D2Cスタートアップにフレッシュな視点で臨む新しいVC企業The-Wolfpack

新型コロナウイルスによるパンデミックが、消費者市場とレジャー産業そしてメディア企業に大打撃を与えている中で、The-Wolfpackと呼ばれる新しいベンチャー企業は、これらの分野に対してきわめて前向きだ。シンガポールに本社を置く同社は、世界最大の広告とメディア企業の1つであるGroupMのマネージングディレクターたちが創業し、同社のポートフォリオ企業との密接な協力関係を狙っている。社名の由来は、「起業家は狼の群れの仲間であるとき最も栄える」という同社のエコシステム重視の信念にある。

The-WolfpackのデビューファンドであるWolfpack Pioneer VCCは、目標額の500万ドル(約5億2000万円)がすでに全額集まり、8社から10社の消費者直販(D2C)企業に投資される予定だ。同社はすでに第2のファンドの募集を初めており、その目標額は2000万シンガポールドル(約1490万ドル、約15億6000蔓延)あまりだ。また台湾に第2のオフィスを構える計画があり、インドネシアへの進出も予定している。

The-Wolfpackは、ともにGroupMにいたToh Jin Wei(トー・ジン・ウェイ)氏とSimon Nichols(
サイモン・ニコルズ)氏、そしてSunray Woodcraft Constructionの元ディレクターであるTan Kok Chin(タン・コック・チン)氏が創業した。チン氏は以前、Marina Bay SandsやRaffles Hotelそしてシンガポール観光局などのプロジェクトを担当した。

The-Wolfpackはスタートアップに資金を提供するだけでなく、同社のポートフォリオ企業を軸とするエコシステムを作りたいと考えている。それにより彼らを、各種知財のオーナーやデジタルマーケティングのエキスパート、コンテンツ制作者、デザイナーなどと結びつけ、今後オフラインの展開もできるようにしていく。また同社の計画では、互いに組み合わせ販売の可能性がある複数のスタートアップへの投資も構想している。

トー氏によると、The-Wolfpackの公式の企画は2019年の終わりごろスタートしたが、そのとき彼とニコルズ氏は、5年前にGroupMにいるときから考えていた自分たちの事業を立ち上げる気だった。

「狙っているニーズという点では、両社は似通っていた。つまり、D2Cの創業者の支援を熟知している戦略的投資家であることだ」とトー氏は語る。

The-Wolfpackが狙う主な業態は消費者向け企業とレジャー産業とメディア企業の3つだが、いずれもパンデミックの経済的影響が大きい。しかし同時に消費者の習慣も変わりつつあるのだから、そこにはイノベーションの機会もある、とニコルズ氏は語る。

消費者の支出額が落ちても、よりクオリティの高いエンゲージメントの構築を志向しているブランドに、消費者はより惹かれるようになると彼はいう。「この変化をよく理解して正しく対応できるD2Cブランドには、本物のビジネスアドバンテージがある」と彼は主張している。

The-Wolfpackのこれまでの投資はまだどれも完了していないため詳細は明かされないが、同社のデビューファンドが関心を寄せているブランドの一例として、東南アジア進出を狙っているオーストラリアのメイクアップアーティストや、そのエコシステムにオリジナルコンテンツやゲームのチーム、スタジオなどを含むオンラインゲーム企業がある。後者はThe-Wolfpackの支援により、リアルのスタジオを建設して、オフラインでの体験も販売していく予定だ。

「これまでも企業は消費者に語りかけてきたが、これから重要なのは双方向の会話だ。そこにはD2Cのスタートアップにとっても、飛躍的な成長の機会が眠っており、そこが大きな投資機会でもある」とトー氏は信じている。

関連記事:D2Cブランドはパンデミックをどのように乗り越えているか

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The-WolfpackD2C

画像クレジット:The-Wolfpack(共同創業者:Toh Jin Wei, Tan Kok Chin, Simon Nichols)

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA