洋菓子メーカー大手「ユーハイム」は11月30日、画像センサーを搭載し職人の技術を機械学習する、バウムクーヘン専用AIオーブン「THEO」(テオ)の開発を発表した。2021年3月4日に名古屋で開業する食の未来をテーマにした複合施設「バウムハウス」(BAUM HAUS)への実装に向け、年明けより実証実験を開始する。
ユーハイムは2020年3月、菓子製造工程に添加物を使わないため、材料メーカーと共に、加工材料から添加物の排除を実践する「純正自然宣言」を発表。純正自然の菓子作りを進めつつ生産性を高めるには、添加物のなかった頃の職人の技術の復活・継承、新たな職人の育成が欠かせないという。時間と手間を要するそれら過程のブレイクスルーとして、技術革新が相次ぐIoTやAIの技術を活用したと明らかにした。
ユーハイムが開発したTHEOは、職人が焼く生地の焼き具合を各層ごとに画像センサーで解析することで、その技術をAIに機械学習させデータ化。無人で職人と同等レベルのバウムクーヘンを焼き上げることができるとしている。
ユーハイムは、THEOをアバターインと共同開発することで、今後、菓子店間の遠隔操作や、消費者によるアバターを通じた焼成体験などの実証実験を行なう。これにより、従来の流通体系とは違うスタイルの販売ネットワークづくり、職人の技術継承、地位向上などを模索していく。
また、2021年3月開業のバウムハウスにおいてTHEOを実装したショップをオープンし、THEOで焼き上げたバウムクーヘンの販売も行う予定。国内外のフードテック系スタートアップ企業をサポートする会員組織「フードテックイノベーションセンター」(FIC)とも連係し、他社のフードテック機器との共同開発や、実証実験にも参加していく予定という。
FICでは、会員となったスタートアップ企業のフードテック機器や新たなサービスの営業や販売を請負い、ユーハイムが得意とするお菓子や飲食のBtoB市場において展開。
FIC本部を神戸本社に設置し、洋菓子の街・神戸からフードテック機器を発信。FICに参加するメンターや大手企業からのサポートを受け、ユーハイムが用意するフードトラックにフードテック機器を載せて街の洋菓子店などに出向き、試験販売やフードテック機器のデモンストレーションを行うなどの取り組みを始めていく。
2021年には日本におけるバウムクーヘン生誕102年を迎え、ユーハイムは今まで以上に「純正自然」の菓子作りに邁進するために、「化学(添加物)の時代から、工学(IoTやAI)の時代へ」の変化を見据えて、「職人のためのフードテック」を掲げていくとしている。
カテゴリー:フードテック
タグ:IoT(用語)、機械学習(用語)、食品(用語)、バウムハウス、ユーハイム日本(国・地域)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/11/30/juchheim-theo-foodtechers/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Takashi Higa