉ができるため、愛用する登山家も多数いるそうです。

またセレーション(波刃)の製造技術が優れていることでも知られています。このセレーション対象物をがっちりホールドしながら切れていくので、魚だけでなく、PEラインなどもすぱっとカットできるほど。素材には非常にサビにくいことで有名な「H-1鋼」を採用していて、特に海での使用で安心して長期使用できます。左右で付け替えが可能なポケットクリップが付属しています。

ハンドルにデュポン社が開発した、軽量でタフな樹脂「ザイテル」を使用。薄さとグリップ感を両立した設計で、魚を締める際もしっかり握りこめて快適に使えます。

 

■超ハイコスパで長く使える!

モーラ・ナイフ
「コンパニオン」

実勢価格:2100円

▲全長:約218mm、ブレード長:約103mm、刃厚=約2.5mm、重量:約84g

スウェーデンのモーラ地方の職人たちが1600年ごろから伝統的に受け継いできた質の高いナイフづくり。そのDNAを受け継ぐのがこのモーラナイフです。特徴は、錆びにくいステンレス刃を使い、切れ味が抜群なこと。そしてリーズナブルであることです。やや太めのラバーグリップは滑らず、握り感も上々。

また刃こぼれやサビなどで切れ味が落ちても研ぐことで切れ味が復活するので、長く使えます。魚を締める際に血やうろこで汚れても、折りたたみ機構のないシンプルな形状なので、さっと洗えばきれいに使えます。

水切り穴が開いた樹脂製のシースに入れて携行でき、ベルトループにも装着可能。その品質はスウェーデン国王からも高い評価を受け、王室御用達の認定を受けているそうなんですが、これが2000円前後から入手できるので、すさまじいコスパ。はじめての1本にも最適です。

 

■炭素鋼の刃は切れ味が抜群!

オピネル
「ナイフ #12」

実勢価格:3600円

▲全長:約282mm、ブレード長:約120mm、重量:約115g

アウトドア好きにはおなじみの、フランス製の二つ折りナイフです。シンプルな形ですが、サイズ展開が多く、好みの長さのものを選べます。刃の材質を錆びにくいステンレス製と、切れ味が抜群のハイカーボンスチール(炭素鋼)製の2種から選べますが、ここでは切れ味が鋭く、肉や魚の断面も崩れずスッと切ることができるハイカーボンスチール製をおすすめします。

炭素鋼は切れ味が鋭く研ぎやすい反面、素材の特性上錆びやすく、使用後は念入りな手入れが必要になります。結構手がかかっても、このナイフは切りつけに失敗がないので、魚の活き締めもスムーズに済ませられます。

持ち手の木材はブナを使っており、温かみのある握り心地。根元のリングを回せばロックも簡単にかけられます。

ちなみに新品のオピネルは刃が研がれていないので切れ味はいまいち。オピネルを買ったら、まず研いで刃付けをすることを忘れずに。こうやって使うことで、道具としての愛着も湧いてきますよ。

 

■野外だとやっぱり多機能が安心!

ビクトリノックス
「デュアルプロMWC」

実勢価格:3980円

▲全長(折り畳み状態):約111mm、重量:約157g

釣りやアウトドア好きは、家に数えきれないほどのビクトリノックスのマルチツールがあるものですよね…(え?ない?)

さまざまなアウトドアの用途で使いたいときや、魚の処理にややブレードが大きな「ラージ・マルチツール」のカテゴリーがおすすめです。中でも、釣り用に10年ほどずっと使っていて、珠玉の一本と思っているのがこちらの「デュアルプロMWC」です。マルチツールとしては10の機能があります。

1.ラージブレード(ロック付き)
2.ベルトカッター(ロック付き)
3.缶切り
4.マイナスドライバー3mm
5.マイナスドライバー7mm(ロック付き)
6.栓抜き
7.ワイヤーストリッパー
8.リーマー(穴あけ)
9.ワインオープナー
10.キーリング

釣りはもちろん、キャンプなどの野外活動で使うことが多く、外遊びでは必ず携行しています。特に釣りで使う際のメリットは、ハイカーボンクロームモリブデン鋼製の大型ブレード(しかも2/3が波刃)が、小型魚を締める際にしっかりと切り口をとらえて切れ味が抜群&さびにくいこと。そしてベルトカッターが付いていることです。

文字通りに緊急時に車からシートベルトを切って脱出するためのものですが、ボートに乗っているときに濡れたロープをカットしたり、植物のツルをカットしたりと、紐状のものをスムーズにカットするのに活躍します。緊急時などいざというときにももちろん役立ちます。

あと、このふたつのブレードには自動ロック機構がついているのも便利。ナイロン樹脂とウレタン樹脂を組み合わせたデュアルコンポーネント・ハンドルでグリップも上々で、力を入れて切る場面でも安心して使えます。

似ている仕様のものが「ラージ・マルチツール」のカテゴリのなかに何本かありますが、キャンプもするし、ボートも乗るし、釣りもする…という筆者にとって、欲しい機能が良いとこどりになっているのはこのデュアルプロMWCだけ。実はすでにブランドでは絶版品となっていますが、まだ一部通販では在庫限りで扱っているところも。もう1本、予備で買い増し確定です。

*  *  *

いかがでしたでしょうか。今回はコンパクトで使い勝手のよい釣り用ナイフを厳選して紹介しました。お気に入りのナイフでより良い釣りライフをお過ごし下さい。

 

<取材・文/ナオ・サクライ>

ナオ・サクライ|子供のころ、九州で渓流から海まで、さまざまな釣りを経験したのち上京。学生時代から東京湾奥のシーバス釣りにハマったのを皮切りに、ありとあらゆる海のルアー釣りへとのめり込み、離島のショアGTや怪魚釣りなど、エクストリームな釣りを経験。現在のメインの釣りモノは、タイラバで釣るマダイ。

 

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