ここ数年間に、インドでの足場固めとして5億ドル(約52億3000万円)を投入してきたNetflix(ネットフリックス)は、この世界第2位のインターネット市場で、何がいったいインドの人たちを怒らせるのかを理解し始めている。どうも、何にでも怒るようだ。
インド政府与党のリーダーがあるテレビドラマのシリーズに異議を申し立てたことから、この米国の動画配信サービスの現地幹部2人が、今週警察に告発された。
そのドラマとは、インド人作家 Vikram Seth(ビクラム・セス)の文学賞受賞小説を元にした、1人の少女の人生を追う「A Suitable Boy」というシリーズだ。その中に、主人公がヒンドゥー教の寺院でイスラム教徒の少年とキスをするシーンがある。
インド中央部マディヤ・プラデーシュ州のNarottam Mishra(ナロタム・ミシュラ)内務大臣によると、ヒンドゥー教徒の心情を傷つける問題のシーンに関する第一次報告書(警察への公式な苦情)が、Netflix番組担当副社長Monika Shergill(モニカ・シャーギル)氏と同社の公共ポリシー担当ディレクターAmbika Khurana(アンビカ・クラナ)氏に対して提出されたとのこと。
「当局に、Netflixで配信されている『A Suitable Boy』のシリーズで、寺院でキスシーンが撮影されたか、それが宗教的感情を傷つけたかに関する調査を依頼した。調査では一見したところ、それらのシーンが特定宗教の信者の感情を傷つけたことがわかった」と彼はいう。
今回の苦情を申し立てたインド人民党の青年指導者Gaurav Tiwari(ガウラブ・ティワーリー)氏は、Netflixとシリーズ制作者、受賞歴を持つ映画監督Mira Nair(ミーラー・ナイール)氏の謝罪を求め、このドラマは「Love Jihad(愛のジハード)」を喧伝していると語った。愛のジハードとは、イスラム教徒の男性がヒンドゥー教徒の女性を誘惑し、結婚を口実に改宗させてしまうと訴える反イスラム教陰謀論だ。
Netflixはコメントを控えている。
ここ数日、多くの人たちがソーシャルメディアを使い、「問題」のシーンへの怒りをNetflixに向けている。しかし、その全員がNetflixの会員なのか、または会員が1人でも含まれているのかは不明だ。
これは、152年の歴史を持つ塩から鉄までを扱うコングロマリット傘下の高級ジュエリーブランドTanishq(タニシュク)が、異宗教間結婚を祝う広告を出してインドで猛批判(Reuters記事)を浴びた数週間後のことだった。
Netflixにとって、この反発のタイミングはまずかった。インド政府がデジタルメディアの新しい規則を示した数日後だったからだ。この規則では、インドの情報放送省がオンライン動画配信サービスの規制を行うことになっている。この新規則ができるまでは、インドの電子IT省が動画配信サービスを監督していた。ある動画配信サービス企業の幹部によると、オンラインサービスは、かなりの自由を享受していたという。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Netflix、インド
画像クレジット:Sam Wasson / Getty Images
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(翻訳:金井哲夫)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/11/25/2020-11-24-police-case-filed-against-netflix-executives-in-india-over-a-suitable-boy-kissing-scene/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Manish Singh
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